目についた記事を、その時々に書き込むつもりです。
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   夜は夜のひかり離さず薄原    大垣市  大西 誠一
日の光を受けて輝いていた薄(すすき)原が夕刻には淡く光り、そのまま夜に入る。「夜の光」は月光と解して当然だろうが、無月であっても光は見えてくる。                             【宇多 喜代子選】



  おおつぶの雨にうたれてわらいだす何に勝とうとしてたんだろう
                          東京都  加藤あんぷ

ずぶ濡れの爽快(そうかい)感というものがある。ここまでやられると笑いだしたくなっちゃう。勝つとか負けるとか、何を恐れていたのか。時には傘を捨てることが大事なのかも。                   【 小池  光 選 】



 穴の開いたアルマイト弁当まん中に梅干し入れて行きし学校
                           京都市  高橋 雅雄

7月7日は日中戦争の始まった日で梅干一つの日の丸弁当を持たされた。その日が誕生日の私は、さみしかった。        【 岡野 弘彦 選 】


  抜け道のある林檎園に少年の友を呼びゐる甲高き声
                          弘前市  竹内 正史

少年達の秘密の遊び場になっているのだろう。「抜け道のある」という端的な描写で、イメージがぐっと広がってくる。 ボーイソプラノと林檎園の取り合わせが、繊細な美しさを醸し出す一首だ。            【俵
 万智 選 】


   干柿の影を纏(まと)いてミシン踏む   東京都  松永 京子

自分では気付かないだろうから、そんな人を見たのだろう。おそらく夕日。たぶん縁側。足踏みミシンを踏んでいた人は、もしかしたら作者の母上かもしれない。                           【 正木 ゆう子 選 】


   空風や長方形の村役場   埼玉県  小林  光 

乾いた空っ風が吹き荒(すさ)ぶ。人家の少ない村の中心にある村役場。四角の建物は、風の中で揺るぐことのない唯一の存在ででもあるかのように見える。頼もしいような、場違いのような長方形だ。 【 宇多 喜代子 選 】



   秋の夜の学習机といふ宇宙     金沢市  竹内  繁

本を読み物を書く机は、無限に広がる想像力の入り口である。未来在る子供の学習机ならなおのこと、さまざまな本に囲まれて、スタンドを点(とも)せば、そこは子供だけの宇宙。        【 05.12.26 正木 ゆう子 選 】


 八十路すぎてあまりに早き日の流れまたあらたなる年の近づく
                           東京都  安田  順

正月が来るのが夢のように待ち遠しかった幼年、一日一日が充実して生きることの確かだった中年、それに比べて何という時の経過の早さだろう。それでも新年を迎える心の動きは楽しい。   【 05.12.26 岡野 弘彦 選 】


 貧しきも富むもおしなべて煌(きらめ)く灯眼下に点せり函館山は
                            東京都  加藤みさを
     
作者は函館山を親しい山として眺めているようだ。その山が夜闇の中に在るときの感を歌っているが、住む人のくらしのさまに及んでいて深いものがある。   
                        【05.12.26   田谷  鋭 選 】


   犬のいた17年や冬の入り     由布市  野上 浩志

立冬を過ぎるとやがて落ち葉の季節。17年間犬とともに踏んだ落ち葉の道を、今年は人間だけで歩く寂しさ。犬よありがとう、という気持ち。                           
                              【 正木 ゆう子 選 】


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