目についた記事を、その時々に書き込むつもりです。
「死にかけた」と赤紙見せる文化の日 羽曳野市 古原 慎太郎
赤紙は軍からの赤い召集令状の俗称。「これで俺は死にかけたんだ」と90も半ば過ぎた老人が見せてくれた。 文化の日は昔、明治天皇誕生日の明治節だった。
【 矢島 渚男 選 】
赤紙は軍からの赤い召集令状の俗称。「これで俺は死にかけたんだ」と90も半ば過ぎた老人が見せてくれた。 文化の日は昔、明治天皇誕生日の明治節だった。
【 矢島 渚男 選 】
知らせあり三歳上の従兄逝くはじめて茶房へ誘ってくれた人
高槻市 佐々木 文子
三歳違いの従兄(いとこ)は、兄とも友人とも違う存在。茶房へ行く、という大人の階段への導き役でもあった。訃報(ふほう)を受けてなつかしい日々がよみがえる。切ない感情の漂う歌。 【 栗木 京子 選 】
高槻市 佐々木 文子
三歳違いの従兄(いとこ)は、兄とも友人とも違う存在。茶房へ行く、という大人の階段への導き役でもあった。訃報(ふほう)を受けてなつかしい日々がよみがえる。切ない感情の漂う歌。 【 栗木 京子 選 】
停まりたる木の実思考を始めけり 上尾市 中野 博夫
団栗(どんぐり)の天辺から芽が出て、グイと地面に入っているのを見たことがある。芽と思ったのは根で、団栗は先ず自信を大地に繋(つな)いだのだ。植物の思考は生のシステムそのもの。 【 正木 ゆう子 選 】
団栗(どんぐり)の天辺から芽が出て、グイと地面に入っているのを見たことがある。芽と思ったのは根で、団栗は先ず自信を大地に繋(つな)いだのだ。植物の思考は生のシステムそのもの。 【 正木 ゆう子 選 】
もう誰もノアにはなれず台風渦 羽村市 竹田 元子
旧約聖書の伝えるノアの洪水は一時的なものだったが、これからの「洪水」は地球全体の大気の温度が徐々に上昇してゆく結果だから、誰一人逃げ出せないという。 【 矢島 渚男 選 】
旧約聖書の伝えるノアの洪水は一時的なものだったが、これからの「洪水」は地球全体の大気の温度が徐々に上昇してゆく結果だから、誰一人逃げ出せないという。 【 矢島 渚男 選 】
蟷螂が吾(あ)を睨む雄齧るたび 鹿児島市 鶴屋洋子
雌のかまきりが交尾の後、雄を食べている。一口一口齧(かじ)るたびに目撃している吾をにらみつけるというのだ。秘め事を覗(のぞ)くなかれという強い視線を感じる。 【 小澤 實 選 】
雌のかまきりが交尾の後、雄を食べている。一口一口齧(かじ)るたびに目撃している吾をにらみつけるというのだ。秘め事を覗(のぞ)くなかれという強い視線を感じる。 【 小澤 實 選 】
スクラムや巨峰の如く押し合へり 小金井市 米山 明博
ラグビーワールドカップ。ルールを知らなくても、押し合いへし合いをする肉体だけはテレビで見た。一房にぎっしりの巨峰。納得。 【 正木 ゆう子 選 】
ラグビーワールドカップ。ルールを知らなくても、押し合いへし合いをする肉体だけはテレビで見た。一房にぎっしりの巨峰。納得。 【 正木 ゆう子 選 】
戻り来しハガキに前島密様一枚貼りてふたたび投函
久留米市 名島 ミヤ子
通常はがきの料金が一円値上がり。料金不足で戻ってきたはがきに前島密(ひそか)の肖像の一円切手を貼った。近代郵便制度の創設者に敬意を表して「様」を付けたのが心憎い。 【 栗木 京子 選 】
久留米市 名島 ミヤ子
通常はがきの料金が一円値上がり。料金不足で戻ってきたはがきに前島密(ひそか)の肖像の一円切手を貼った。近代郵便制度の創設者に敬意を表して「様」を付けたのが心憎い。 【 栗木 京子 選 】
蜜柑むく去年と同じ場所にいる 東京都 六笠 有子
確かに家で坐る場所は誰でも同じだろう。代り映えしない。しかし何事もなく同じ場所で蜜柑を食べられるのは、考えてみれば幸せなこと。 【 正木 ゆう子 選 】
確かに家で坐る場所は誰でも同じだろう。代り映えしない。しかし何事もなく同じ場所で蜜柑を食べられるのは、考えてみれば幸せなこと。 【 正木 ゆう子 選 】
また来るは別れの言葉花八手 千葉市 中村 重雄
若者同士の明るい「また来るね」もあるだろう。しかし私は、老親を訪ねた帰り際に必ずそう言った事を、心の痛みと共に思い出す。子がまた来るまでの親の寂しさを思う。 【 正木 ゆう子 選 】
若者同士の明るい「また来るね」もあるだろう。しかし私は、老親を訪ねた帰り際に必ずそう言った事を、心の痛みと共に思い出す。子がまた来るまでの親の寂しさを思う。 【 正木 ゆう子 選 】
天高し地球が浮かんでゐる日和 盛岡市 茂野 昭美
宙に浮いている地球に住んでいながら、わが身が宙に浮いているという実感はない。ところがあまりにもいい秋日和に一身と地球がともに浮遊している気分になる。
【 宇多 喜代子 選 】
宙に浮いている地球に住んでいながら、わが身が宙に浮いているという実感はない。ところがあまりにもいい秋日和に一身と地球がともに浮遊している気分になる。
【 宇多 喜代子 選 】