目についた記事を、その時々に書き込むつもりです。
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  頭から靴のなかまで大夕立(ゆだち)   多摩市  福田 澄子

突然の大夕立で、びしょ濡れになってしまった。 「靴のなかまで」の素朴さがよい。 道路も水浸しなのだ。 世界的な異常気象で、各地にこんな事態が起こっている。                       【 矢島 渚男 選 】


   雨に濡れ紫陽花になる地球かな   鹿角市  石川 ゆみこ

紫陽花あじさい)が天体のように丸いことからの発想だろうが、ひっくり返して地球を紫陽花に喩え、しかも隠喩にしたことで、とてもユニークな句に。
ときにはこんな冒険作を。                【 正木 ゆう子 選 】



   空蝉の葉裏に時の止まりけり   加須市  佐藤 貴白草

空蝉は大いに詩情を刺激する季語に一つ。命はないのに、屍ではなく、ある日ある時の蝉の姿をいつまでも留めている神秘的なもの。【正木ゆう子 選】



  帰省子(きせいし)の声に隣の犬吠ゆる   東京都  望月清彦

久しぶりに郷里に帰った子の声を聞いて、隣の犬まで歓迎して吠えている。すぐに遊んで欲しくてたまらないのだ。尾も振っていよう。 【小澤  實 選 】


   鉢巻ハ夏向キナノダバガボン忌   市川市  杉森 日出夫

赤塚不二夫の忌日は8月2日。作者はバガボン忌と呼んで、偉才惜しむ。上五中七はバガボンのパパのことばにまことにふさわしい。【小澤  實 選 】


   神様に百円玉をお渡しし無人スタンドの大根を買ふ
                       東京都  上田 国博

小箱に硬貨を入れて大根一本買って帰る。おなじみの光景だが「神様」に渡すところがウイット。そうかあれは代金でなく お賽銭(さいせん)なんだ、と納得。                            【 小池  光 選 】


  水風呂のなかにしばらく沈みゐて西瓜のやうな心地の私
                          東京都  小菅 暢子

冷やされる西瓜と、水風呂のなかの作者との、重ね合わせが楽しい一首。比喩とはいえ、西瓜が生々しく感じられる。       【 俵  万智 選 】


ざくろたべ黄泉(よみ)の国へと消えゆけり  田中 瑠璃

しにばしょをこおろぎほたるとはなしてる    高橋かのん

じゅふんさせたくさんはなびうまれけり     田中 真理

第一句目の田中瑠璃(7歳)の句は、ギリシャ神話と古事記の共通点を一句にした。第二句目の高橋かのん(6歳)の句は、イソップ物語をモチーフに村上鬼城の代表句<冬蜂の死にどころなく歩きけり>を彷彿(ほうふつ)させる作品。上五の「死に場所を」が凄い。第三句の田中真理(4歳)の句は、雄しべも花粉を雌しべに受粉させて沢山の花火が生まれた、という発想に驚嘆した。

         【 角川 春樹 選 魂の一行詩 ( 11.08.06 ) より 】


   短夜やつかみどころの無き不安   門真市  皆木 多恵子

寝覚めの無防備な心にふと過ぎる不安。共感する人も多いだろう。個人的な不安というより、時代が変わるときの感覚なのかもしれない。
                               【 正木 ゆう子 選 】



   水は低きに我は易きに雲の峰   枚方市  秋岡  実

水が低きに流れるように、自分は易きに流れていく。いまはもう新しい困難に立ち向かう根気もなくなったと老年のありのままを詠う。まことに恰好はよくないが、恰好よくないことも正直に詠うのが詩の王道であろう。 
                               【 矢島 渚男 選 】


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