目についた記事を、その時々に書き込むつもりです。
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   残りもの大鍋で煮て牧終い   栃木県  あらゐひとし

「討入の日を風俗の街にをり」 「給食のおばさんとハグ卒業子」 「遠泳のゴールの島で妻を待つ」 など年間を通じユニークな視点を持つ高水準の作品を作った。 
高原の牧場終(じま)いの句には牛馬が登場するのが普通だが、彼らはもうトラックに乗って出発を待っているのだろう。その省略が見事。     【 矢島 渚男 選 】
 

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   新米の渾身といふ光かな   茅ヶ崎市  清水 呑舟

秋、新米の光と鼻腔(びくう)に広がるその香りに会うたびに、安堵(あんど)の気分をあじわう。田仕事が機械化されたとはいえ、頼りにするのは夏の日差しと雨に風と円滑な作業。新米が無事に稔るのはまさに時機に添った作業と五風十雨の恵みである。この恵みを「渾身(こんしん)」という二字にこめたところが忘れがたく、本年の年間賞とした。                         【 宇多 喜代子 選 】

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    稲刈や先祖代々空が好き   横浜市  津田  寿

明るさと単純さにおいて際立っていた一句。「稲刈」も「先祖代々」も「空が好き」も普通の言葉であり、内容もごく普通。しかし改めてこう言われると、ああ、人間はこのことさえ忘れなければ大丈夫だと思わせてくれる。稲の育つ健全な土、働くことのできる平和、晴れ晴れと空を仰ぐ心のゆとり。その他に何が要るだろう。
                                    【 正木 ゆう子 選 】

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   鳥の糞瞬時に灼けぬ岩を打ち   名古屋市  可知 豊親

鳥の放った糞が、岩を打った瞬間に、岩にやきついてしまったというわけだ。剥(む)きだしの岩があるということは、場所は河辺か磯かであろう。時間は夏の暑き日の午後。鳥の糞だけを即物的に描くことで、生々しい音や匂いも感じとらせた。鷺(さぎ)か鵜(う)といった大型の鳥の気配を宙に感じる。瞬時という時間を切り出しているのもみごと。                             【 小澤  實 選 】


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