目についた記事を、その時々に書き込むつもりです。
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 不来方(こずかた)のお城のもみじ愛でながら空を見上げる七十五歳
                            小平市  栗原 良子

啄木 「 不来方のお城のあとの草に臥(ね)て空に吸はれし十五の心 」。
それから星霜60年が過ぎて、こういうすてきな秋の一日があったのであった。
光陰矢の如し。 ( 不来方= 盛岡の雅称 )            【 小池  光 選 】


今週の特選句
 明日登る山を見上げる家族風呂  ( 北海道 松永  格  79歳 )
     いい汗かくぞ! 晴れ晴れ、特選!


ほかに、
 ぽにょぽにょの宝受け取るバスタオル ( 岡山県 工藤千代子  ?歳 )
    落とさないでよ落とさないでよ!
 
 
九九暗誦 親子でとちる 七の段   ( 大阪府 るそん亭 75歳 )
    これねぇ、お題が風呂って説明しないと、風呂の句だかなんだか
      わかんないんだけど・・・・・・、捨て難かったんだなぁ。 
  
 碁敵で 風呂友達で へそ曲がり ( 千葉県 渡辺キールン 80歳 )
    風呂でへそ見てっから知ってんだね。

 背を流す孫のムスコが背を撫でる    ( 千葉県 諸隅定 58歳 )
    ひ孫も手伝ってんだね。


  ひそむもの何も見えざる枯野かな   寝屋川市  大西 嘉弘

枯野にはたくさんの生き物たちがひそんでいるはずだが、少しもその気配は感じられない。                        【 矢島 渚男 選 】


  三四郎それから門へ秋深む   愛知県  北出 風光
 
言うまでもなく夏目漱石の三作品。『三四郎』 『それから』と読みついで、『門』へ入ったというのだろうか。折から秋が深まってきた。「それから」が巧みに使われている。                     【 矢島 渚男 選 】


今週の特選句
   先輩は実験ですとキスのまね  ( 福島県 佐藤 武雄  86歳 )
      え? ホントは実験じゃないんじゃないの?
       次は思い切って・・・・・・ドキドキ、
特選。


ほかに、 
 
 実験のつもりでできた宝もの    ( 埼玉県 上田 正行 71歳 )
      実験、大成功でしたね!
  
  口紅がついているわと言ってみる ( 福岡県 平山なな子  58歳 )
      意外と効果的みたいっスよね。

  実権を実験的に与えられ      ( 新潟県 田中  望 71歳 )
      成功しますかねぇ、国民の皆さん。

  30代落語おたくの彼にかけ    ( 東京都 樽谷 子猫 31歳 )
      うわー・・・・・・これねぇ、リスク高いよォ・・・・・・。


  地に重き記憶あるべし曼珠沙華   三原市  上脇 立哉

曼珠沙華は不思議な花だ。突然現れて消え、花のあとに青々と葉を茂らせて春が更けると跡形もない。死人花の名もあり、不気味でもある。江戸時代には飢饉(ききん)に際しての救荒作物だったこともある。きっと地下に「重い記憶」が蓄えられているにちがいない、というのである。 【矢島 渚男 選】


  台風にこと寄せて聞く子の暮らし   茅ヶ崎市  清水 呑舟

父親たるもの、用もないのに子供に電話など掛けられない。台風見舞いにかこつけて、やっと暮らしぶりも聞くことができたのだろう。内容・表現ともに穏やかで、温かい。                    【 正木 ゆう子 選 】


 買うことも貰うこともなき胡蝶蘭大臣室にずらりと並ぶ   
                         名古屋市  平野のり子

鳩山内閣が誕生して新大臣が次々に決まった。お祝いに贈られるのはなぜか胡蝶蘭ばかり。胡蝶蘭に恨みはないが、その画一性が気になる。上句に違和感が表れている。                  【 栗木 京子 選 】


今週の特選句
  中折れで斜にかまえてる遠い父 ( 東京都 倉友 京子  65歳 )
      お父さんカッコいいじゃん! 特選だっ。


ほかに、 
 
帽子さえ取らねばタイプの人なのに ( 大阪府 大野久美子 48歳 )
      そっちも化粧さえ落とさなきゃ・・・・・・。
  
 恨めしや帽子の裏に2,3本      ( 岡山県 松島紀義  68歳 )
      いっそ全部抜いちまったら?

 この帽子あの防止にも役に立ち  ( 秋田県 佐々木緑雨 59歳 )
      あー。そらぁねぇ。大事なことだからねェ。

 いがぐりの涙をぬぐう野球帽      ( 新潟県 田中  望 71歳 )
      精一杯闘ったね、いい涙だ。


   秋深し砂丘のすなに靴を脱ぐ   横浜市  岡部  重喜

深秋の砂丘に裸足になって踏み入る。足の裏で砂の感触を味わおうとしているのか。砂丘の端に置かれた靴と砂上に続く足跡が美しい。
                               【 小澤  實 選


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