目についた記事を、その時々に書き込むつもりです。
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      蟷螂が吾(あ)を睨む雄齧るたび   鹿児島市  鶴屋洋子

雌のかまきりが交尾の後、雄を食べている。一口一口齧(かじ)るたびに目撃している吾をにらみつけるというのだ。秘め事を覗(のぞ)くなかれという強い視線を感じる。                                   【 小澤  實 選 】


      スクラムや巨峰の如く押し合へり   小金井市  米山 明博

ラグビーワールドカップ。ルールを知らなくても、押し合いへし合いをする肉体だけはテレビで見た。一房にぎっしりの巨峰。納得。          【 正木 ゆう子 選 】


    戻り来しハガキに前島密様一枚貼りてふたたび投函
                         久留米市  名島 ミヤ子

通常はがきの料金が一円値上がり。料金不足で戻ってきたはがきに前島密(ひそか)の肖像の一円切手を貼った。近代郵便制度の創設者に敬意を表して「様」を付けたのが心憎い。                        【 栗木 京子 選 】


      蜜柑むく去年と同じ場所にいる   東京都  六笠 有子

確かに家で坐る場所は誰でも同じだろう。代り映えしない。しかし何事もなく同じ場所で蜜柑を食べられるのは、考えてみれば幸せなこと。   【 正木 ゆう子 選 】


      また来るは別れの言葉花八手   千葉市  中村 重雄

若者同士の明るい「また来るね」もあるだろう。しかし私は、老親を訪ねた帰り際に必ずそう言った事を、心の痛みと共に思い出す。子がまた来るまでの親の寂しさを思う。                                【 正木 ゆう子 選 】


      天高し地球が浮かんでゐる日和   盛岡市  茂野 昭美

宙に浮いている地球に住んでいながら、わが身が宙に浮いているという実感はない。ところがあまりにもいい秋日和に一身と地球がともに浮遊している気分になる。
                                   【 宇多 喜代子 選 】


      泣きながら靴へ戻る子運動会   霧島市  久野 茂樹

走っていて、靴が脱げてしまった。どんどん引き離される。泣きながら靴のところまで戻る。そんな光景が「靴へ戻る」の正確な言葉で表わされている。リレーなら大変だ。                                  【 矢島 渚男 選 】


      新豆腐四角六面にて候   神奈川県  

新しく取れた大豆でつくる豆腐が新豆腐、秋の味覚である。なかなか「四角六面」が正確。 「候」が最後に来て、新豆腐自身が名乗りをあげたようなおかしみを感じた。                                   【 小澤  實 選 】


    我の名を忘れし祖父の脳内で今も登板してゐる金田
                         狭山市  えんどう けいこ
今月亡くなった往年の名投手、金田正一。祖父は、ニュース等で名前を耳にしたのだろう。 「我」の複雑な心境はありつつも、 現在形で生き生きとした下の句からは、祖父の幸福な一面が窺(うかが)える。            【 俵  万智 選 】


    待ちをれど路線バス来ずふるさとのこの片隅に忘れられしか
                         久喜市  深沢 ふさ江

路線バスは、まず定刻には来ない。必ず遅れる。遅れに遅れてどうしたのだろう、と不安を覚えるころ、やっと来る。作者はひとりぽっちでバス停に待っていたのだろう。 
                                     【 小池  光 選 】


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