目についた記事を、その時々に書き込むつもりです。
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   爆裂のごとき頭髪卒業歌   さいたま市  藤井  恵

爆裂型の髪の毛は、見るからにつっぱた高校生を思わせる。そんな生徒でありながらも、みんなと一緒に卒業の歌を歌っているという光景はどこか微笑(ほほえ)ましくもある。選者となって最初に選んだもので、私自身にも思い出深い句になった。作者は欠詠もなく、個性的な作品で何度か入選を果たしている。成長が楽しみな作者である。         【 矢島 渚男 選 】

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   そこに山そこに河あり敗戦忌   札幌市  小山 耕昭

昭和20年8月15日を身をもって体験した人が、一人また一人といなくなる。かの日、一面の焦土に立った多くの人が、この国の山河がふたたび蘇(よみがえ)ることがあるかしらと思った。ただ山がある、河があるという平凡な風景がどれほど幸いなことか。そんな感慨を感情を交えることなく表現した句である。                        【宇多 喜代子選】

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   台風にこと寄せて聞く子の暮し   茅ヶ崎市  清水 呑舟
 
「こと寄せる」は「かこつける、言い訳にする」。優しくゆかしい言葉である。様子を聞きたいと思いつつも、頻繁に電話するには遠慮のある子供の家へ、台風にかこつけて電話をかける親心。男親であれば、さらに妻経由でそれを聞くのかもしれない。内容も表現も、使われている言葉も穏やかで、一読、胸が温かくなる。                     【 正木ゆう子 選 】

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   畦焼きの火と金星とひかりあふ   津 市   中山いつき

畦(あぜ)を焼いている内に、日は暮れてしまった。闇の中で畦は燃えつづけている。空のかなたに宵の明星が輝いているのに気付いた。天と地との呼応が美しい。地上の火と金星とで、大きな虚の空間を捉(とら)えている。金星の光に励まされている感じもある。夜の風景を詠んだ句は、数少ない。労働を詠んだ句も貴重である。                【 小澤  實 選
 



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