目についた記事を、その時々に書き込むつもりです。
[152]  [153]  [154]  [155]  [156]  [157]  [158]  [159]  [160]  [161]  [162
  残る世のわれの一夜を泊まりたし煉瓦のホテル夜空に灯る
                         四街道市  福本 栄子

復元された東京駅のライトアップの映像は美しかった。この世の思いにせめて一夜あのホテルに泊まりたいという作者の思いに共感する。戦後も赤い絨毯(じゅうたん)のホテルだった。              【 岡野 弘彦 選 】  

   ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

  兵として発ちし駅なり復元の東京駅をおもひ描けり
                          埼玉県  沢野 朋吉

こういう思い出の人も多いだろう。田舎の小駅からひっそりと出生した私などはうらやましい。この一首、第五句が少し弱い。     【 岡野 弘彦 選 】

   ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

残る世のわれの一夜を泊まりたし煉瓦のホテル夜空に灯る 四街道市 福本 栄子 >兵として発ちし駅なり復元の東京駅をおもひ描けり 埼玉県 沢野 朋吉 >■10月1日、98年前の開業当時の姿に復元された東京駅・丸の内駅舎を呼んだ2首だ。 きょうの朝刊「読売歌壇」にある。 ライトアップされた東京駅は美しい。「せめてあのホテルに1泊を」の思いに、選評も共感している ■もう1首はこの駅から出征した思い出の歌。田舎の小駅からひっそり出征したという選者はうらやましいと記している ■筆者は東京駅経由で通勤しているが歌心のなさが残念だ。通勤を終えたときに、出征の歌のような思いが浮かぶのかもしれない ■外観の復元とは逆に、「エキナカ」はすっかり変わった。「東京駅の謎・話題の達人倶楽部編」によると、エキナカ店舗は114。まるでショッピングセンター ■東京駅では開業から30年も駅弁を売っていなかったとは意外だが、今は毎日が駅弁フェアのような専門店で全150種余を売っている。
             
               【 よみうり寸評  2012.11.13 ( 夕刊 ) 】


   高々と撃たせ打ち取る鰯雲   名古屋市  可知 豊親

なかなかの名ピッチャーである。 三振を取ろうとはせず、守備しやすい高い フライを打ち上げさせて、アウトとした。球の行方を追うと、鰯雲が目に入る。清々しい。                         【 小澤  實 選 】


   寄道も近道も我が露のみち   三次市  錦  武志

寄道したり、近道したり。そのたびに肩や足もとを露が濡らす。朝の散歩そのままの描写でありながら、露の道とは人生の喩えのよう。 【正木 ゆう子 選】


   無住寺に自称堂守曼珠沙華   名古屋市  浅井 清比古

住職のいない寺に入り込んでいるものがいる。聞いてみると、堂守と名乗っている。 曼珠沙華がけばけばしく咲き、この堂守はかなり怪しい。
「自称堂守」が物語を生む。               【 小澤  實 選 】


   咲き揃ふべく湧きにけり彼岸花   新潟市  島田 葉子
                         【 入選 ・ 正木 ゆう子 選 】


   鈴虫の鳴き休みたるままになり   取手市  杉野 寵児

すぐにまた鳴き始めるかと思っていたのに、それきり鳴かなくなった鈴虫。
ものごとはこんなふうに終らないこともある、という機微。【 正木 ゆう子 選 】


 チャンネルをガチャガチャ廻したあのテレビ五体動かし観ていた時代
                           銚子市  磯津 和男

五体ぜんぶ動かしてテレビ観ていたという把握が面白い。確かにそうだった。いまはリモコンひとつですべて用足りる。 便利といえば便利この上ないが、 しかし・・・・・・。                       【 小池  光 選 】 

   ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 

ここでいう「五体」は、「五感」とは違うんですよね。
テレビを「観る」も大げさだと思います。 「見る」でいいのでは、・・・。


   猫じゃらし抜けば悪戯したくなる   久喜市  藤沢 ふさ江

道端に揺れている猫じゃらしを抜こうとすると、確かにそんな気持ちがきざす。猫でもからかってみたくなる。この草が動かない一句。  【 小澤  實 選 】



  怖いのですあまりに尖った鉛筆はあまりに正しく美しすぎて
                       松戸市  花嶋  八重子

感覚するどい。確かに削り上げられた鉛筆はこんな感じがする。あたたかさと冷たさの同居。歌の通り、往々にして正しすぎるものは美しすぎる。またその逆も真なり。                         【 小池  光 選 】

  
   ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

最後の「またその逆も真なり」とはどういう意味なのか教えてください。
「正しすぎる」という言い方は正しいのか、「美しすぎる」ものは「美しい」ものなのか(作品の「あまりに正しく」という言い方も気になります)、ご一考を。


  サーカスはあとかたもなしねこじゃらし   堺市  高崎なほみ

興業していたサーカスが去った。テントも猛獣の檻も団員達も何もかもがなくなってしまっている。「あとかたもなし」がたしか。ねこじゃらしもよく生きている。
                                【 小澤  實 選 】



カレンダー
11 2024/12 01
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31
ブログ内検索
最新コメント
[12/31 越中之助]
[12/31 越中之助]
[12/10 ?]
[10/30 読売読者]
[09/06 榎丸 文弘]
最新トラックバック
バーコード
フリーエリア
ゲイ無料総合サイト
カウンター