目についた記事を、その時々に書き込むつもりです。
[167]  [168]  [169]  [170]  [171]  [172]  [173]  [174]  [175]  [176]  [177
   節分や貧乏神のすぐ戻る   伊賀市  亀井 清司

「福は内、鬼は外」とやってみたが、貧乏神には効果がなく、たちまち逆戻りしてきた。こんな冗談でも言って笑い飛ばすしかない。 【 矢島 渚男 選 】



   まんまるの大きなやかん湯気たてて   前橋市  星野 久美子

だれにでもわかる句とはこんな句だろう。このやかんはストーブの上にでも在るのか。 「まんまるの大きなやかん」というモノの形が、不動の存在感を出している。                           【 宇多 喜代子 選 】



   雪晴れや多喜二母校はわが母校   小樽市  前田 満夫  

プロレタリアート文学の作家。小林多喜二と母校が同じ。多喜二は小樽で育った。雪晴れという季語に先輩を誇らしく思う気持ちが現れている。
                               【 小澤   實 選 】



   この葉書雪の匂いがしませんか   奥州市 大川 若志

こう言われれば、「します」 としか言えない句である。奥州市からの葉書。
しかも今年の大雪は尋常ではない。お見舞い申し上げます。 
                              【 正木 ゆう子 選 】


   咲き切れぬ思いを紅に冬薔薇   町田市  河原 秀代

一見甘く見える句だが、冬薔薇(ふゆそうび)の特質がよく伝わる。寒気の中で小さく凝縮されたように咲く姿は、初夏の薔薇(ばら)とは全く違う趣。 
                               【 正木 ゆう子 選 】


   茎漬のもつとも太き茎より嚙む   東京都  望月 清彦

茎漬といっても、太い茎と葉の部分では味わいが違う。嚙(か)んだ際の音も違う。たべものの句は、読んで食べたくなる句が秀逸。 【 小澤   實 選 】


  野沢菜のほんとの味を数本の昔ながらの歯でかみしめる
                        上田市  丸山 英二

「昔ながらの歯」とは、入れ歯ではない自前の歯ということだろう。自分の歯でかみしめると味も音も格別なのに違いない。野沢菜も昔なつかしい味がしたはずである。                       【 栗木 京子 選 】


「昔ながらの歯」という表現に、もう一工夫あってもよいのでは・・・?


   春近し有るか無きかの河馬の耳  由利本荘市  松木 蕗州

あの巨体にしてこれっぽちの耳なの、と思う。水に潜っていても耳と目と鼻の穴だけは水面に出ている。こんな観察が楽しいのも春が近いから。
                             【 宇多 喜代子 選 】



   うつされてうつして風邪の癒えにけり   松山市  久保  栞

まわりの人に風邪をうつされたり、風邪をうつしたりしているうちに、風邪は治る。風邪の本質を捉えつつ、どこかおかしみがある。  【 小澤   實 選 】



   なきがらの昨日も雪を掻きしとか   久喜市  深沢 ふさ江

亡くなった方が亡くなる前日まで雪を掻いていたという事を聞いた。最後まで雪と戦い、最後はぽっくりというのは理想の生き方かも。 「なきがら」の即物性が確か。                         【 小澤   實 選 】



カレンダー
02 2025/03 04
S M T W T F S
1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31
ブログ内検索
最新コメント
[12/31 越中之助]
[12/31 越中之助]
[12/10 ?]
[10/30 読売読者]
[09/06 榎丸 文弘]
最新トラックバック
バーコード
フリーエリア
ゲイ無料総合サイト
カウンター