目についた記事を、その時々に書き込むつもりです。
万力の上にも一つ鏡餅 大牟田市 田頭 俊博
力仕事に欠かせぬ万力。歳の神の来臨にふさわしいところに置く鏡餅を「万力」の上にも置いた。田頭さんにとっては平素世話になっている大事な道具である。 【 宇多 喜代子 選 】
力仕事に欠かせぬ万力。歳の神の来臨にふさわしいところに置く鏡餅を「万力」の上にも置いた。田頭さんにとっては平素世話になっている大事な道具である。 【 宇多 喜代子 選 】
菱形に北海道の凍てにけり 桶川市 小林 茂之
天気図からの発想か。「菱形の」であったらさほどでもなかったと思われるほど、上五の「に」は効いている。凍てがゆるまず氷のように菱形に固まったのだ。北海道全土の寒さをよく伝えている。 【 宇多 喜代子 選 】
枯野より便りありけり会ひに行く 上尾市 中野 博夫
かつて親密であったが、別れた後会うことが永く無く、すでに亡くなったと思っていた人からの便り、と読むことができる。生存がうれしくて、即会いに行った。「枯野」とは、枯れきった死の世界の象徴か。 【 小澤 實 選 】
かつて親密であったが、別れた後会うことが永く無く、すでに亡くなったと思っていた人からの便り、と読むことができる。生存がうれしくて、即会いに行った。「枯野」とは、枯れきった死の世界の象徴か。 【 小澤 實 選 】
12月8日の瀞(とろ)の底知れず 東京都 望月 清彦
年毎のこの日を特別な思いで迎えるのは、1941年12月8日が日米の開戦日であることを知る人に限る。不安と複雑な感慨が去来する。
【 宇多 喜代子選 】
年毎のこの日を特別な思いで迎えるのは、1941年12月8日が日米の開戦日であることを知る人に限る。不安と複雑な感慨が去来する。
【 宇多 喜代子選 】
山眠り山彦ひとり起きてゐる 千葉市 多賀谷 朋子
山彦といえば、山の神や山霊というよりずっと親しい感じがする。人間臭くさえあって、どこでどんなふうに冬を過ごしているのだろうと、想像に誘われるのも楽しい。 【 正木 ゆう子 選 】
山彦といえば、山の神や山霊というよりずっと親しい感じがする。人間臭くさえあって、どこでどんなふうに冬を過ごしているのだろうと、想像に誘われるのも楽しい。 【 正木 ゆう子 選 】
みな佳き名さづかりしかな賀状書く 観音寺市 藤岡ひろみ
字の持つ意味に子の将来の幸せを託して名付けた名。そんな名を吟味しながら賀状を書く。手を使い相手のことを思いつつ書く賀状だからこそ湧く「さづかりし」の感慨。 【 宇多 喜代子 選 】
侘助(わびすけ)や文字に声ある母の文 東京都 望月 清彦
風邪をひかないようにと書いてあれば、そう言う母の声が聞こえる。間に理性の挟まる余地のない母ならではの句。息子ならでは、とも言えるかもしれない。 【 正木 ゆう子 選 】
風邪をひかないようにと書いてあれば、そう言う母の声が聞こえる。間に理性の挟まる余地のない母ならではの句。息子ならでは、とも言えるかもしれない。 【 正木 ゆう子 選 】
月山に開く障子を貼りにけり 鶴岡市 広瀬 弘
この障子を開け閉めするたびに月山を目にする。「障子を貼る」という秋の生活行事が、やがて来る冬への覚悟を静かにうながす。冬を迎える月山の山容が見えるよう。 【 宇多 喜代子 選 】
この障子を開け閉めするたびに月山を目にする。「障子を貼る」という秋の生活行事が、やがて来る冬への覚悟を静かにうながす。冬を迎える月山の山容が見えるよう。 【 宇多 喜代子 選 】
間違いの電話も声や秋の暮 千葉県 菅谷 貞夫
間違い電話も声のうち。人恋しさのつのる夕べには、見知らぬ人の声さえ懐かしいというのだ。間違い電話にも苛立つような生活を送る身には、反省させられる奥床しさ。 【 正木 ゆう子 選 】
間違い電話も声のうち。人恋しさのつのる夕べには、見知らぬ人の声さえ懐かしいというのだ。間違い電話にも苛立つような生活を送る身には、反省させられる奥床しさ。 【 正木 ゆう子 選 】
冷飯もまた新米の旨さかな 東京都 平山 仁
新米で冷飯の句は初見。新米を詠むなら炊きたて、という常識を破っただけで十分に面白いから、あとはいかにシンプルに詠むか。ゆったりとしたリズムがいい。 【 正木 ゆう子 選 】
新米で冷飯の句は初見。新米を詠むなら炊きたて、という常識を破っただけで十分に面白いから、あとはいかにシンプルに詠むか。ゆったりとしたリズムがいい。 【 正木 ゆう子 選 】