目についた記事を、その時々に書き込むつもりです。
キリンには見える軍靴も風花も 諫早市 麻生 勝行
人間の目の高さには見えないものが、かなたの見えるキリンには見える。おそろしい寓話(ぐうわ)。 【 宇多 喜代子 選 】
人間の目の高さには見えないものが、かなたの見えるキリンには見える。おそろしい寓話(ぐうわ)。 【 宇多 喜代子 選 】
震災地誄の如くに蕗の薹 松戸市 倉林 高次
「誄(るい)」は死者をたたえ弔う言葉のこと。その比喩として、蕗(ふき)の薹(とう)がなぜか似合う。ぽつりぽつりと、心をこめた言葉のような蕗の薹。
【 正木 ゆう子 選 】
「誄(るい)」は死者をたたえ弔う言葉のこと。その比喩として、蕗(ふき)の薹(とう)がなぜか似合う。ぽつりぽつりと、心をこめた言葉のような蕗の薹。
【 正木 ゆう子 選 】
応へつつ牛舎への道息白し 多摩市 高野 伸二
人の気配を知って、牛たちが呼ぶ。ある牛は「早く朝ごはんの干し草を」と。ある牛はただ人が来るのが嬉(うれ)しくて。人も声を出しつつ牛舎に近づく。どちらの息も白い。 【 正木 ゆう子 選 】
人の気配を知って、牛たちが呼ぶ。ある牛は「早く朝ごはんの干し草を」と。ある牛はただ人が来るのが嬉(うれ)しくて。人も声を出しつつ牛舎に近づく。どちらの息も白い。 【 正木 ゆう子 選 】
情報を鵜呑みにするな残高がこんなに少ない筈はあるまい
松戸市 内山 佑樹
目の前の通帳に期された、思いのほか少ない残高。信じたくない気持ちを、ネット社会の警句に託したところが、まことにユーモラス。残念ながら、正しい情報ではあろうが。 【 俵 万智 選 】
松戸市 内山 佑樹
目の前の通帳に期された、思いのほか少ない残高。信じたくない気持ちを、ネット社会の警句に託したところが、まことにユーモラス。残念ながら、正しい情報ではあろうが。 【 俵 万智 選 】
無期刑の己が命を思うふなり梅の下枝(しずえ)の凍りつく今朝
仙台市 長岡 義宏
熱心に投稿を続ける作者は、この1月で59歳になったという。「こちらには臥龍梅という名木があるのですが、自分の身を重ねながら春を待つのみ」と記してある。
【 岡野 弘彦 選 】
仙台市 長岡 義宏
熱心に投稿を続ける作者は、この1月で59歳になったという。「こちらには臥龍梅という名木があるのですが、自分の身を重ねながら春を待つのみ」と記してある。
【 岡野 弘彦 選 】
寒雀みな若かろう群れをなし 東京都 駒形 光子
厳しい環境に生きる野生動物は、確かに老いて後の日々が長いとは思われない。雀(すずめ)に関してそんな事を考えたことがないので驚いた。【 正木 ゆう子 選 】
厳しい環境に生きる野生動物は、確かに老いて後の日々が長いとは思われない。雀(すずめ)に関してそんな事を考えたことがないので驚いた。【 正木 ゆう子 選 】
独り居の点々と在り冬灯り 鳥取県 﨏田 小夜子
< 﨏:名字に使われる場合は「えき・さこ・はざま」と読むそうです >
村に点(とも)っている家々の灯(あか)り。 その中には老いた人が一人、 また一人住んでいる。それが分かるのは作者が旅の人ではなく村の人だからだろう。
【 矢島 渚男 選 】
< 﨏:名字に使われる場合は「えき・さこ・はざま」と読むそうです >
村に点(とも)っている家々の灯(あか)り。 その中には老いた人が一人、 また一人住んでいる。それが分かるのは作者が旅の人ではなく村の人だからだろう。
【 矢島 渚男 選 】
勝独楽の回り続ける孤独かな 北本市 萩原 行博
独楽(こま)ならずとも、勝者には立ち続けねばならぬという重責の悲哀がある。そこのところを勝独楽に語らせる句。 【 宇多 喜代子 選 】
独楽(こま)ならずとも、勝者には立ち続けねばならぬという重責の悲哀がある。そこのところを勝独楽に語らせる句。 【 宇多 喜代子 選 】
本日は郵便物の無き日なりラブレターなし請求書なし
京都市 五十嵐 幸助
第四句までは寂しい一日だが、前向きな結句がユーモラス。何もない日は、いいことも無いが、悪いことも無いのだ。 【 俵 万智 選 】
京都市 五十嵐 幸助
第四句までは寂しい一日だが、前向きな結句がユーモラス。何もない日は、いいことも無いが、悪いことも無いのだ。 【 俵 万智 選 】
風呂吹や煮くずれもまた大皿に 弘前市 岩田 秀夫
上出来のものは銘々に盛り付けて。煮崩れたものは大皿にまとめて。でもこの煮崩れた大根の美味しそうなこと。大根を煮たくなる。 【 正木 ゆう子 選 】
上出来のものは銘々に盛り付けて。煮崩れたものは大皿にまとめて。でもこの煮崩れた大根の美味しそうなこと。大根を煮たくなる。 【 正木 ゆう子 選 】