目についた記事を、その時々に書き込むつもりです。
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  月月月月月月とつらねれば梯子を登って月へ行けそう
                         東大和市  井上 鈴野

エリック・カールの絵本 『パパ、お月さまとって!』 を思わせる夢のある一首。漢字の見立ては珍しくないが、一文字だけでなく、重ねて眺めるというところが、まことに新鮮だ。                                 【 俵  万智 選 】
 


   父母の土葬の墓や蛇出づる   堺市  竹崎 正良

土地によっては父母の時代にもまだ土葬がなされていた土地があるのだ。穴を出て地上に来る蛇が、妙になまなましく感じられてくる。        【 小澤  實 選 】


   熊穴を出づと災害放送で   久慈市  和城 弘志

山村にとって、熊が冬眠を終えて穴から出て来たというのは、村民の安全にかかわる大事件である。災害放送を使って、全村民にいちはやく知らせなければならないのだ。                                 【 小澤  實 選 】


  薄切りにすれば蓮根パラパラの漫画のごとく顔を変えゆく
                         平塚市  小林 真希子  

穴によって顔のように見える蓮根が、少しずつ様子を変えてゆく場面。言葉による動画を見るような面白さ。なんと的確でユニークな比喩だろう。【 俵  万智 選 】
 


   陽炎(かげろう)やこの世の迷子になりし母   仙台市  石川 初子

認知症になってしまった母親は「この世の迷子」になってしまったのだ、と嘆く。 季語が的確で、悲しくも美しい表現である。              【 矢島 渚男 選 】


   これ以上上に家なし山笑う   小金井市  高橋 広子

ここから上は鳥や動物たちの住処(すみか)。 夜はちょっと怖いし、冬は寒いが、 夏は下界より涼しく、春は最高。 自然の息吹きが一杯の家である。 
                                    【 正木 ゆう子 選 】


  わが娘(こ)にはそなわりしものあるらしく人の心をおだやかにする
                             大津市  長田 恵子

ごく平明だが、この歌にもなかなか深いものがある。 わが子ながら、われより立派だ。 人の心をおだやかにするなんて、簡単にできることでない。 親に似なかった。   
                                     【 小池  光 選 】


   鳴くといふ亀を愚かにみてをりし   横浜市  竹村 清繁

亀は鳴くというので見ている。 鳴きっこないさ。 俺も愚かだなあ、と思いつつ。
ユーモラスな自画像。                       【 矢島 渚男 選 】


   立春や一年の計修正す   土佐清水市  山下 昭文

えっ、もう修正するの、と言われそうで可笑(おか)しい。 一年の計は元旦にあり。 それはそれとして、柔軟な修正・変更で心を楽にするのも賢いやり方。 わたしもそうしよう。                                【 正木 ゆう子 選 】


   こんにやらうなにこんにやらう猫の恋   匝瑳市  椎名 貴寿

この野郎、何この野郎。動物の聞きなしはテレビでもよく見るので、類句はあるかもしれないが、旧仮名の羅列に表記の面白さがある。       【 正木 ゆう子 選 】


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