目についた記事を、その時々に書き込むつもりです。
池の色羽に吸ひ上ぐ蜻蛉の子 東京都 金井 文美
葉っぱが葉脈に水を吸い上げるように、羽もまた水を吸うという連想。水でも湖でもなく、「池」がいい。稚(いとけな)い蜻蛉(とんぼ)には、池が似合う。
【 正木 ゆう子 選 】
葉っぱが葉脈に水を吸い上げるように、羽もまた水を吸うという連想。水でも湖でもなく、「池」がいい。稚(いとけな)い蜻蛉(とんぼ)には、池が似合う。
【 正木 ゆう子 選 】
今この滝何万年を後ずさり 横浜市 小野寺 洋
水に削られて、滝は少しずつ上流へと後退している。 悠久の時をかけての変化なので目には見えないが、滝はいま、この瞬間も後退中。 【 正木 ゆう子 選 】
先日の「ブラタモリ」の中で、タモさんが案内人と似たような会話をしていました。
水に削られて、滝は少しずつ上流へと後退している。 悠久の時をかけての変化なので目には見えないが、滝はいま、この瞬間も後退中。 【 正木 ゆう子 選 】
先日の「ブラタモリ」の中で、タモさんが案内人と似たような会話をしていました。
水の裏のぞく金魚の自在かな 高砂市 池田喜代持
この金魚もだれにも邪魔されずに自在に泳いでいる。 「水の裏」 とはどこかなどと詮索したくなる。 たとえば人が見ている水面は水の表。 水中から見れば裏か。
【 宇多 喜代子 選 】
この金魚もだれにも邪魔されずに自在に泳いでいる。 「水の裏」 とはどこかなどと詮索したくなる。 たとえば人が見ている水面は水の表。 水中から見れば裏か。
【 宇多 喜代子 選 】
海に降る雨ながめつついつの日も敗者でありし身を思ふなり
垂水市 岩元 秀人
海に降りしきる雨に鬱(うつ)うつとして見入りながら思い沈む、常に敗者の側にあったわが境遇。作者に限らず人は時に、こういう深い内省の時を持つことがある。
【 岡野 弘彦 選 】
垂水市 岩元 秀人
海に降りしきる雨に鬱(うつ)うつとして見入りながら思い沈む、常に敗者の側にあったわが境遇。作者に限らず人は時に、こういう深い内省の時を持つことがある。
【 岡野 弘彦 選 】
鮎だよと今日は飲む気の友来る 平塚市 中村 寛明
釣りの解禁日だろうか。 釣りたての鮎(あゆ)を携えて友人が上がり込んできた。 此奴(こいつ)、飲もうというつもりだな。 待ってました。 今宵はいい酒になりそうだ。
【 矢島 渚男 選 】
釣りの解禁日だろうか。 釣りたての鮎(あゆ)を携えて友人が上がり込んできた。 此奴(こいつ)、飲もうというつもりだな。 待ってました。 今宵はいい酒になりそうだ。
【 矢島 渚男 選 】
帰り来よおまへの好きな馬鈴薯の花咲きたりとふるさとの姉
城陽市 相原 洋次
啄木の『一握の砂』にふるさとの馬鈴薯の花をなつかしんだ歌が2首あることは よく知られている。この歌も同じ思いだ。 【 岡野 弘彦 選 】
城陽市 相原 洋次
啄木の『一握の砂』にふるさとの馬鈴薯の花をなつかしんだ歌が2首あることは よく知られている。この歌も同じ思いだ。 【 岡野 弘彦 選 】
生まれてから一人っきりの楠大樹小鳥、旅人近づいて来る
羽曳野市 北山 正人
楠(くす)の大樹は同じ場所に立ったまま命を終える。 つねに「一人っきり」である。ただ、さまざまなものが近づいて来る。「小鳥、旅人」の選択に抒情(じょじょう)性があふれている。 【 栗木 京子 選 】
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読点があると、読みづらくなってしまうのでは・・・?
羽曳野市 北山 正人
楠(くす)の大樹は同じ場所に立ったまま命を終える。 つねに「一人っきり」である。ただ、さまざまなものが近づいて来る。「小鳥、旅人」の選択に抒情(じょじょう)性があふれている。 【 栗木 京子 選 】
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読点があると、読みづらくなってしまうのでは・・・?
この街に孤独死したる若者の検死を終えて空を見上げる
日南市 宮田 隆雄
作者は監察医であろうか。 孤独死をした人がいて、しかも若者であった。 検死を終えたのちに苦い思いが残ったに違いない。 結句の抑制された表現に重みが感じられる。 【 栗木 京子 選 】
日南市 宮田 隆雄
作者は監察医であろうか。 孤独死をした人がいて、しかも若者であった。 検死を終えたのちに苦い思いが残ったに違いない。 結句の抑制された表現に重みが感じられる。 【 栗木 京子 選 】