目についた記事を、その時々に書き込むつもりです。
ラガー吐く唾と血と砂歯の欠片(かけら) 廿日市市 水野 昌人
ラガーとは、ラグビー選手のこと。彼が吐いた唾に血と砂と歯のかけらまでが混じっていたとは。これらのモノが、そうとうに激しい試合を戦っていることを想像させるのだ。
【 小澤 實 選 】
ラガーとは、ラグビー選手のこと。彼が吐いた唾に血と砂と歯のかけらまでが混じっていたとは。これらのモノが、そうとうに激しい試合を戦っていることを想像させるのだ。
【 小澤 實 選 】
冬ざれや釘錆びて浮く波トタン 稲沢市 杉山 一川
冬のさびしさを小屋の屋根か壁の波トタンに打ち付けた釘が浮き上がったところに感じ取っている。中七、確かな描写である。 【 小澤 實 選 】
冬のさびしさを小屋の屋根か壁の波トタンに打ち付けた釘が浮き上がったところに感じ取っている。中七、確かな描写である。 【 小澤 實 選 】
初夢の猫は鍼灸院のタマ 栃木県 あらゐ ひとし
初夢に出てきたあの猫はどこかで見た奴(やつ)だったか。そうだ。いつもゆく鍼灸院(しんきゅういん)の猫だ。名前さえ思い出した。軽い句だが、面白い。
【 矢島 渚男 選 】
初夢に出てきたあの猫はどこかで見た奴(やつ)だったか。そうだ。いつもゆく鍼灸院(しんきゅういん)の猫だ。名前さえ思い出した。軽い句だが、面白い。
【 矢島 渚男 選 】
地魚も地酒も寒くなればこそ 枚方市 舟橋 充子
寒いときには水も、魚も日本酒も美味(おい)しい。そう書きながら、実りの秋も春の恵みも美味しいと気づく。結局一年中美味しい、この国。 【 正木 ゆう子 選 】
寒いときには水も、魚も日本酒も美味(おい)しい。そう書きながら、実りの秋も春の恵みも美味しいと気づく。結局一年中美味しい、この国。 【 正木 ゆう子 選 】
寒鯉の動かぬといふ堅さかな 秩父市 辺見 弘
冬眠中の鯉(こい)。水底でじっとしている。その様子を「堅さかな」と見た句。まるで石か鉱物で作ったように堅く見える。 【 宇多 喜代子 選 】
冬眠中の鯉(こい)。水底でじっとしている。その様子を「堅さかな」と見た句。まるで石か鉱物で作ったように堅く見える。 【 宇多 喜代子 選 】
ビルとビルの間の空がきれいだったと胴上げされし駅伝選手
土浦市 大竹 淳子
お正月の箱根駅伝だろう。アンカーの選手がみなに胴上げされてその感想をインタビューで聞かれてこう答えた。なかなか気の利いたセリフ。名言といってもいいくらい。
【 小池 光 選 】
土浦市 大竹 淳子
お正月の箱根駅伝だろう。アンカーの選手がみなに胴上げされてその感想をインタビューで聞かれてこう答えた。なかなか気の利いたセリフ。名言といってもいいくらい。
【 小池 光 選 】
初雪がまつ毛にとまる 近すぎて見えないことがあるのだと知る
京都市 袴田 朱夏
まつ毛の雪は近すぎてピントが合わない。上の句の具体性と、そこから導かれた下の句の抽象性のバランスがいい。家族、故郷、友人・・・近すぎて見えない人生のあれこれを、読者の心に広げる歌だ。 【 俵 万智 選 】
京都市 袴田 朱夏
まつ毛の雪は近すぎてピントが合わない。上の句の具体性と、そこから導かれた下の句の抽象性のバランスがいい。家族、故郷、友人・・・近すぎて見えない人生のあれこれを、読者の心に広げる歌だ。 【 俵 万智 選 】
孫のこと触れぬ付合ひ日向ぼこ 上尾市 松本 光弘
自分は話したくて仕方ないのだが、相手に孫がいないのかな。こんな心遣いってありますね。これは良き「忖度(そんたく)」が必要な場合。 【 矢島 渚男 選 】
自分は話したくて仕方ないのだが、相手に孫がいないのかな。こんな心遣いってありますね。これは良き「忖度(そんたく)」が必要な場合。 【 矢島 渚男 選 】
気掛かりな猿の湯冷めでありにけり 霧島市 久野 茂樹
温泉に入る猿を詠んだ句は、当欄にも載ったこともあるし、他でも読まれているだろう。それにしても、シンプル且(か)つ巧(たく)みな語順。 【 正木 ゆう子 選 】
温泉に入る猿を詠んだ句は、当欄にも載ったこともあるし、他でも読まれているだろう。それにしても、シンプル且(か)つ巧(たく)みな語順。 【 正木 ゆう子 選 】
御代替りの年明けにけり願わくは志津香に燃えよわれの命も
稲城市 山口 佳紀
昭和・平成、二つの大きな変遷を経た時代を体験した私も、いま、この歌の作者と同様の感慨を深く胸に抱きながら、同時に、一首の下の句の思いに共感を深くする。 【 岡野 弘彦 選 】
稲城市 山口 佳紀
昭和・平成、二つの大きな変遷を経た時代を体験した私も、いま、この歌の作者と同様の感慨を深く胸に抱きながら、同時に、一首の下の句の思いに共感を深くする。 【 岡野 弘彦 選 】