目についた記事を、その時々に書き込むつもりです。
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   あはれ知る武士かなし実朝忌   中村 寛明

源実朝は藤原定家に師事して優れた歌の数々を残したが、甥(おい)に暗殺されて死ぬ。彼を「あはれ知る武士(もののふ)」と一言で詠って秀逸である。 
                                    【 矢島 渚男 選 】


   山眠るとろりとろりと茶を注ぐ   むつ市  畑中 継雄

山河も生き物もひっそりと背を丸めて籠っている。雪に覆われた屋根の下で人々が茶を飲みながら春を待っている。「とろりとろり」 が、冬眠状の生態をよく言い表している。                                 【 正木 ゆう子 選 】


   仏彫る木屑も仏空海忌   東京都  吉田 かずや

一木がどこかで仏と屑(くず)に分かれる。この真理を、一語二語で語ることは難しい。それをそれとなく伝えている句。                【 正木 ゆう子 選 】


   薄氷を踏めば地獄へ落ちさうな   大牟田市  鹿子生 憲二  

春は名のみのいまだ寒い時季に見られる薄氷。 こんな美しく儚(はかな)いものを踏むなんて、そんな気分を「地獄へ落ちそう」だと大胆に表現する。
                                   【 宇多 喜代子 選 】


   閃いて餃子に刻む蕗の薹   厚木市  石井  修

結果がどうだったかは書いてないが、蕗(ふき)の薹(とう)が豊富にあれば試してみたいところ。上五の軽い出だしに臨場感があって楽しい。   【 正木 ゆう子 選 】


  さびしげに夜汽車の窓に手を振りし母が目に見ゆ上野駅の朝
                           富山市  吉野 のぶ子

北陸地方への旅も、新幹線の開通で近くなった。 夜汽車で上京した昔を思い、見送ってくれた若き日の母をなつかしむ歌。           【 岡野 弘彦 選 】


  ポケットにしまひ忘れしスカーフが手品のようにふっと現る
                          松江市  犬山 純子

探していたときは見つからず、思いもよらないときに出てくる忘れ物。手品の比喩が、驚きを表現しつつ、かつスカーフにぴったりだ。        【 俵  万智 選 】


    風生忌鴬餅の声聞けば   周南市  木村 しづお

鴬(うぐいす)餅といえば「街の雨鴬餅がもう出たか」。 富安風生(ふうせい)の代表句である。忌日は2月22日。鴬餅を以て偲(しの)ばれることを風生は喜びそう。
                                    【 正木 ゆう子 選 】


  海光る隠岐の島山殺されし少年の身をやさしくつつめ
                        茅ヶ崎市  山内 とみ子

あの不幸な少年は、自分の育った小島に離れがたい愛着を持っていた。作者は「 痛ましい死に対して、まだ心の整理が付きません」 と言う。 この一首は、心深い追悼歌だ。                              【 岡野 弘彦 選 】


  月曜の楽しみ一つ失って小菅暢子の歌読みかえす
                         八王子市  岡部 美穂

小菅さんの死を悼む作が、30首近く寄せられた。かつての作品に触れている歌も目立つ。ファンの多い人だったと改めて思う。           【 俵  万智 選 】

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  小菅さんの歌書きとむるたのしみの失せて侘しも月曜歌壇
                         東京都  荒川 流美

たびたび本欄にいい歌を投稿されていた小菅暢子さん。 亡くなられたようである。 小菅さんへの追悼歌が十首くらいもあった。           【 小池  光 選 】


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