目についた記事を、その時々に書き込むつもりです。
[101]  [102]  [103]  [104]  [105]  [106]  [107]  [108]  [109]  [110]  [111
   鰯雲透かして空の青さかな   大和郡山市  宮本陶生

空いっぱいに広がる鰯雲 (いわしぐも)。 鱗(うろこ)状につながる合間から秋空の青が見える。大空の雲と空の重層がおおきな景をますます大きくしている。
                                   【 宇多 喜代子 選 】


   金木犀日和を四方八方へ   草加市  白瀬 信雄

「金木犀(きんもくせい)日和」と、句跨りにして読む。菊日和、石蕗(つわ)日和などにはない金木犀の香りが、あたりに漂う世界を広げる。秋も佳境というよい日和。
                                   【 宇多 喜代子 選 】


  お月さまが患うておらるると祈りゐし祖母を思へりこよひ皆既月食
                    富山県  松田 敦子

日本でも古来、日月の食は凶事の兆(きざ)しと信じられてきた。敬虔(けいけん)な祖母の言葉を思い出して月食の空を仰ぐ作者の心には、人類の伝統心理の流れているのが感じられる。                     【 岡野 弘彦 選 】


   淋しさが念仏となる夜長かな   東京都  竹本 繁太郎

淋しい夜長に念仏を唱える、という散文を、掲句のように韻文化したとたんに、境地が開ける不思議。省略と切字の力を思う。         【 正木 ゆう子 選 】


   勝ち鹿のこゑ月蝕に拘(かか)はらず   川崎市  沼田 広美

恋の勝者となるためには、月蝕(げっしょく)どころではないのである。 鹿と月蝕。 想像では出てこない取り合わせ。月蝕を仰ぎながら、実際に鹿の声を聞かれたのかもしれない。                              【 正木 ゆう子 選 】


   ようと来てじゃあと帰りぬ芋置いて   佐野市  村野 則高

心許す友人なのだ。 今日は里芋を持ってきて呉れた。 ヨウとジャア、それだけで言葉は足りる。                             【 矢島 渚男 選 】


  明け方の夢におぼろにいできたり無理をするなといふ夫の声
                          神栖市  成毛 花子

作者は満88歳。夢にあらわれる亡きご主人の魂も、現世の作者の心も、静かな平安のさとりの中に居(お)られるようだ。             【 岡野 弘彦 選 】


  生前の妻の振る舞い少しだけ嘘を加えて娘に話す
                      加古川市  井口 睦男  

夫である作者だけが知る亡妻の一面。娘といえども語れないこともある。「少しだけ嘘(うそ)を加え」に心情の機微がうかがえる。          【 栗木 京子 選 】


   秋晴れや声では勝った応えん団
          東京都 千代田区立昌平小学校4年  山形 倭賀子 

秋晴れの空の下、運動会が開かれたのです。 競技では負けてしまったけれど、応援団(おうえんだん)の声の大きさでは勝っていたと言ってのける作者の負けん気に圧倒(あっとう)されました。やりとげた達成(たっせい)感と、負けてしまったくやしさ、両方を感じます。      【 ’14.11.08 KODOMO俳句 高柳 克弘 選 】


   女児二人たがひの鼻へ猫じゃらし   東京都  伊藤 博之

女の子ふたりが、猫じゃらしで、鼻をくすぐりあっている。猫じゃらしならぬ人じゃらしである。あたらしい玩具を見つけたことが、うれしくて、笑い続けていよう<そのまま>
                                     【 小澤  實 選 】


カレンダー
10 2024/11 12
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
ブログ内検索
最新コメント
[12/31 越中之助]
[12/31 越中之助]
[12/10 ?]
[10/30 読売読者]
[09/06 榎丸 文弘]
最新トラックバック
バーコード
フリーエリア
ゲイ無料総合サイト
カウンター