目についた記事を、その時々に書き込むつもりです。
年一度の更新手続きするように君から届く印刷の賀状
燕 市 田巻 由美子
味気ないけど、年に一度は思い出すという間柄は、この一枚で更新される。ある種の年賀状のありようが、的確に伝わってくる。言い得て妙すぎて、やや悲しいくらいだ。 【 俵 万智 選 】
燕 市 田巻 由美子
味気ないけど、年に一度は思い出すという間柄は、この一枚で更新される。ある種の年賀状のありようが、的確に伝わってくる。言い得て妙すぎて、やや悲しいくらいだ。 【 俵 万智 選 】
マンションの13階に住む彫師日に二人だけ予約の客とる
前橋市 船戸 菅男
私は若い時から、短歌と推理小説は相性がいいと思っている。ただし原作「マンションの13階に彫師住み日に二人だけ予約の客が」 の傍線部がいま一息弱い。
【 岡野 弘彦 選 】
前橋市 船戸 菅男
私は若い時から、短歌と推理小説は相性がいいと思っている。ただし原作「マンションの13階に彫師住み日に二人だけ予約の客が」 の傍線部がいま一息弱い。
【 岡野 弘彦 選 】
物置きに大きねずみのいた事を嫁にも孫にも話さずにおり
所沢市 鈴木 照興
それはそれはびっくりするほど大きなネズミだった。心配させまいと家族には黙っていたが、ああ、歌が新聞に載ってしまった。 【 小池 光 選 】
< 同じ発想の歌が選ばれることに抵抗を感じました >
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坪庭にふと見し蛇を夕飯のときにも妻に話せずにゐる
成田市 神郡 一斉
庭に蛇を見た。 そのことを蛇嫌いな妻には話せない。 夕飯のときにも話せない。 という歌だが、 なかなか夫婦間の微妙な心理をついている。何でも話していいものでない。 【 17.07.31 小池 光 選 】
所沢市 鈴木 照興
それはそれはびっくりするほど大きなネズミだった。心配させまいと家族には黙っていたが、ああ、歌が新聞に載ってしまった。 【 小池 光 選 】
< 同じ発想の歌が選ばれることに抵抗を感じました >
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坪庭にふと見し蛇を夕飯のときにも妻に話せずにゐる
成田市 神郡 一斉
庭に蛇を見た。 そのことを蛇嫌いな妻には話せない。 夕飯のときにも話せない。 という歌だが、 なかなか夫婦間の微妙な心理をついている。何でも話していいものでない。 【 17.07.31 小池 光 選 】
北限の蜜柑の味も捨てがたく 千葉市 中村 重雄
蜜柑(みかん)農家と自家用とでは違うだろうが、温暖化によって北限が北上しているのは確かなようだ。蜜柑の句として、おもしろい切り込み方。
【 正木 ゆう子 選 】
蜜柑(みかん)農家と自家用とでは違うだろうが、温暖化によって北限が北上しているのは確かなようだ。蜜柑の句として、おもしろい切り込み方。
【 正木 ゆう子 選 】
吾の架けし鉄道が見ゆ冬銀河 枚方市 加藤 賢
鉄道に工事に携わったことのある作者なのだな、といったんは文字通りに解釈。一方、鉄道と銀河とくれば宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」。そこで現実と物語が融合する。 【 正木 ゆう子 選 】
鉄道に工事に携わったことのある作者なのだな、といったんは文字通りに解釈。一方、鉄道と銀河とくれば宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」。そこで現実と物語が融合する。 【 正木 ゆう子 選 】
あれもこれも賞味期限が過ぎていた時は静かに全てを決める
三次市 山本 美和
いつでも食べられると思っていたら、うっかりタイミングを逃してしまった。下の句が警句めいていて、人生における行動の句というものについて、考えさせられる。
【 俵 万智 選 】
おもしろき事無き日には西の聖子東の愛子ひねもす読めり
西宮市 野田 澄子
田辺聖子氏と佐藤愛子氏の小説やエッセイ。 いずれも読みやすくて内容が深く、心が沈みがちな日に読めば元気をもらえる。 「西の聖子東の愛子」がじつに頼もしい。 【 栗木 京子 選 】
西宮市 野田 澄子
田辺聖子氏と佐藤愛子氏の小説やエッセイ。 いずれも読みやすくて内容が深く、心が沈みがちな日に読めば元気をもらえる。 「西の聖子東の愛子」がじつに頼もしい。 【 栗木 京子 選 】
水圧に耐え鮟鱇の貌となる 枚方市 加藤 賢
鮟鱇(あんこう)のつぶれた平たい風貌は、海底の大きな水圧に耐えてきた結果であるというのだ。進化してきた道まで望んだ、深い描写である。 【 小澤 實 選 】
鮟鱇(あんこう)のつぶれた平たい風貌は、海底の大きな水圧に耐えてきた結果であるというのだ。進化してきた道まで望んだ、深い描写である。 【 小澤 實 選 】
月光を胸深く吸いて気づいたり青の字になぜ月があるかを
酒田市 村上 秀夫
月光を心ゆくまで味わった感覚。それを一言で表すなら「青」を感じたということだろう。伝えにくい主観が、漢字というアイテムを通して、うまく表現されている。
【 俵 万智 選 】
酒田市 村上 秀夫
月光を心ゆくまで味わった感覚。それを一言で表すなら「青」を感じたということだろう。伝えにくい主観が、漢字というアイテムを通して、うまく表現されている。
【 俵 万智 選 】
そで口に北風こぞう入りこむ
福岡県 福岡海星女子学院付属小学校5年 高塚 愛心
着こんでいても、そでから冷たい北風(きたかぜ)が入ってくることがあります。「北風入りこむ」ではなく、「北風こぞう入りこむ」としたのがポイント。「ふふふ。ここにスキがあるぞ」といたずらっぽく笑(わら)うこぞうの顔まで見えてくるようです。
【 ’17.12.09 KODOMO俳句 高柳 克弘 選 】
福岡県 福岡海星女子学院付属小学校5年 高塚 愛心
着こんでいても、そでから冷たい北風(きたかぜ)が入ってくることがあります。「北風入りこむ」ではなく、「北風こぞう入りこむ」としたのがポイント。「ふふふ。ここにスキがあるぞ」といたずらっぽく笑(わら)うこぞうの顔まで見えてくるようです。
【 ’17.12.09 KODOMO俳句 高柳 克弘 選 】