目についた記事を、その時々に書き込むつもりです。
うたた寝もかなはぬ月下美人の夜 大分市 櫛来 正宣
この句も、名前に美人とあるからには恋の気配を感じ取りたい。恋でなくても恋であるかのように詠み、読む。それも俳句の楽しさ。 【 正木 ゆう子 選 】
この句も、名前に美人とあるからには恋の気配を感じ取りたい。恋でなくても恋であるかのように詠み、読む。それも俳句の楽しさ。 【 正木 ゆう子 選 】
戦歴は語ることなき生身魂 銚子市 久保 正司
いつもはよく語ってくれる老人だが、自身の戦歴のことになると、一切、口を開かない。戦場でたいへんなことがあったのだろう。 ことに盆、戦友のことを思ってもいよう。 【 小澤 實 選 】
いつもはよく語ってくれる老人だが、自身の戦歴のことになると、一切、口を開かない。戦場でたいへんなことがあったのだろう。 ことに盆、戦友のことを思ってもいよう。 【 小澤 實 選 】
風鈴のよく鳴る夕べ妻の留守 倉吉市 西尾 昭之助
風鈴はいつもと同じように鳴っているのだろうが、いつもは妻の声や妻の動きなどで耳に入らなかったのだろう。妻の居る時より留守の時のほうに、妻の存在は大きく感じられるようである。 【 宇多 喜代子 選 】
風鈴はいつもと同じように鳴っているのだろうが、いつもは妻の声や妻の動きなどで耳に入らなかったのだろう。妻の居る時より留守の時のほうに、妻の存在は大きく感じられるようである。 【 宇多 喜代子 選 】
二人征き兄は還らず大文字 名古屋市 植木 照男
太平洋戦争に兄弟で出征市、兄は還らなかったのだ。 8月16日の夜、京都東山如意ヶ岳を中心に行われる大文字に、兄を偲(しの)んでいる。
【 森 澄雄 選 】
太平洋戦争に兄弟で出征市、兄は還らなかったのだ。 8月16日の夜、京都東山如意ヶ岳を中心に行われる大文字に、兄を偲(しの)んでいる。
【 森 澄雄 選 】
生身魂あれもこれもと言うふなかれ 東京都 白木 静子
盆には死者を祀(まつ)るだけではなく、生きている親など目上の者に対して礼を尽くす。その目上の者が生身魂(いきみたま)。敬すべき生身魂が元気でいろいろと注文をつけてきて、対応できない。まさに、現代の生身魂である
【 小澤 實 選 】
盆には死者を祀(まつ)るだけではなく、生きている親など目上の者に対して礼を尽くす。その目上の者が生身魂(いきみたま)。敬すべき生身魂が元気でいろいろと注文をつけてきて、対応できない。まさに、現代の生身魂である
【 小澤 實 選 】
玉音は十五の夏や終戦日 弘前市 岩田 秀夫
玉音は天皇の声。 昭和20年8月15日に、終戦の詔勅(しょうちょく)を告げる玉音放送があった。 よく聞き取れないが忘れがたい声であった。
「十五の夏」も強く印象に残る。 【 成田 千空 選 】
玉音は天皇の声。 昭和20年8月15日に、終戦の詔勅(しょうちょく)を告げる玉音放送があった。 よく聞き取れないが忘れがたい声であった。
「十五の夏」も強く印象に残る。 【 成田 千空 選 】
大仏のわずかに動く暑さかな 高岡市 杉本 透
この句のよさは「わずかに動く」にある。「動くようだ」「動いたように見えた」では言葉の瞬発力が消える。堪(たま)らない暑さの感じられる句。
【 宇多 喜代子 選 】
これを読んで、昔(’06.06)、日記帳にメモした句を思い出しました。
木のちから盛りあがりたり夏の山 四街道市 佐野 素子
【 宇多 喜代子 選 】
「木のちから盛りあがりたり / 夏の山」と詠むべきところを、
「木のちから / 盛りあがりたり夏の山」と詠んでしまい、
全然違う解釈をしていました。お恥ずかしことです。
この句のよさは「わずかに動く」にある。「動くようだ」「動いたように見えた」では言葉の瞬発力が消える。堪(たま)らない暑さの感じられる句。
【 宇多 喜代子 選 】
これを読んで、昔(’06.06)、日記帳にメモした句を思い出しました。
木のちから盛りあがりたり夏の山 四街道市 佐野 素子
【 宇多 喜代子 選 】
「木のちから盛りあがりたり / 夏の山」と詠むべきところを、
「木のちから / 盛りあがりたり夏の山」と詠んでしまい、
全然違う解釈をしていました。お恥ずかしことです。
今年また少年兵に茄子の馬 東京都 山口 照男
茄子や胡瓜を牛の形につくり、盆の魂棚に供える。精霊はこれに乗って家に帰ってくるとされる。今年もまた戦死した少年兵のために茄子の馬を供えて魂を迎えた句。 【 成田 千空 選 】
茄子や胡瓜を牛の形につくり、盆の魂棚に供える。精霊はこれに乗って家に帰ってくるとされる。今年もまた戦死した少年兵のために茄子の馬を供えて魂を迎えた句。 【 成田 千空 選 】
オイオイと呼ばれて母の日の母よ 西条市 平井 辰夫
母をオイと呼ぶ人とは、たぶんは葉のつれあいである父。それをいっこうに不幸だとは思わない母。そんな母が見える。 【 宇多 喜代子 選 】
間のありて父の入りくる帰省かな 神戸市 藤生 昇三
真っ先に出迎えてくれる母と違って、ひとまず落ち着いてから徐(おもむろ)に顔を出す父。わが父もそう、と頷く人は多いはず。父という存在の機微をとらえて、微笑ましくも切ない。 【 正木 ゆう子 選 】
母をオイと呼ぶ人とは、たぶんは葉のつれあいである父。それをいっこうに不幸だとは思わない母。そんな母が見える。 【 宇多 喜代子 選 】
間のありて父の入りくる帰省かな 神戸市 藤生 昇三
真っ先に出迎えてくれる母と違って、ひとまず落ち着いてから徐(おもむろ)に顔を出す父。わが父もそう、と頷く人は多いはず。父という存在の機微をとらえて、微笑ましくも切ない。 【 正木 ゆう子 選 】
今にして楽しかりけり蚊帳吊るは 東京都 高橋 静子
夜寝るとき、蚊を防ぐために蚊帳を吊った。 一と仕事であったが安眠できたし、今にして思えば楽しかったという。季節の情緒があった。
【 成田 千空 選 】
夜寝るとき、蚊を防ぐために蚊帳を吊った。 一と仕事であったが安眠できたし、今にして思えば楽しかったという。季節の情緒があった。
【 成田 千空 選 】