目についた記事を、その時々に書き込むつもりです。
[283]  [284]  [285]  [286]  [287]  [288]  [289]  [290]  [291]  [292]  [293

   きらきらと をのこのゆまり 秋の風   東京都  吉竹  純  

男の子の立小便を秋風が吹き飛ばしていく。飛沫(しぶき)が太陽にきらめいている。上五中七のひらがなも飛沫を感じさせていい。不潔な感じがしないのは、「秋の風」の力か。                【 小澤  實 選 】
                                                      



   送り火の大きく揺れてみんな発つ   青梅市  藤崎 嶺雲

送り火の句にしては珍しくさらっとした詠み方が特徴的。「みんな」という言い方に、多くの愛する人を見送った人生がうかがわれ、大らかな諦観 (ていかん)が感じられる。                    【 正木 ゆう子 選 】


   夕立去り町一斉に立上がる   横浜市  藤田 顕英

夕立にしばし止まっていた町の機能の再開を、「立上がる」と捉(とら)えたのが独特で、実感がある。一人一人の人間の集合であると同時に、町も一つの生き物のよう。                     【 正木 ゆう子 選 】


   八朔の田に天の水たまはりぬ   津市  中山 いつき

八朔(はっさく)とは8月1日のこと。田植えの日から稲が稔るまで、五風十雨の恵みが順調でありますようにと天を仰いで祈る。 まさに「たまはりぬ」の想いである。                      【 宇多 喜代子 選 】


   飛込みのはがねのごとくしなりけり   加須市  松永 浮堂

わずか何秒かのポーズだが、競技に見る飛び込みの選手の肢体のしなやかさには驚く。それでいて強靭。              【 宇多 喜代子選 】


   夜長人酔うて涙を零(こぼ)しけり   厚木市  山本 啓介

秋の夜長を過ごす人を「夜長人」と呼ぶ。酔って昔を懐かしんでは泣くのか。精神的な内容だが、情緒に流されずに、しっかりと描写したのがいい。自画像かもしれない。                     【 小澤  實 選 】


   水を得し魚の如くに踊るなり   泉佐野市  向井 克之介

盆の13日から16日にかけて、町や村の広場で盆踊りが行われる。素朴で単純な踊だが、楽しさがあふれて身も心も軽くなる踊である。
                               【 成田 千空 選 】



   朝取りのトマトに星の匂ひあり   相模原市  芝岡 友衛

朝もいだトマトの芳香を「星の匂ひ」と詠んだ。夜中に星が育てたか。星の養分を吸って育ったか。いずれにしても、不思議。 収穫のトマトのみずみずしさも感じられる。                      【 小澤  實 選 】


   夜光虫親より友を選びし日   広島市  佐保 光俊

親が絶対だった子供時代から、思春期に入って、初めて友達を優先した思い出だろう。親が止めるのを聞かず、夜の海へ行って見た神秘の煌(きら)めき。季語が抜群に効いている。             【 正木 ゆう子 選 】


   黙祷の8時15分広島忌   東京都  杉中 元敏

昭和20年8月6日。広島市に世界最初の原子爆弾が落とされ、最初の4ヶ月間で約13万人が亡くなった。毎年広島市平和記念公園では平和祈念式が行われ投下された8時15分に黙祷が捧げらる。
                               【 森  澄雄 選 】


カレンダー
01 2025/02 03
S M T W T F S
1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28
ブログ内検索
最新コメント
[12/31 越中之助]
[12/31 越中之助]
[12/10 ?]
[10/30 読売読者]
[09/06 榎丸 文弘]
最新トラックバック
バーコード
フリーエリア
ゲイ無料総合サイト
カウンター