目についた記事を、その時々に書き込むつもりです。
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   一合の筍飯と自由かな   横浜市  大島 早苗

おそらく一人暮らしだろう。 それでも、時季には旬のものを揃(そろ)えて楽しむ。  加えてなにものにも替えがたい「自由」がある。 余人にはわからぬ佳(よ)き日々、よき日常である。                         【 宇多 喜代子 選 】


   雪をまじへ千筋のしだれ桜かな   町田市  枝沢 聖文

今年は気象異変で桜が満開の時期に雪が降った所もあった。 これは大きな枝垂れ桜。「千(ち)筋」がいい。枝の花に雪がついて美しい眺め。 【 矢島 渚男 選 】


   一輪の花摘みバイカル湖を発ちぬ   吉森 美信 

作者はシベリアに抑留された人。永かった苦難の後に帰国の日がようやくやってきたのだ。異国に別れる日、バイカル湖畔に咲く一輪の花を摘んだ。記憶の底にいまも咲く。                                 【 矢島 渚男 選 】


今週の特選句

  ちらし寿司妻に余力の有った頃      ( 東京都 安元 ふみき 62歳 )  
     まだまだ! 作れる作ってお願い! 特選!


ほかに、
  人生の節目に母のちらし寿司      ( 神奈川県 青木 恭子 74歳 )
     おかげで、今日まで幸せに生きてきました。


  子が巣立ちたった2合のチラシ寿し     ( 兵庫県 西宮 小町 62歳 )
     あいつ、一人で2合くらい食ってたもんな。

  税抜きのちらしに釣られ腹を立て       ( 埼玉県 藤田 てこ 65歳 )
     あんさんよく見なはれ。騙してへんで。

  古希も越え時間つぶしのポスティング    ( 東京都 秋本 守祐 74歳 )
     有効な時間の遣い方かと。 えぇ。 

  億ションのチラシの上で爪を切る     ( 神奈川県 富田 雅之 48歳 )
     ハクションと億ションて似てるね。

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   ■
募集お題 「 ブラシ 」
   ■ 「お題」にそった川柳を、はがき1枚につき1句から5句まで。
   ■ 住所・氏名(ペンネームの場合も必ず本名を)・年令・電話番号・
      お題を明記してください。
   ■ 締め切りは5月20日(消印有効)です。
      なお応募作品は返却いたしません。
      また、同じ句を他誌に投稿する二重投稿は厳禁です。
      特選句には賞金を差し上げます。
   ■ ご記入いただきました個人情報は、
      本欄への掲載と賞金発送にためにのみ使用いたします。
   ■ 宛先 〒102-8008
      千代田区紀尾井町3-23 週刊文春「川柳のらりくらり」係


   肉声は一人にひとつ四月くる   塩尻市  神戸 千寛

なるほど顔が違うように声もまた違うのであろう。 すこしずつでもみんな違う人間。 季語は難しいが、「四月」はかなり適切。 入学式での「ハイ」の返事を思わせる。 
                                    【 矢島 渚男 選 】


   あの人もこの人も居ず桜咲く   横浜市  遠矢 時子

原句は「桜散る」だが、この内容であれば、季語は逆に「咲く」と明るくした方が引き立つ。年齢を重ねるにつれ同様の思いは深い。         【 正木 ゆう子 選 】


   子は声に花びら付けて帰り来ぬ   福岡市  後藤 啓之

桜の花弁が髪に付くのなら普通だが、声に付く? 聞いたことのない表現ながら、ちゃんと子供の様子が浮かぶ。美しいものを見た喜びに、声を弾ませて帰ってきたのだろう。                                 【 正木 ゆう子 選 】


   少年の足はみだして花筵   熊本市  田村 三渓

去年までは少年相応の体格だったのに、急に大きくなり、花見の茣蓙(ござ)には おさまらなくなった。 花見にきて、花ならぬ少年に奪われた目。 すくすく育っている少年が眩(まばゆ)い。                     【 宇多 喜代子 選 】


   今日寂しきひとの数だけ桜咲く   東京都  稲垣 みち子

満開の桜に群れる人々。作者は、人はみんな寂しいのだと言いたいのである。大胆な断定だ。                            【 矢島 渚男 選 】


   花盛り獏が一頭寝てをりぬ   門真市  奥中 渓水

本物の獏は足が短くずんぐりとした体形。 いま一つ、人の悪夢を食ってくれる想像上の獏がいる。この二つが一つになったような人が寝ている。愛すべき人だ。花時の長閑な情感の句。                         【 宇多 喜代子 選 】


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