目についた記事を、その時々に書き込むつもりです。
奇数には少し棘あり今朝の冬 宇部市 伊藤 文策
奇数と偶数は印象が違う。その違いを感覚に置きかえ、さらに視覚的な棘(とげ)に置きかえて、ユニーク。人の感じ方は十人十色。詠むときはこんなふうにきっぱり、断定的に。 【 正木 ゆう子 選 】
奇数と偶数は印象が違う。その違いを感覚に置きかえ、さらに視覚的な棘(とげ)に置きかえて、ユニーク。人の感じ方は十人十色。詠むときはこんなふうにきっぱり、断定的に。 【 正木 ゆう子 選 】
四五人にふんだんの灯の夜学かな 東京都 望月 清彦
一つの教室に4、5人しか出席者がいない。それでも多くの電灯が点(とも)されていて、それがかえって寂しさを誘う。 夜学が秋の季語である。 選者もかつて勤めたことがあった。 【 小澤 實 選 】
一つの教室に4、5人しか出席者がいない。それでも多くの電灯が点(とも)されていて、それがかえって寂しさを誘う。 夜学が秋の季語である。 選者もかつて勤めたことがあった。 【 小澤 實 選 】
崩簗いつも動いている地球 野田市 鈴木 武
崩簗(くずれやな)と地球に特別のかかわりはない。ところが、かかわりのないものを一句に選び込むと新たなかかわりが生まれることがある。俳句の妙である。
【 宇多 喜代子 選 】
崩簗(くずれやな)と地球に特別のかかわりはない。ところが、かかわりのないものを一句に選び込むと新たなかかわりが生まれることがある。俳句の妙である。
【 宇多 喜代子 選 】
立退きに抗ふ一戸柿たわわ 栃木県 あらゐ ひとし
どんな事情でか、立ち退きを迫られている古い農家。その主は頑強に拒んでいるのであろう。その脇にいま柿の実がたわわに朱(あか)い。 【 矢島 渚男 選 】
どんな事情でか、立ち退きを迫られている古い農家。その主は頑強に拒んでいるのであろう。その脇にいま柿の実がたわわに朱(あか)い。 【 矢島 渚男 選 】
今日もまたまたねまたねと別れ行く子らに明日は確かなるもの
茨木市 瀬戸 順治
リズミカルな上の句が、生き生きした子らを捉えている。この「またね」は、ほぼ確実に明日会える者同士の挨拶(あいさつ)だ。 その様子を眩(まぶ)しく詠んだのは、いつ会えるかわからない「またね」を知る作者だからだろう。 【 俵 万智 選 】
茨木市 瀬戸 順治
リズミカルな上の句が、生き生きした子らを捉えている。この「またね」は、ほぼ確実に明日会える者同士の挨拶(あいさつ)だ。 その様子を眩(まぶ)しく詠んだのは、いつ会えるかわからない「またね」を知る作者だからだろう。 【 俵 万智 選 】
蓑虫の粗にして温き一張羅 鶴岡市 広瀬 弘
『枕草子』の一話から「鬼の子」と呼ばれて父に捨てられたミノムシ。あり合わせをまとって、それでも実に暖かそう。確かに一張羅だ。 【 矢島 渚男 選 】
『枕草子』の一話から「鬼の子」と呼ばれて父に捨てられたミノムシ。あり合わせをまとって、それでも実に暖かそう。確かに一張羅だ。 【 矢島 渚男 選 】
仔細には見ざる蝗の香ばしき 北本市 萩原 行博
蝗(いなご)は海老(えび)に似て香ばしいとか。美味(おい)しいのだろうが、「仔細(しさい)には見ざる」がユーモラス。しげしげと見ると、やはりリアル過ぎる虫の形。
【 正木 ゆう子 選 】
蝗(いなご)は海老(えび)に似て香ばしいとか。美味(おい)しいのだろうが、「仔細(しさい)には見ざる」がユーモラス。しげしげと見ると、やはりリアル過ぎる虫の形。
【 正木 ゆう子 選 】
金木犀つなぎし子の手つめたくて 松山市 久保 栞
金木犀(きんもくせい)の花がよく匂う、秋の日の午後、つないだこどもの手がつめたく感じられる。嗅覚と触角とがカチッと合わさって、いつかどこかで経験したような気がしてくる。 【 小澤 實 選 】
金木犀(きんもくせい)の花がよく匂う、秋の日の午後、つないだこどもの手がつめたく感じられる。嗅覚と触角とがカチッと合わさって、いつかどこかで経験したような気がしてくる。 【 小澤 實 選 】
台風の眼の中あさぎまだらかな 川崎市 多田 敬
蝶(ちょう)の渡りは、台風の時期と重なるので、こんな場面もあるだろう。 台風があり、中に眼(め)があり、その中に蝶がいるという、入れ子的俯瞰(ふかん)図。
【 正木 ゆう子 選 】
蝶(ちょう)の渡りは、台風の時期と重なるので、こんな場面もあるだろう。 台風があり、中に眼(め)があり、その中に蝶がいるという、入れ子的俯瞰(ふかん)図。
【 正木 ゆう子 選 】
鶏頭に話しかけたる無口かな 流山市 久我 渓霞
鶏頭という植物の花はどこか花離れしていて人間くさい。脳を連想する人も多いし話しかけたくもなる。平素、無口でとおる人付き合いの好きでない作者が話しかけた。 【 矢島 渚男 選 】
鶏頭という植物の花はどこか花離れしていて人間くさい。脳を連想する人も多いし話しかけたくもなる。平素、無口でとおる人付き合いの好きでない作者が話しかけた。 【 矢島 渚男 選 】