目についた記事を、その時々に書き込むつもりです。
泣きながら靴へ戻る子運動会 霧島市 久野 茂樹
走っていて、靴が脱げてしまった。どんどん引き離される。泣きながら靴のところまで戻る。そんな光景が「靴へ戻る」の正確な言葉で表わされている。リレーなら大変だ。 【 矢島 渚男 選 】
走っていて、靴が脱げてしまった。どんどん引き離される。泣きながら靴のところまで戻る。そんな光景が「靴へ戻る」の正確な言葉で表わされている。リレーなら大変だ。 【 矢島 渚男 選 】
新豆腐四角六面にて候 神奈川県
新しく取れた大豆でつくる豆腐が新豆腐、秋の味覚である。なかなか「四角六面」が正確。 「候」が最後に来て、新豆腐自身が名乗りをあげたようなおかしみを感じた。 【 小澤 實 選 】
新しく取れた大豆でつくる豆腐が新豆腐、秋の味覚である。なかなか「四角六面」が正確。 「候」が最後に来て、新豆腐自身が名乗りをあげたようなおかしみを感じた。 【 小澤 實 選 】
我の名を忘れし祖父の脳内で今も登板してゐる金田
狭山市 えんどう けいこ
今月亡くなった往年の名投手、金田正一。祖父は、ニュース等で名前を耳にしたのだろう。 「我」の複雑な心境はありつつも、 現在形で生き生きとした下の句からは、祖父の幸福な一面が窺(うかが)える。 【 俵 万智 選 】
狭山市 えんどう けいこ
今月亡くなった往年の名投手、金田正一。祖父は、ニュース等で名前を耳にしたのだろう。 「我」の複雑な心境はありつつも、 現在形で生き生きとした下の句からは、祖父の幸福な一面が窺(うかが)える。 【 俵 万智 選 】
待ちをれど路線バス来ずふるさとのこの片隅に忘れられしか
久喜市 深沢 ふさ江
路線バスは、まず定刻には来ない。必ず遅れる。遅れに遅れてどうしたのだろう、と不安を覚えるころ、やっと来る。作者はひとりぽっちでバス停に待っていたのだろう。
【 小池 光 選 】
久喜市 深沢 ふさ江
路線バスは、まず定刻には来ない。必ず遅れる。遅れに遅れてどうしたのだろう、と不安を覚えるころ、やっと来る。作者はひとりぽっちでバス停に待っていたのだろう。
【 小池 光 選 】
椎落葉木犀落葉よりやさし 鎌倉市 金井 千恵子
これに倣(なら)えば、どの木でも句になりそうだが、銀杏(いちょう)や柿や桜では句にならないだろう。だんだん椎(しい)と木犀(もくせい)以外は考えられないような気がしてくる不思議な取り合わせだ。 【 正木 ゆう子 選 】
これに倣(なら)えば、どの木でも句になりそうだが、銀杏(いちょう)や柿や桜では句にならないだろう。だんだん椎(しい)と木犀(もくせい)以外は考えられないような気がしてくる不思議な取り合わせだ。 【 正木 ゆう子 選 】
そうでない遺骨もやはり遺骨なり遺骨はどれもシベリアを知る
羽曳野市 加納 綾太郎
シベリア抑留者の遺骨。 日本人ではない遺骨との取り違え問題が公表された。だがどこの国の人であれ、無念の死を迎えた事実に変わりはない。深い哀悼の伝わる一句。 【 栗木 京子 選 】
羽曳野市 加納 綾太郎
シベリア抑留者の遺骨。 日本人ではない遺骨との取り違え問題が公表された。だがどこの国の人であれ、無念の死を迎えた事実に変わりはない。深い哀悼の伝わる一句。 【 栗木 京子 選 】
手も足も農の仕種や盆踊 東京都 出口 良人
古くから伝わる盆歌だろう。農村の芸能に残る農事一切を所作でやや滑稽に示す伝統が、ここでは盆歌に残り、踊りの振りに残る。豊作の予祝であり、感謝の踊りだ。 【 宇多 喜代子 選 】
古くから伝わる盆歌だろう。農村の芸能に残る農事一切を所作でやや滑稽に示す伝統が、ここでは盆歌に残り、踊りの振りに残る。豊作の予祝であり、感謝の踊りだ。 【 宇多 喜代子 選 】
四十年前の幸福が顔を出すダム湖の底の小学校跡
日南市 宮田 隆雄
淡々と歌っているようだが、作者の胸によみがえってくる思いは、実は余人には計りがたい。悲喜こもごもの深い思いのはず。 【 岡野 弘彦 選 】
日南市 宮田 隆雄
淡々と歌っているようだが、作者の胸によみがえってくる思いは、実は余人には計りがたい。悲喜こもごもの深い思いのはず。 【 岡野 弘彦 選 】
うつし世をすこしはなれて風の盆 八幡市 会田 重太郎
この中七を使った投稿が今回も何枚か届いた。 少し離れて、という位置を示す表現が、世を隔てた次元の違いとして使われている。 祭りの中でも、幽玄な風の盆ならではの句。 【 宇多 喜代子 選 】
【 正木 ゆう子 選 】
<読売読者さんに間違いを指摘されましたので、訂正させていただきます>
この中七を使った投稿が今回も何枚か届いた。 少し離れて、という位置を示す表現が、世を隔てた次元の違いとして使われている。 祭りの中でも、幽玄な風の盆ならではの句。 【 宇多 喜代子 選 】
【 正木 ゆう子 選 】
<読売読者さんに間違いを指摘されましたので、訂正させていただきます>
最後までハートの札を捨てないでいた者が勝つ世の中であれ
上尾市 関根 裕治
人としての優しさや思いやりを持ち続けた人が、成功したり、認められたりする世の中であってほしい。トランプゲームに喩(たと)えて軽妙に読んでいるが、そうではない世の中だからこその願いでもあるのだろう。 【 俵 万智 選 】
上尾市 関根 裕治
人としての優しさや思いやりを持ち続けた人が、成功したり、認められたりする世の中であってほしい。トランプゲームに喩(たと)えて軽妙に読んでいるが、そうではない世の中だからこその願いでもあるのだろう。 【 俵 万智 選 】