目についた記事を、その時々に書き込むつもりです。
生まれたら生きねばならぬ雀の子 東京都 白木静子
ああそうなのだ。雀も鴉もみんな独りで生きている。かわいいと愛でるだけでなく、雀の子を見て、こんなことを思う人もいる。 【 正木 ゆう子 選 】
ああそうなのだ。雀も鴉もみんな独りで生きている。かわいいと愛でるだけでなく、雀の子を見て、こんなことを思う人もいる。 【 正木 ゆう子 選 】
亀鳴くと言ひ張り男帰りけり 三木市 柿沢 誠吾
「亀鳴く」という空想的な季語をめぐって、鳴く、いや鳴かないの議論をしたのだ。互いに頑固で譲らず、友人は帰っていった。 【 矢島 渚男 選 】
「亀鳴く」という空想的な季語をめぐって、鳴く、いや鳴かないの議論をしたのだ。互いに頑固で譲らず、友人は帰っていった。 【 矢島 渚男 選 】
しんしんと更けゆく夜を咲きみちて花の殺気は身にせまりくる
東京都 杉中 元敏
月光の隈なき深夜。 咲き満ちた桜の花の放つ妖気に似て、美しさのきわまった気配を作者は「殺気」といった。私も、夜の桜の下で同じ思いをした事がある。 【 岡野 弘彦 選 】
東京都 杉中 元敏
月光の隈なき深夜。 咲き満ちた桜の花の放つ妖気に似て、美しさのきわまった気配を作者は「殺気」といった。私も、夜の桜の下で同じ思いをした事がある。 【 岡野 弘彦 選 】
昭和の日父は水漬くか草むすか 中島 やさか
「海ゆかば水漬く(みづく)屍(かばね)、山ゆかば草むす屍」の歌のように、幾多の兵士が昭和の戦争の犠牲となった。父の死に場所もわからず遺骨も帰らないと嘆く。再びこの惨禍をおこさぬように戦後の憲法は出来た。
【 矢島 渚男 選 】
「海ゆかば水漬く(みづく)屍(かばね)、山ゆかば草むす屍」の歌のように、幾多の兵士が昭和の戦争の犠牲となった。父の死に場所もわからず遺骨も帰らないと嘆く。再びこの惨禍をおこさぬように戦後の憲法は出来た。
【 矢島 渚男 選 】
大鉢の筍どんと置きて酌む 枚方市 船橋 充子
煮た筍を入れた大鉢を置いて、酒を飲む。他の肴は無いが、それもこの時期の筍に敬意を表していること。 「どんと」がうれしい。 【 小澤 實 選 】
煮た筍を入れた大鉢を置いて、酒を飲む。他の肴は無いが、それもこの時期の筍に敬意を表していること。 「どんと」がうれしい。 【 小澤 實 選 】
一握の米をとぎつつ春ひとり生きてゆくとは残さるること
東京都 小菅 暢子
ある年齢になった人のいつわりない実感だろう。 周囲からひとりまたひとりと親しい人が消えてゆく。三句の「春ひとり」の転換がよく効いている。
【 小池 光 選 】
東京都 小菅 暢子
ある年齢になった人のいつわりない実感だろう。 周囲からひとりまたひとりと親しい人が消えてゆく。三句の「春ひとり」の転換がよく効いている。
【 小池 光 選 】
薔薇の字は棘を集めてきたやうな 大分市 加藤 元二
薔薇(ばら)という字は棘(とげ)を集めてきたような字だという機智のある句である。よく見ると本当に棘々していて、そんなふうに思われてくる。
【 矢島 渚男 選 】
薔薇(ばら)という字は棘(とげ)を集めてきたような字だという機智のある句である。よく見ると本当に棘々していて、そんなふうに思われてくる。
【 矢島 渚男 選 】
三月の水それぞれに動きけり 東京都 川上 勝彦
湖、沼、川、池。それに生活のための水。それらがきらきら輝き始め、動き始める。3月にしかできない句。 【 宇多 喜代子 選 】
湖、沼、川、池。それに生活のための水。それらがきらきら輝き始め、動き始める。3月にしかできない句。 【 宇多 喜代子 選 】
修験道さくらが癒す峰もあり 深谷市 柴崎 祥夫
修験者が修行のために分け入る山中も春。峨峨たる山に桜が咲くさまを、花が峰を癒しているようだという。面白い見方であり、花と峰の擬人化にも無理がない。 【 正木 ゆう子 選 】
修験者が修行のために分け入る山中も春。峨峨たる山に桜が咲くさまを、花が峰を癒しているようだという。面白い見方であり、花と峰の擬人化にも無理がない。 【 正木 ゆう子 選 】
雨蛙今夜頃より耳慣れて 橿原市 城 恵己子
鳴き始めの数日はうるさかったのが、今夜は気にならないのだ。気にならない事に気付くという、微妙なところが言い止められた。 【 正木 ゆう子 選 】
鳴き始めの数日はうるさかったのが、今夜は気にならないのだ。気にならない事に気付くという、微妙なところが言い止められた。 【 正木 ゆう子 選 】