目についた記事を、その時々に書き込むつもりです。
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  朴の葉のばさらと落つるこの秋もいや捨てられぬ人への思い
                          青森市  滝野沢 弘

この朴(ほお)の葉のように、思いを落としてしまうことができたら・・・。情景と思いとが、うまく混ざり合っている。「ばさら」というオノマトペも印象的だ。  
                               【 俵  万智 選 】


   寝ることが楽しくなりて秋の暮   魚津市  長多  宏

確に睡眠は快楽の一つだが、それにしても「楽しい」とはストレートな表現。睡眠が楽しければ、少なくとも人生の三分の一は楽勝。【正木 ゆう子 選】


   身に沁むやこの世の隅に独り居て   奥州市  大川 若志  

多くの人が一人で暮らしている時代。「身に沁(し)む」という しみじみとした季語を取り合わせることで、それもひとつの境地となる。【 正木 ゆう子 選 】


   自然薯の一本のみに暮れにけり   北秋田市  坂  一草

野生の自然薯を見つけたが、簡単には掘り上げられない。ようやく疵(きず)をつけずに一本を掘り上げたら、すでに秋の日は落ちてしまっている。これもまた充実の一日。                     【 小澤  實 選 】


  方代(ほうだい)の墓の継子の尻拭ひ   横浜市  我妻 幸男

「生れは甲州鶯宿(おうじゅく)峠に立っている なんじゃもんじゃの股からですよ」など奔放な歌を詠んだ山崎方代の墓に「ママコノシリヌグイ」という面白い植物を取り合わせて軽妙。                【 矢島 渚男 選 】


   安易なる国語改革批判して旧仮名守りし丸山氏も逝く
                        東京都  松井 和治  

小説作家・評論家と領域は広かったが、何より美しく良き国語を愛し、敗戦によって文体を変えなかった気骨の人。「日本語のために」「文章読本」などは必読の書。                        【 岡野 弘彦 選 】


   サンダルの流れつきたる秋の浜もう片方の何処ぞ旅する
                         茨木市  瀬戸 順治

ほんとうにもう片方はどこへ行ったのだろう。永遠の謎にして何人にも追求のすべなし。いかにも人の世の秋の海岸のさびしい感じがよく出ている。
                               【 小池  光 選 】


  滑らかな首相のアドリブの対極に日馬富士の重き日本語がある
                          御所市  内田 正俊

外国人力士の日本語の流暢さに舌を巻くのは私だけか。日本人よりよほど日本人らしい。 日馬富士の日本語もまた独特。 こういうふうに政治家にも話してほしい。                        【 小池  光 選 】


   どんぐりが親ばなれして落ちてくる
      兵庫県 小林聖心女子学院小学校6年  富永 亜美

どんぐりが落ちるのを「親ばなれ」にたとえた点に はっとさせられました。勇気(ゆうき)を出して親ばなれをしたどんぐり。 その姿に作者は「いつか私も」と思っているのかもしれません。

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  秋風にふかれて生きる小鳥たち
    福岡県 福岡海星女子学院付属小学校6年  林田 龍之介

一羽の小鳥が、風にあおられながら秋空を飛んでいるのです。まだ頼りない小鳥だけれど、しっかり生きているんだぞという、 作者の力強いメッセージがこめられています。

作者が「小鳥たち」と詠んでいるのに、「一羽の小鳥が・・・」と解釈するのは如何なものでしょうか?

         【 ’12.11.24(夕) KODOMO 俳句 高柳 克弘 選 】


   猪の力を残す畑の土   柳井市  国重  誠

猪のヌタ場、作物荒し、いずれの跡も凄い。その跡を見ただけで、この獣の力のほどがわかる。                    【 宇多 喜代子 選 】


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