目についた記事を、その時々に書き込むつもりです。
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炎天下石工ら石の目を探す   岡山市   国定 義明

炎天と焼けたように熱い熱い石。くらくらするような白光の世界である。そこに働く肉体。人の目が探す石の目。そんな構造が見えてくる。      【 宇多 喜代子 選 】


      サングラスより始まりし戦後かな   霧島市  久野 茂樹

1945年8月30日連動国軍最高司令官マッカーサーがサングラスをかけパイプをくわえ厚木飛行場へタラップを降りた時から、占領と戦後が始まったと淡々と述べる。                                    【 矢島 渚男 選 】


      老醜といふは金魚になかりけり   栃木県  あらゐ ひとし  

老醜を憂える人間に対して、金魚にはそれがないという。そもそも老醜から金魚への飛躍からして面白いが、最後にじわりと金魚の哀れにまで思いの届くところが魅力。                                【 正木 ゆう子 選 】


何年も夏越えて来し浴衣地の藍の菖蒲にハサミを入れる
                               奈良県  藤本 京子

何年も着続けた浴衣。ほどいて小物を作ることにしたのかもしれない。藍色の菖蒲(しょうぶ)の柄を詠んだことで華やかな一首になった。      【 栗木 京子 選 】


      夢を売るように夜店の並びおり   東京都  山田 真理子

8月は夜涼みをかねた盆踊や各種の催しがあって、夜店も出る、そこが子どもたちにとって何よりの楽しみ。それは「夢を売る」店。         【 矢島 渚男 選 】


      蟻の道すこしはなれて蟻地獄   大阪府  池田 寿夫

「女郎花(おみなえし)少しはなれて男郎花(おとこえし) 星野立子」 を初めとして、この中七を使った句は多い。 拙句にも 「水の地球すこしはなれて春の月」。 「少し離れて」の句を集めたら面白そう。            【 正木 ゆう子 選 】


      ハンカチの縁でアイロンややうねる   群馬県  榎丸 文弘

ハンカチにアイロンをかけている。 縁の部分ではアイロンを少しうねらせて しっかりと布を伸ばしている。確かな手応えも感じている。          【 小澤  實 選 】


       足の爪伸びるざわめき梅雨の夜   東京都  奥村 和子

梅雨の夜に眠っていて、眠りの中で足の爪が伸びて行く際のざわめきを感じ取っている。自分自身の命の音を聞きとめているわけだ。         【 小澤  實 選 】


      柩ゆく己れ植えたる青田中   能代市  小田嶌 恭葉 

自身が植えた青田の中の道を、柩(ひつぎ)の中の死者として運ばれていく。豊作を待たずに逝ってしまうのは無念だろう。はたして、この青田を誰が世話するのだろうか。                                    【 小澤  實 選 】


      白鯉や撒き餌に悠然と遅れ   東京都  望月 清彦

緋鯉(ひごい)や錦鯉(にしきごい)ならば夏の季語だが、それは措いても、白の生きた句である。「遅れ」に見える大物感。中七・下五の伸びやかな句またがりが、鯉の悠揚迫らぬ動きに重なる。                   【 正木 ゆう子 選 】


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