目についた記事を、その時々に書き込むつもりです。
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「未完」の語は、「完成」の反対語だが、思想性の高い語彙である。何故なら宇宙も神も完成しておらず、完成することなく終焉(しゅうえん)を迎えるからである。いわば初めもなく終わりもない。これは事実である。「脳」の存在も、人間が指向する限り進化し、死をもって終わるが、人間そのものは常に未完で終わる。人間も、宇宙も、神仏も未完成の存在なのだ。   

【特選】
   未来より枯野にあをき雨の降る   中戸川 奈津実
人間は未来・現在・過去へと流れてゆく時間軸の中に存在していると考えられる。上五の「未来より」に対する、中七下五の「枯野にあをき雨の降る」の措辞が素晴らしい。SF小説を想起させるドラマ性のある作品。

   今日という過去を生きをり寒椿    松永 富士見
座五の「寒椿」に対して、上五中七の「今日という過去を生きをり」の措辞が抜群に効いている。この句も未来・現在・過去へと流れてゆく時間意識を持った佳吟。
           <10.3.6  読売新聞(夕刊) 魂の一行詩より>



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