まんまるの大きなやかん湯気たてて

　　　まんまるの大きなやかん湯気たてて　　　前橋市　　星野　久美子

だれにでもわかる句とはこんな句だろう。このやかんはストーブの上にでも在るのか。 「まんまるの大きなやかん」というモノの形が、不動の存在感を出している。　　　　　 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　【 宇多　喜代子 選 】

雪晴れや多喜二母校はわが母校

　　　雪晴れや多喜二母校はわが母校　　　小樽市　　前田　満夫　　

プロレタリアート文学の作家。小林多喜二と母校が同じ。多喜二は小樽で育った。雪晴れという季語に先輩を誇らしく思う気持ちが現れている。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　【 小澤 　　實 選 】

文の論理的読解 解りますか？

次の報告から確実に正しいと言えることには○を、そうでないものには×を、左側の空欄に記入してください。

　　公園に子供たちが集まっています。　男の子も女の子もいます。
　　よく観察すると、帽子をかぶっていない子供は、みんな女の子です。
　　そして、スニーカーを履いている男の子は一人もいません。

　　　□ １ 男の子はみんな帽子をかぶっている。
　　　□ ２ 帽子をかぶっている女の子はいない。
　　　□ ３ 帽子をかぶっていて、しかもスニーカーを
　　　　　　 履いている子供は一人もいない。

　　　　　　　【 日本数学会「大学生数学基本調査」 　 読売新聞（朝） 】

お題 「 うどん 」 （ '12.03.01 ）

今週の特選句
　　 泣かぬ夜ラジオとうどんの音響き （ 広島県　笠原　純子　５８歳 ）　　
　　　 　リクエストしてみよっかな・・・・・・ふぅ。　特選。

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ほかに、
　　カレーうどん付いてけちつく勝負服　（ 岐阜県　桑原　寂　７０歳 ）
　　　 　勝負パンツに付かなくて良かったじゃん。

　　うどんなら疑われない下心　　　　　　　（ 兵庫県　たむ兵　５５歳 ）
　　　 　でも進展もしないだろうなぁ。

　　うどんつゆ飲み干す両手指太く　 （ 東京都　松本　靖子　７３歳 ）　　
　　　 　出汁が総身に沁み渡らぁ。 

　　丸い背の祖母（はは）が厳しく打つうどん
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（ 福岡県　谷口　嘉子　７３歳 ） 
　　　 　おっ母さんの手打ち、こりゃあコシが強そうだ。
　　　 
　　　　　　　　　　　　　＜２月２３日号が抜けてしまいました・・・！＞

この葉書雪の匂いがしませんか

　　　この葉書雪の匂いがしませんか　　　奥州市　大川　若志

こう言われれば、「します」 としか言えない句である。奥州市からの葉書。
しかも今年の大雪は尋常ではない。お見舞い申し上げます。　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　【 正木 ゆう子 選 】

咲き切れぬ思いを紅に冬薔薇

　　　咲き切れぬ思いを紅に冬薔薇　　　町田市　　河原　秀代

一見甘く見える句だが、冬薔薇（ふゆそうび）の特質がよく伝わる。寒気の中で小さく凝縮されたように咲く姿は、初夏の薔薇（ばら）とは全く違う趣。　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 【 正木 ゆう子 選 】

茎漬のもつとも太き茎より嚙む

　　　茎漬のもつとも太き茎より嚙む　　　東京都　　望月　清彦

茎漬といっても、太い茎と葉の部分では味わいが違う。嚙（か）んだ際の音も違う。たべものの句は、読んで食べたくなる句が秀逸。　【 小澤 　　實 選 】

野沢菜のほんとの味を数本の昔ながらの歯でかみしめる

　　野沢菜のほんとの味を数本の昔ながらの歯でかみしめる
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　上田市　　丸山　英二

「昔ながらの歯」とは、入れ歯ではない自前の歯ということだろう。自分の歯でかみしめると味も音も格別なのに違いない。野沢菜も昔なつかしい味がしたはずである。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　【 栗木　京子 選 】

「昔ながらの歯」という表現に、もう一工夫あってもよいのでは・・・？

春近し有るか無きかの河馬の耳

　　　春近し有るか無きかの河馬の耳　　由利本荘市　　松木　蕗州

あの巨体にしてこれっぽちの耳なの、と思う。水に潜っていても耳と目と鼻の穴だけは水面に出ている。こんな観察が楽しいのも春が近いから。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　【 宇多　喜代子 選 】

うつされてうつして風邪の癒えにけり

　　　うつされてうつして風邪の癒えにけり　　　松山市　　久保　　栞

まわりの人に風邪をうつされたり、風邪をうつしたりしているうちに、風邪は治る。風邪の本質を捉えつつ、どこかおかしみがある。　　【 小澤 　　實 選 】