目についた記事を、その時々に書き込むつもりです。
[36]  [37]  [38]  [39]  [40]  [41]  [42]  [43]  [44]  [45]  [46
   キリンには見える軍靴も風花も   諫早市  麻生 勝行

人間の目の高さには見えないものが、かなたの見えるキリンには見える。おそろしい寓話(ぐうわ)。                           【 宇多 喜代子 選 】 


   震災地誄の如くに蕗の薹   松戸市  倉林 高次

「誄(るい)」は死者をたたえ弔う言葉のこと。その比喩として、蕗(ふき)の薹(とう)がなぜか似合う。ぽつりぽつりと、心をこめた言葉のような蕗の薹。
                                   【 正木 ゆう子 選 】


   応へつつ牛舎への道息白し   多摩市  高野 伸二

人の気配を知って、牛たちが呼ぶ。ある牛は「早く朝ごはんの干し草を」と。ある牛はただ人が来るのが嬉(うれ)しくて。人も声を出しつつ牛舎に近づく。どちらの息も白い。                               【 正木 ゆう子 選 】


  情報を鵜呑みにするな残高がこんなに少ない筈はあるまい
                            松戸市  内山 佑樹

目の前の通帳に期された、思いのほか少ない残高。信じたくない気持ちを、ネット社会の警句に託したところが、まことにユーモラス。残念ながら、正しい情報ではあろうが。                                【 俵  万智 選 】


  無期刑の己が命を思うふなり梅の下枝(しずえ)の凍りつく今朝
                            仙台市  長岡 義宏

熱心に投稿を続ける作者は、この1月で59歳になったという。「こちらには臥龍梅という名木があるのですが、自分の身を重ねながら春を待つのみ」と記してある。
                                    【 岡野 弘彦 選 】


   寒雀みな若かろう群れをなし   東京都  駒形 光子

厳しい環境に生きる野生動物は、確かに老いて後の日々が長いとは思われない。雀(すずめ)に関してそんな事を考えたことがないので驚いた。【 正木 ゆう子 選 】


   独り居の点々と在り冬灯り   鳥取県  田 小夜子
       < 﨏:名字に使われる場合は「えき・さこ・はざま」と読むそうです

村に点(とも)っている家々の灯(あか)り。 その中には老いた人が一人、 また一人住んでいる。それが分かるのは作者が旅の人ではなく村の人だからだろう。
                                    【 矢島 渚男 選 】


   勝独楽の回り続ける孤独かな   北本市  萩原 行博

独楽(こま)ならずとも、勝者には立ち続けねばならぬという重責の悲哀がある。そこのところを勝独楽に語らせる句。                 【 宇多 喜代子 選 】 


  本日は郵便物の無き日なりラブレターなし請求書なし 
                          京都市  五十嵐 幸助

第四句までは寂しい一日だが、前向きな結句がユーモラス。何もない日は、いいことも無いが、悪いことも無いのだ。                  【 俵  万智 選 】


   風呂吹や煮くずれもまた大皿に   弘前市  岩田 秀夫

上出来のものは銘々に盛り付けて。煮崩れたものは大皿にまとめて。でもこの煮崩れた大根の美味しそうなこと。大根を煮たくなる。       【 正木 ゆう子 選 】


カレンダー
10 2024/11 12
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
ブログ内検索
最新コメント
[12/31 越中之助]
[12/31 越中之助]
[12/10 ?]
[10/30 読売読者]
[09/06 榎丸 文弘]
最新トラックバック
バーコード
フリーエリア
ゲイ無料総合サイト
カウンター