目についた記事を、その時々に書き込むつもりです。
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【 09.09.02 読売俳壇  正木 ゆう子 選 】
 
   核全廃日本発進原爆忌   諫早市  大串  崇 
この夏は原爆忌の投句が例年より多かった。オバマ大統領の核廃絶宣言に力を得て、唯一の被爆国としての役目を再認識する。「発進」と「発信」、どちらがいいだろう。
   
   水を打つあとは無言に祈るのみ   三原市  戸田 静雄
前句の作者は長崎、こちらは広島の人である。 万感の思いを胸に、ただ水を打つ。この水を飲ませたかった人がいるかもしれない。

   敗戦日不思議な今日の残されし   柏 市  藤崎  務
今日とは、現在の今日とも解釈できるが、戦争の終わった当日のことか。あるいはそれ以来のすべての今日。生きていてこその今日。
   


今週の特選句
  靴下を脱いで足から蘇る   ( 青森県 濱山 哲也  48歳 )
     はぁ生き返ったよ・・・・・・特選。


ほかに、 
 
靴下が気になりクサヤ注文す   ( 長野県 加藤  修 60歳 )
     そういうお客さん多いんですよね。
  
 靴下の穴に気が付く通夜の席  ( 岐阜県 金子 秀重  58歳 )
     なんでかね、アレたいがい通夜に気付くね。

 親指に靴下なんぞ履かせない  ( 東京都 木下 伍悦 75歳 ) 
     あーポリシーなのね、その穴。

 靴下を一足ずつ買うぜいたくさ   ( 東京都 田中  洋 46歳 )
      え!? なんてお大尽なんですか!!


   一分の沈黙そして秋の蝶    小枝 恵美子 (こえだ えみこ)

一分間の黙祷。あの沈黙の一分間は長いか短いか。 人生の時間の中では、ほんのつかの間に過ぎないが、さまざまな思いの詰まった濃密な時間でもある。その緊張を破るかのように目の前を過ぎる無邪気な蝶。ふっと空気が流れはじめる。                   【 四季 ・ 長谷川 櫂 】



   デラシネの東京暮し金魚玉   小平市  土居ノ内 寛子

デラシネはフランス語で故郷喪失者・根無し草の意味。
この句は季語の「金魚玉」が動かない。金魚も根無し草なのだ。
江戸時代にも、<蛍とべ根無し草なる我(わが)身より>といういい句がある。放浪の生涯を酒田港に終えた常世田長翠(とこよだちょうすい)の作。     
                                   
   退屈な金魚に見せる百面相   前橋市  池畠 敏子
                               【 矢島 渚男 選 】



 夫の笑顔を横から見るのがいちばん好き他人とはなす顔を見まもる
                            大阪府  畑中冨美子

この、新妻のようにみずみずしい夫への愛の歌の作者は、八十半ばの私よりもさらに年上だから驚く。女性が若く活力ある時代、男性も活力を持たなければ。                            【 岡野 弘彦 選 】


今週の特選句
 空気にはルビを振れないもどかしさ  ( 埼玉県 池田 伸好  69歳 )
     だから読めないのか、空気・・・・・・ま、特選。


ほかに、 
 
聞いとけば良かった文字に又出会う     ( 千葉県 KYN 74歳 )
     え、何て字?・・・・・・あ、読めないのか。
  
 アナログと画面の右上しつっこい   ( 茨城県 西村 知子  60歳 )
     まぁまぁ、あと二年弱ですから。

 アルバムの「かたたたきけん」孫の文字 ( 東京都 西澤 栄 52歳 ) 
     有効期限、無期限ですか?

 人文字の写真ここらに俺がいる    ( 栃木県 吉田やま彦 70歳 )
     あ、本当だ! ・・・・・・わかんねえよ。
   
 湯文字干し祖母は最期の日を送り ( 静岡県 岩田 喜江 64歳 )
     最後までキチンとしてましたね。  


   鶏頭のかたまつてゐる暗さかな    鶴岡市  広瀬  弘

群生している鶏頭の花。派手な花なのだが、花の襞(ひだ)、濃い紅色に感じた「暗さ」。得体のしれない怖さのようなものが伝わる句。
                              【 宇多 喜代子 選 】 


 「タンチョウの頭の赤はハゲなんよ」語るじいさま聴くもじいさま
                           高槻市  佐々木文子

のんびりゆったり、とりとめもない話。でも仙人の深遠な禅問答のようでもある。丹頂鶴の頭が赤いのはハゲなのさ。そうさ、いかにも。 それから二人でニタリとする。                       【 岡野 弘彦 選 】


 参列者で最高齢となるのは101歳の池端志津江さん(さいたま市見沼区)。過去の追悼式でも最高齢となる。夫・正雄さんは1944年8月に臨時召集され、輸送船で南方戦線に向かう途中の同12月、台湾・フィリピン間の海峡で潜水艦の雷撃を受けて戦死した。

 2人は当時では珍しい恋愛結婚だった。夫は自分が勤めた染め物工場で妻が働けるよう取り計らい、南方へ旅立った。「子供を頼む」。そう言い残した夫の戦死の知らせが届いたのは終戦の翌年だった。

 子供は男ばかり3人。生活は苦しかったが、埼玉県内の染め物工場で55歳まで働き、3人を育て上げた。その間も夫と過ごした家を離れようとはしなかった。息子たちが次々に巣立った後も住み続けた。「母はいつか父が帰ってくる。そう信じて生きてきたのだろう」。三男の正之さん(69)はそう思ってきた。しかし95歳の時、硬膜下出血で倒れる。退院した後は愛着のあった家を離れ、長男宅で暮らしている。

 「戦争のことは忘れた」。息子たちにかたくなに言い続けた。何も語ろうとしない。大戦を扱ったテレビ番組も見ない。追悼式の案内が来ても関心を示さなかった。昨夏、新聞で追悼式の記事を読んだ後、「私も出たいわ」とつぶやいた。同じ戦没者の妻たちが高齢を押して参列していることを知り、気持ちが変わった。

 それから1年後のこの日、車いすに乗った志津江さんは正雄さんの遺影を胸に抱え、武道館に入った。「お国のためでしたけど、大変な目に遭った。残念です」と思いを語った。追悼式に初めて参列することは、「あの世にいるお父さんも喜んでいると思います。お父さんのおかげで私は長生きできた。みんなが平和に健康に暮らせることを願っています」と話した。

2009年8月15日14時09分  読売新聞)


 大切なことなどみんな忘れたりそれでも生きて飯のうまさよ
                           東京都  白木 静子 
 
え、何事がおこったの、と思わずつりこまれて読んできて、第五句に到って、うん納得という感じ。長生きしてください。         【 岡野 弘彦 選 】


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