目についた記事を、その時々に書き込むつもりです。
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      ハンカチの縁でアイロンややうねる   群馬県  榎丸 文弘

ハンカチにアイロンをかけている。 縁の部分ではアイロンを少しうねらせて しっかりと布を伸ばしている。確かな手応えも感じている。          【 小澤  實 選 】


       足の爪伸びるざわめき梅雨の夜   東京都  奥村 和子

梅雨の夜に眠っていて、眠りの中で足の爪が伸びて行く際のざわめきを感じ取っている。自分自身の命の音を聞きとめているわけだ。         【 小澤  實 選 】


      柩ゆく己れ植えたる青田中   能代市  小田嶌 恭葉 

自身が植えた青田の中の道を、柩(ひつぎ)の中の死者として運ばれていく。豊作を待たずに逝ってしまうのは無念だろう。はたして、この青田を誰が世話するのだろうか。                                    【 小澤  實 選 】


      白鯉や撒き餌に悠然と遅れ   東京都  望月 清彦

緋鯉(ひごい)や錦鯉(にしきごい)ならば夏の季語だが、それは措いても、白の生きた句である。「遅れ」に見える大物感。中七・下五の伸びやかな句またがりが、鯉の悠揚迫らぬ動きに重なる。                   【 正木 ゆう子 選 】


      緑濃き天塩原野に急停車   丸亀市  久保谷 幸正

北海道北部、手塩(てしお)原野で列車が急停車した。何でかは乗客にはさっぱり分からない。動物が横切ったのか。「原野」という言葉に奥深さが感じられる。
                                     【 矢島 渚男 選 】


      盆僧を貧僧と誤植してありぬ   熊谷市  田島 良生

確かに「盆」と「貧」は似ていて起こりやすい誤植で、内容を考えると、滑稽句として笑えない事態なのだ。読む方も困ってしまう。           【 矢島 渚男 選 】


      懐かしき明日の来さうな梅雨夕焼   長野市  塚田 俊子

梅雨のさなかの夕焼けを見ていると、まあたらしい明日ではなく、懐かしい明日が来るような気がしてくる、というのだ。梅雨夕焼(つゆゆやけ)と懐かしい明日が、どこか響き合う。                             【 小澤  實 選 】


      牛蛙ぷっと笑ひて隠れたり   鹿嶋市  津田 正義

こちらも小動物への親愛。突拍子がなくてユーモラスで、一読幸せな気分に。なぜこんな句が生まれたか自句自解をお聞きしたいもの。     【 正木 ゆう子 選 】


      かたつむり名はあめたろう窓が好き   熊本市  坂崎 善門

雨降りの数日、同じ窓に張りついているのだろうか。ついにこんな良い名前が付いた。近頃減少著しい蝸牛。もしかして飼っている?      【 正木 ゆう子 選 】


    果物のシールに産地「イスラエル」あんな遠くからお前、来たのか
                               羽曳野市  鎌田  武

スーパーの商品には原産地が明記される。実にいろいろの国で取れた食物をわれわれは食べている。イスラエルから来たものもある。思わず、お前、と呼びかけてしまった。                                【 小池  光 選 】


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