目についた記事を、その時々に書き込むつもりです。
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  処分する服よりボタンを切り取りて母の遺愛の小瓶に収む
                            匝瑳市  椎名 昭雄

洋服を保管しておくのは大変だが、ボタンだけなら場所を取らない。おしゃれなボタンは十分に母の思い出をとどめている。「遺愛の小瓶(びん)」にこまやかな情感が漂う。                                 【 栗木 京子 選 】 


   石置けば石を登りて蟻の列   茨木市  瀬戸 順治

蟻(あり)の列の中に石を置くと、石を登って進んでいく。蟻の確かな意思が書きとめられた。下五の「蟻の列」が来て句意が定まるのも快感。   【 小澤  實 選 】


  虚弱なりしわれに来向かふ八十(やそ)の春父母の知らざる歳月を生く
                              下関市   森  利治

胸の内で、声にしてつぶやいてみると、一層しみじみとした思いが伝わってくる。両親の深い愛護を受けて、すこやかに長寿を得た作者の、感謝の思いはつつましく深い。                                 【 岡野 弘彦 選 】


   春野行くバス一人降り一人乗り   小松市  山形 一彰

のどかな光景である。 車窓に爛漫(らんまん)の春を満喫しつつ、 乗客の少ない路線バスに揺られている。 満員ともラッシュとも無縁のバスである。
                                   【 宇多 喜代子 選 】


   闘牛の横綱2トン磨かれて   久慈市  和城 弘志

これから闘牛が始まるのか、巨大な牛が磨かれている。 「2トン」 という具体的な重さが、牛の大きさをものがたっている。 それが二頭もぶつかりあうとは、すごい。
                                     【 小澤  實 選 】


   奮発の新茶ですよと供へけり   川口市  広田 絹子 

亡き夫のために仏壇に新茶を淹(い)れて供えた。「奮発の新茶ですよ」という自然な口ぶりは、まるで夫が生きているかのよう。           【 小澤  實 選 】


   括り罠鹿は懸命に生きた   桐生市  登坂 聖子

リズムが硬いが、こう詠むことで作者は鹿の哀れさに寄り添ったのだろう。罠(わな)にも事情があるけれど、実際に見れば平静でいられない。  【 正木 ゆう子 選 】


   塩むすび尖りを食めば山笑う   和歌山市  針谷 国光

三角お結びの一口目は嬉(うれ)しいものである。底辺を持ち、丸みを帯びた上のとんがりから食べる。誰もがお結びを食べたくなりそう。     【 正木 ゆう子 選 】


   啓蟄や金子兜太はもう居ない   川崎市  池田  功

依然として金子兜太(とうた)を惜しむ投句が多い。「わたしは他界に生きる」は兜太の没後観だったが、とは言えさみしい。            【 宇多 喜代子 選 】


   ホーキング博士加わり春の星   岩手県  すなせあみ

優れた理論物理学者であるばかりでなく、宇宙にロマンを感じさせてくれる存在だった博士には、死んでお星さまになるという物語がよく似合う。 「加わり」 が賑(にぎ)やかでいい。                            【 正木 ゆう子 選 】


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