目についた記事を、その時々に書き込むつもりです。
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sumitaku1.jpg 1961年 岡山市で生まれる。 本名 ・ 春美

 1983年 京都・西本願寺で出家得度。 結婚

 1984年 急性骨髄性白血病で入院。長男が生まれたが
        妻の実家の希望で離婚。 絶望の中で句作に
                励み、自由律俳句の普及に取り組んだ。

         1987年 満25歳10ヶ月で死去。翌年、句集「未完成」
               (弥生書房)が刊行される。



 
   ■ 気の抜けたサイダーが僕の人生
   ■ 水滴のひとつひとつが笑っている顔だ
 
   ■ 春風の重い扉だ
   ■ 地をはっても生きていたいみのむし
   ■ 捨てられた人形が見せたからくり
   ■ 若さとはこんな淋しい春なのか

   ■ 合掌するその手が蚊をうつ
       ひとりで蚊にくはれてゐる  (種田 山頭火)

   ■ 点滴と白い月がぶらさがっている夜
   ■ 洗面器の中のゆがんだ顔すくいあげる
   ■ レントゲンに淋しい胸のうちのぞかれた

   ■ かあちゃんが言えて母のない子よ 
   ■ 抱きあげてやれない子の高さに坐(すわ)る

   ■ 鬼とは私のことか豆がまかれる
   ■ 夜が淋しくて誰かが笑いはじめた

   ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

夭折(ようせつ)の俳人の最も鮮烈な作品を最後に挙げよう。
彼にしかつくれない句だと思う。

     ずぶぬれて犬ころ

               【 読売新聞 ・ 異才列伝 永井 一顕 著 】

   ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・   

句集「未完成」には281句が収められているという。
私は、彼を、まだよく知らないけれど、次の4つの句が心に留まった。
 
   ■ 合掌するその手が蚊をうつ   
   ■ 洗面器の中のゆがんだ顔すくいあげる
   ■ レントゲンに淋しい胸のうちのぞかれた 
   ■ 抱きあげてやれない子の高さに坐(すわ)る

「ずぶぬれて犬ころ」の句は、(まだ?)良さが分かりません。
全体が暗いのは仕方がないことなのでしょうか?



   紅葉して落葉して里きらきらす   三重県  中村 勝臣

若葉の頃のきらきらとはちがうきらきらである。推移しつつ衰退してゆくものの輝きがうかがえる句で、「紅葉して」から「里」までのリズムに勢いがある。
                             【 宇多 喜代子 選 】



   初霰ふいに少女の踊りだす   西条市  平井 辰夫

ぱらぱらと降り、ころころと転がり霰(あられ)が少女には面白かったのだろう。 
                             【 宇多 喜代子 選 】



  雪の夜のあの橋わたれば母が待つ渡ってもう一度母に会いたい
                           高岡市  田中 芳子

雪は想い出を誘い、橋は他界への魂のかよい路となる。しんしんと雪の降りつむ北国の夜、亡き母を思ってひたすらに凝縮してゆく作者の思いのほどが伝わる。                           【 岡野 弘彦 選 】


  丁寧にあなたが書いてくれたゆゑ良い人に見ゆ私の名前
                        青梅市  諸井 末男

同じ名前でも、乱暴に書いたとき、小さく書いたとき、堂々と書いたとき・・・それぞれ印象が違うものだ。手書き文字の面白さに加え、「良い人に見ゆ」には、本当はそれほどでも、という感じがあり、笑いを誘う。【 俵 万智 選 】


   日向ぼこ母のゐる部屋猫もゐる   安曇野市  曽根原 幸人

日のよく当たる部屋で母が日向ぼこをしている。「日向ぼこ」をしているのは、あくまでも母。愛猫はあくまでも相伴をしているだけ。作者の母への視線の伝わる句。                       【 宇多 喜代子 選 】



   木も一つ年をとりけり木守柿   流山市  久我 渓霞

確かにそうだと思う。人は一年に一つとる。「木」も同じように年を重ねて老木になってゆく。木守柿を残す柿の木への愛惜の句。  【 宇多 喜代子 選 】



   狭けれど何かしら咲く冬の庭   入間市  大矢  勲

中七に何とも言えない冬の庭の印象がある。何も咲いていないわけではないが、華やかさには遠い冬の庭。寒木瓜(ぼけ)、蠟梅(ろうばい)、寒椿、水仙。                           【 正木 ゆう子 選 】



  正直な夫と思えど大きなる嘘を吐かれているやもしれず
                        仙台市  小野寺 寿子

人を騙(だま)すには小さな嘘(うそ)は禁物。大きな嘘を一つだけ吐(は)くのが有効だという。夫は正直者か大嘘吐きか。判断は難しそうである。
                               【 栗木 京子 選 】

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大きなる嘘」、不自然な?言葉が、ちょっと気になりますが・・・。


   煮上りし大きな口や金目鯛   霧島市  久野 茂樹

名の通り目玉の大きな金目鯛。煮上がって大きな口を開いている。晩酌を思ってわくわくする。                     【 矢島 渚男 選 】


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