目についた記事を、その時々に書き込むつもりです。
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  限りなきかなしみ抱(いだ)きめぐみとふ名を呼ぶ母の瞳(め)はやはらかし
                            高槻市  佐々木 文子 

戦争が終わってほっとしていた国民の上に、突如として襲ってきた憎むべき災厄、それが拉致事件だ。母国の国土から突然、外国に拉致され、国民としてのすべてを奪われた人と、その家族の不幸を思う。歌は被害者の母の嘆(なげ)きとして表現してあるが、奥に広がるのは博(ひろ)い人間としての怒りである。
                                    【 岡野 弘彦 選 】


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  妻と住む薩摩の山家冬の夜は大黒柱の裂ける音する
                            霧島市  久野 茂樹

正攻法によるごくまっとうな一首。スケールが大きく、ダイナミック。山里深いところに妻とふたりの生活を営む。しんしんと冬夜が深まってピシリピシリと柱の割れる音がする。しらべがよく通って、韻律またきびしく、内容と表現がよく調和している。「薩摩の山家」というところがとくによい。                   【 小池  光 選 】


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  デザイナーの孫の新作ブラジャーは不要なれども記念に買いぬ
                            東京都  五十代 ひさ

作者は80代。 孫がデザインしたブラジャーに対して「不要なれども」と言い切った率直さに感服した。不要と思いつつもわざわざ購入したところが、なおすばらしい。洋服やアクセサリーでなく下着だからこその味わいがある。 祖母と孫との交流が、 洗練されたユーモアにくるんで表現されている。         【 栗木 京子 選 】


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  それぞれのたった一人を追うレンズ秋桜の群れ揺れるごとくに
                            船橋市  矢島 佳奈

育児と短歌は相性がいい。子どもの成長を短歌というフレームで切り取っていけば、言葉のアルバムになる。矢島さんは、まさにそのように生き生きとした子どもの歌を投稿された。この作品は、少しヒキの視線で、親というものがよく捉えられている。「それぞれのたった一人」が鋭くて、どこか切ない。        【 俵  万智 選 】


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