目についた記事を、その時々に書き込むつもりです。
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      憂さ晴らすところも海と海女言ひぬ   久喜市  深沢 ふさ江

ひとが多く住む陸は海女にとって、ストレスを感じる場所なのかもしれない。海女という職業をもったひとの生活を深いところから描いた。海女が春季の季語である。 
                                     【 小澤  實 選 】 


      膝までも春泥貴方(あんた)なにしてた   つくば市  潮田  清

「あんた」が使われた句を始めて見た。 膝まで泥をつけて現れた友に、何をしたらそんな汚れ方をするのかと、皆が笑いながら尋ねている。 後半を関西風に読むと面白い。                               【 正木 ゆう子 選 】


柱にも出来不出来ある秩父かな   秩父市  内田 定男

秩父は山国。寒中には氷柱(つらら)が垂れる。内田さんはその氷柱の「出来不出来」を見定めている。ずんぐりより、すらりがいいのだろうか。
                                   【 宇多 喜代子 選 】


    「泣く」という字をごらんぼくらは泣いたあとしずく拭えば立ち上がれるさ
                               上尾市  関根 裕治

「泣」の字のさんずいのしずくを取れば「立」が残る。漢字の成り立ちを用いた歌は多いが、この発見は素晴らしい。歌謡曲風の詠み口も、内容とぴったりだ。
                                    【 俵  万智 選 】 


完璧に家事をこなしていた祖母の遺品となったカップの茶渋
                            大阪府  木村 由里亜

家事の達人だった祖母は食器もきれいに磨いていたが愛用のカップには茶渋が残っていた。渋の味わいを楽しんでいたのかもしてない。祖母への思いが伝わる歌。 
                                    【 栗木 京子 選 】 


      静寂に耐へてゐるなり大試験   上尾市  中野 博夫

試験監督の時ではなかろうか。 受ける方はむろんだが、静寂にじっと耐えている監督係も大変なこと。                         【 矢島 渚男 選 】


    ため息でふくらませてるシャボン玉いくら飛んでもそれはため息
                             守口市  小杉 なんぎん

高々と楽しそうに飛ぶシャボン玉と、ため息のギャップが面白い。 ため息で始まり、ため息で終わる工夫が効いている。                【 俵  万智 選 】 

                         < ため息でシャボン玉ができる? > 


      遠洋を語らず若布干す男   神奈川県  中島 やさか

若いときに鮪(まぐろ)を追う漁師か、遠洋航海の船員だったか。過去は何も語らず黙々と若布(わかめ)を干している。一句で男の一生を表現した。
                                    【 矢島 渚男 選 】


春立つや旧のこよみの美しき   東大阪市  木田 博幸
 
暦には24節気や72候それぞれに該当時節を表すいい名称が付されている。ことに旧暦には先人たちのおもいを込めた美しいことばが多い。
                                  【 宇多 喜代子 選 】


       ゆつくりとゆつくりと雪降りやまず   高松市  島田 章平

四国では珍しい雪に見とれている作者の姿が「ゆっくり」の反復で表現されている。降りやまないことを願っているようでさえある。          【 矢島 渚男 選 】


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