目についた記事を、その時々に書き込むつもりです。
呼吸(いき)するとくもる眼鏡やマスク大 羽曳野市 鎌田 武
用心して大きめのマスクをすると、上にかけた眼鏡が息をしただけで曇ってしまう。下五の「マスク大」に現在を感じ取る。 【 小澤 實 選 】
用心して大きめのマスクをすると、上にかけた眼鏡が息をしただけで曇ってしまう。下五の「マスク大」に現在を感じ取る。 【 小澤 實 選 】
早春や知恵を出し合ふ枝と枝 東京都 藤ヶ谷 国柱
一風変わっているが、説得力もある捉え方。芽吹く直前の枝々は、繊細で力強い生命力に満ちている。それを木々の知恵と呼んでもいい。「出し合ふ」の「合ふ」がまたいい。 【 正木 ゆう子 選 】
一風変わっているが、説得力もある捉え方。芽吹く直前の枝々は、繊細で力強い生命力に満ちている。それを木々の知恵と呼んでもいい。「出し合ふ」の「合ふ」がまたいい。 【 正木 ゆう子 選 】
蜂飼の淋しくなれば薪を割る 横浜市 早川 信之
花を求めて暖地を回っている養蜂家だろう。淋(さび)しい時には薪(まき)を割ってまぎらす。こうした句は作者自身が蜂飼なのか、それを見ている第三者なのかで価値が決まろう。 【 矢島 渚男 選 】
花を求めて暖地を回っている養蜂家だろう。淋(さび)しい時には薪(まき)を割ってまぎらす。こうした句は作者自身が蜂飼なのか、それを見ている第三者なのかで価値が決まろう。 【 矢島 渚男 選 】
たまご砂糖こむぎ粉バター春近し 東京都 高橋 よしえ
この材料でこれから作るのはケーキかクッキーか。たまご以下バターまで、これら脇役に押し出されている主役は「春近し」。 【 宇多 喜代子 選 】
この材料でこれから作るのはケーキかクッキーか。たまご以下バターまで、これら脇役に押し出されている主役は「春近し」。 【 宇多 喜代子 選 】
冬銀河土葬の祖父が目を覚ます 神戸市 山上 陽太郎
冬銀河を見上げていて、かつて土に葬った祖父が再生しているのではないか、と感じている。火葬ではなく、土葬であったことが生きている。冬銀河が壮麗である。
【 小澤 實 選 】
冬銀河を見上げていて、かつて土に葬った祖父が再生しているのではないか、と感じている。火葬ではなく、土葬であったことが生きている。冬銀河が壮麗である。
【 小澤 實 選 】
冬銀河やがては消ゆる人類も 青梅市 青柳 富也
発生し、栄え、やがて絶滅していった多くの種と同様、人類も永遠であるはずがない。せめてその理由が自業自得のせいでないことを。 【 正木 ゆう子 選 】
発生し、栄え、やがて絶滅していった多くの種と同様、人類も永遠であるはずがない。せめてその理由が自業自得のせいでないことを。 【 正木 ゆう子 選 】
七人の子が受験するたび願をかけひそかに茶断ちしてくれし母
藤沢市 渡辺 至利子
茶断ちは、神仏に願いをかけるときに一定期間茶を飲まないと誓うこと。七回も、しかもひそかに茶断ちをしてくれた母。影ながら支えることのありがたさが心に沁(し)みる。 【 栗木 京子 選 】
藤沢市 渡辺 至利子
茶断ちは、神仏に願いをかけるときに一定期間茶を飲まないと誓うこと。七回も、しかもひそかに茶断ちをしてくれた母。影ながら支えることのありがたさが心に沁(し)みる。 【 栗木 京子 選 】
小雨降る今日を最後の日と決めし人あり電車二時間止まる
枚方市 小川 洋子
電車に飛び込んだ人がいた。自殺という語を使わず。「最後の日と決めし」と表したところに作者のやさしさがにじむ。 しかし雨の日の二時間の足止めは、 まことに辛(つら)い。 【 栗木 京子 選 】
枚方市 小川 洋子
電車に飛び込んだ人がいた。自殺という語を使わず。「最後の日と決めし」と表したところに作者のやさしさがにじむ。 しかし雨の日の二時間の足止めは、 まことに辛(つら)い。 【 栗木 京子 選 】
上座とは鮟鱇鍋に遠かりし 相模原市 柴岡 友衛
丁寧に上座に案内されたのはいいが、なんとお鍋からは遠い。できればぐつぐつと滾(たぎ)る鍋の真ん前で、湯気も香りも楽しみたいのに。いかにもありそうで、ユーモラスな場面。 【 正木 ゆう子 選 】
丁寧に上座に案内されたのはいいが、なんとお鍋からは遠い。できればぐつぐつと滾(たぎ)る鍋の真ん前で、湯気も香りも楽しみたいのに。いかにもありそうで、ユーモラスな場面。 【 正木 ゆう子 選 】
堂堂と椿の花は真紅なり九十の友の手書きの賀状
座間市 高田 孝子
近年大人気の「ハガキ絵」。年賀にふさわしい大輪の椿の絵を眺めつつ、高齢の友の健康を祝うのだ。真紅の色彩が印象的。 【 黒瀬 珂瀾 選 】
座間市 高田 孝子
近年大人気の「ハガキ絵」。年賀にふさわしい大輪の椿の絵を眺めつつ、高齢の友の健康を祝うのだ。真紅の色彩が印象的。 【 黒瀬 珂瀾 選 】