目についた記事を、その時々に書き込むつもりです。
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   築百年最上級の隙間風   東海市  斉藤 浩美

すうすうと、この上なく冷たい隙間風も、最低と言わず、最上級と誉めて我慢すれば気にならないかもしれない。何事にも応用できるユーモラスな心理作戦である。 
                                    【 正木 ゆう子 選 】


  介護より解かれじんわり世の中は広くなりけり虚脱ののちに
                         藤沢市  清島 俊雄

介護の日々が終わってすぐに開放感を味わったのでなく、まず虚脱感に襲われたのだ。 「じんわり」に実感がこもっている。               【 栗木 京子 選 】


  本当は上手に描ける人なのに下手さが辛い絵手紙が来る
                           青梅市  諸井 末男

親しみやすさ、手作り感、そういったものを過剰に演出された時の、鼻につく感じ。それを実に婉曲に上手に言っている。               【 俵  万智 選 】


   行く秋やちゃん付けに夫偲ぶ友   鎌倉市  中江 優子

夫婦はたいていの場合、相手の子供時代を知らない。夫の幼馴染(おさななじみ)がしてくれる昔話は、妻の知らなかった夫の一面を見せてくれる。 
                                    【 正木 ゆう子 選 】


   柿落葉やがて大地の色となる   横浜市  竹村 清繁

高揚の葉のなかでも柿は彩色が見事。 その表裏に初冬の日を受けながら地に落ち、やがて朽ち、土になってゆく。 その過程を端的にとらえ、美学とも諦観ともいいがたいおもいをさりげなくとらえている。              【 宇多 喜代子 選 】


   鉄橋の遠きひびきも冬ざるる   加須市  松永 浮堂  

はるかかなたの鉄橋を列車が渡ってゆく響きも、荒れさびた感じであるという。枯野がはるかまで広がっていて、あたりは静寂に支配されている。うつくしい冬の大景。
                                    【 小澤  實 選 】


今週の特選句

  日めくりの良さはきのうが捨てられる   ( 岐阜県 金子 英重 64歳 )  
     その為には毎日めくらなきゃね。  特選。


ほかに、
  命日がどこかに百年カレンダー         ( 兵庫県 たむ平 59歳 )
     考えない、考えない。


  そば屋からとどいたこよみ七味付き   ( 埼玉県 古希のくまさん 75歳 )
     そば屋の暦、大安や仏滅がわかって有難い。

  若い日と再会暦の百名山       ( 神奈川県 国武 英 79歳 )
     いいですね、爽やかで、毎月の写真。
 
  かあちゃんの暦になかった日曜日     ( 埼玉県 関根 一雄 63歳 )
     休みなく働いてたものね。

   ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

   ■
募集お題 「 湯気 」
   ■ 「お題」にそった川柳を、はがき1枚につき1句から5句まで。
   ■ 住所・氏名(ペンネームの場合も必ず本名を)・年令・電話番号・
      お題を明記してください。
   ■ 締め切りは12月23日(消印有効)です。
      なお応募作品は返却いたしません。
      また、同じ句を他誌に投稿する二重投稿は厳禁です。
      特選句には賞金を差し上げます。
   ■ ご記入いただきました個人情報は、
      本欄への掲載と賞金発送にためにのみ使用いたします。
   ■ 宛先 〒102-8008
      千代田区紀尾井町3-23 週刊文春「川柳のらりくらり」係


   百歳を一期と思へ万年青の実   本多 豊明

百歳が珍しくなくなった現今だが、やはり一期百歳はめでたい。「万年青(おもと)の実」が嫌味なく百歳を寿いでいる。               【 宇多 喜代子 選 】


   晩白柚少年の恋成就せし   福井県  中川 月見

少年の頃から恋うてきた女性とみごと結ばれた、ということなのだろう。 特別大きく香りの高い柑橘(かんきつ)類である晩白柚(ばんぺいゆ)を取り合わせて、その喜びの強さを表現している。                     【 小澤  實 選 】     


  除染終えしわが庭に咲く母子草いずこより運ばれきたりし土か
                            郡山市  伊藤 敏江

庭の除染は2年前、表土を削り新しい土が敷かれた。その土から若草が伸び、よく見ると母子草、春の七草の「ごぎょう」であった。下の句の感慨が旨にしみる。
                                    【 岡野 弘彦 選 】


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