目についた記事を、その時々に書き込むつもりです。
[382]  [381]  [380]  [379]  [378]  [377]  [376]  [374]  [375]  [371]  [370
   爆裂のごとき頭髪卒業歌   さいたま市  藤井  恵

爆裂型の髪の毛は、見るからにつっぱた高校生を思わせる。そんな生徒でありながらも、みんなと一緒に卒業の歌を歌っているという光景はどこか微笑(ほほえ)ましくもある。選者となって最初に選んだもので、私自身にも思い出深い句になった。作者は欠詠もなく、個性的な作品で何度か入選を果たしている。成長が楽しみな作者である。         【 矢島 渚男 選 】

  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

   そこに山そこに河あり敗戦忌   札幌市  小山 耕昭

昭和20年8月15日を身をもって体験した人が、一人また一人といなくなる。かの日、一面の焦土に立った多くの人が、この国の山河がふたたび蘇(よみがえ)ることがあるかしらと思った。ただ山がある、河があるという平凡な風景がどれほど幸いなことか。そんな感慨を感情を交えることなく表現した句である。                        【宇多 喜代子選】

  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
  
   台風にこと寄せて聞く子の暮し   茅ヶ崎市  清水 呑舟
 
「こと寄せる」は「かこつける、言い訳にする」。優しくゆかしい言葉である。様子を聞きたいと思いつつも、頻繁に電話するには遠慮のある子供の家へ、台風にかこつけて電話をかける親心。男親であれば、さらに妻経由でそれを聞くのかもしれない。内容も表現も、使われている言葉も穏やかで、一読、胸が温かくなる。                     【 正木ゆう子 選 】

  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

   畦焼きの火と金星とひかりあふ   津 市   中山いつき

畦(あぜ)を焼いている内に、日は暮れてしまった。闇の中で畦は燃えつづけている。空のかなたに宵の明星が輝いているのに気付いた。天と地との呼応が美しい。地上の火と金星とで、大きな虚の空間を捉(とら)えている。金星の光に励まされている感じもある。夜の風景を詠んだ句は、数少ない。労働を詠んだ句も貴重である。                【 小澤  實 選
 



Comment 
Name 
Title 
Mail 
URL 
Comment 
Pass   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字


カレンダー
10 2024/11 12
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
ブログ内検索
最新コメント
[12/31 越中之助]
[12/31 越中之助]
[12/10 ?]
[10/30 読売読者]
[09/06 榎丸 文弘]
最新トラックバック
バーコード
フリーエリア
ゲイ無料総合サイト
カウンター