目についた記事を、その時々に書き込むつもりです。
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  靖国の花いちはやく見ていまさむ花と散りたる若き英霊
                            高松市  島田 章平  

いい歌だ。遠い戦争にちなむ歌だなどと思わないでほしい。世界のどこかでは今も、無惨な戦が続いている。まるで人類の宿命のように。 戦の死者を忘れないでいたい。                                  【 岡野 弘彦 選 】


   満開のなほ満ち足りぬ桜かな   上尾市  中野 博夫

人の欲望には限りがないとも言えるし、満ち足りぬ思いには他に原因があるのかもしれない。或(ある)いはそれが春愁というものか。詠まれてみれば、誰の心にもある思いである。                            【 正木 ゆう子 選 】


   グレーヘア梅見の四人少し怖   札幌市  田口 和子

グレーヘアの仲間入りを私もしたばかり。そうか怖いのか。開き直り感が出るのだろうか。語幹だけの「こわ」に実感があって可笑(おか)しい。    【 正木 ゆう子 選 】


      あと一輪標本桜昏(く)れ初むる   横浜市  天野 あき

桜の開花宣言の係員。 あと一輪咲いて呉(く)れればいいんだが、残念。 今日は駄目。 また明日の楽しみ。 お役所仕事の中で最も優雅な係?
                                     【 矢島 渚男 選 】


    春温か誰かに会はむ身繕ひ   鎌倉市  中江 優子

誰に会うと決まっているわけではない。今日は人に会おう、会うかもしれないから装うのである。なんと春らしい気分だろう。             【 正木 ゆう子 選 】


      何となく見てゐる庭の春めける   福山市  広本 貢一

季節の変わり目は、いつも「なんとなく」「いつしか」というふうに訪れる。おや、昨日と違うな、そんな風の動きに気付いたり、草木の色に気付いたるする。
                                   【 宇多 喜代子 選 】


      灰色で来て白鳥として帰る   秋田市  中村 栄一

渡来した白鳥の群れの中には、薄汚れた灰色の鳥が混ざっている。これはその夏にシベリアで生まれた幼鳥で、帰るときには真っ白になって、もう立派な成鳥になっている。                                【 矢島 渚男 選 】


屯田兵の荷に隠れ来し雛かな   登別市  寺島 きしお

明治初年、北海道開拓と警備のために置かれ、農事に従事しながら兵として働いた人が、荷の中に忍ばせて持ち込んだ雛(ひな)人形。哀惜の念で今その雛を見ている。                            【 宇多 喜代子 選 】


三月やマイナンバーの長きこと   前橋市  平林  始

なにかとマイナンバーをつかうことが多い。たしかに桁数が長く、書き込むのは面倒だ。こんなことが気になるのも3月である。           【 宇多 喜代子 選 】


  半世紀「とこ屋」と呼ばれし生業の平成最後は赤字申告
                               松戸市  川上 頼枝

50年続く理髪店。親しみをこめて「とこ屋」と呼ばれてきた。平成時代の最後となる税の申告をしたが、残念ながら赤字決算に。だが「生業(なりわい)」という言葉が力強い。                              【栗本 京子 選 】


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