目についた記事を、その時々に書き込むつもりです。
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   夜桜となりゆく花の白さかな   吹田市  山崎 隆子

朝の桜、昼間の桜 、夕方の桜、夜の桜、それぞれに色調もあたりとの調和も違う。その微妙な推移をとらえた句。               【 宇多 喜代子 選 】


   春眠の覚めても母の居ぬこれから   東京都  徳山 麻希子

目覚めて、もう母はいないのだとしみじみ思うのは、葬式などが一段落したときかも。天寿を全うしての死が想像される詠み方である。      【 正木 ゆう子 選 】


   これからと言ひし母逝く春の月   神戸市  村田 淑子

こちらも偶然に「これから」を要の言葉として母の死を詠んだ句である。 まだまだ人生はこれからと言っておられた母上なのだろう。         【 正木 ゆう子 選 】


   背負ひたる大きな闇や夜の桜   福山市  広本 貢一

闇に浮かぶ桜は紫がかった白さで昼間の桜にない妖(あや)しさをまとう。桜の背後の暗さが乱れのない句形を生かして端正に表現されている 【 宇多 喜代子 選 】


   6畳に妻を娶(めと)りし四月来る   東京都  榎  正好

4月は結婚した月。 6畳一間のささやかな生活が始まった月だった。 そんな思いが胸をよぎり、その後の暮らしを思い起こす。 「6畳」の具体性がいいのだ。
                                     【 矢島 渚男 選 】 


   晴れ晴れと死の話する苗木市   下妻市  神郡  貢

苗木市で友人と会い、死の話にまで及んだ。 でも生き生きした若木たちの中で、しかも晴天、どこか明るく済ますことが出来た。          【 矢島 渚男 選 】 


   喜寿5人日銀見学四月馬鹿   八王子市  中野 美保子

 こちらはまた別の庶民性。近寄りがたい日本銀行を 賑やかに見学する喜寿5人。 お土産に1億円くれないかな、などと言いながら。    【 正木 ゆう子 選 】


  青空も桜も人もやわらかくうしろに流してゆく屋形船
                            横浜市  水野 真由美

「うしろに流してゆく」が、素晴らしい。 屋形船に乗りながら、まさに景色が動いているという実感が伝わってくる。                     【 俵  万智 選 】


   桜貝打ち上げて波帰らざる   武藤 紀子 ( むとう のりこ )

桜貝を拾いながら思う。桜貝を浜辺へ運んできた波はどこへ去ったのか。波は海に紛れて同じ波は二度と現れることはない。その思いはたちまち自分に及んだだろう。私をここまで運んできた波はどこへ去ったのか。句集『冬干潟』から。
                      【 '17.04.21 四季 ・ 長谷川 櫂 選 】


    猫の恋耳の千切れた奴が来る   川崎市  多田  敬

猫の恋も簡単に成就することはない。雌(めす)を争って戦い、耳までちぎれてしまった猛者の雄が登場した。猫の世界も波乱が起りそうだ。  【 小澤  實 選 】


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