目についた記事を、その時々に書き込むつもりです。
[237]  [238]  [239]  [240]  [241]  [242]  [243]  [244]  [245]  [246]  [247
  日記書く妻が漢字を聞くたびに試されてゐる我かもしれず
                        鹿児島市  杉村 幸雄

試されているのは、知識だけではない。 聞かれる漢字によっては、内容が類推されてどきっとすることもあるだおう。平和な一コマに見えて、スリリングなひととき。                           【 俵 万智 選 】


   百万本の中に母いる秋桜    入間市 田之上 ヨリ子

一面のコスモスの中に母がいるという現実とも幻想ともまがう景だが、それもゆらゆら揺れるコスモスの生むもの。          【 宇多 喜代子 選 】


   吹く風に翅とぢかねて秋の蝶    東京都  望月 清彦

吹く風に身を倒されそうになっている秋の蝶。 同じような秋蝶の哀れに心をとめたことはあっても、「とぢかねて」まで見届ける人は少ない。     【 正木 ゆう子 選 】
  
   ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
  
   凍蝶(いてちょう)も焚(た)いてしまつたかも知れぬ   仙田 洋子

落ち葉を焚きながら思ったのだ。 その中に凍えた蝶がまぎれていたかもしれない。 翅(はね)をたたみ、もはや飛ぶこともない。かといって命がないわけではない。魂だけが飛びたってゆくのをじっと待っている、ひとひらの落ち葉のような冬の蝶。            
                    【 読売08.12.01夕刊 ・ 四季 ・ 長谷川 櫂 】
 
   ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

   もはや人畏れぬことも秋の蝶   神奈川県  西田 克憲

畏(おそ)れないのは、逞(たくま)しいからでも大胆だからでもない。 もう人を畏れる余裕さえなくなった秋の蝶の捨て身の哀れ。作者の優しく鋭い視線が感じられる。              【 09.11.02 正木 ゆう子 選 】

   ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

   秋蝶のしきりに見ゆる素十の忌   横浜市  小林 千秋

<方丈の大庇より春の蝶><秋蝶の人のうしろに美しき>など、高野素十には、「蝶」「秋の蝶」の句が多い。秋の蝶に素十のことを思い出した。否、その忌日に蝶のことを思い出したのだ。素十忌は10月4日。
                     【 10.11.01 宇多 喜代子 選 】


   縁側に出て名月の人となる   町田市  枝沢 聖文 

縁側に出て、かがやきわたる名月を仰ぐ。そして、名月の光を全身に浴びる。酒好きなら酒も用意したい。それを「名月の人となる」と称しているのだ。
                               【 小澤  實 選  】


 今週の特選句
   草食系だから手応えかすみ草  ( 大阪府 田中由美子 61歳 ) 
   
  食虫植物かもしれないぞ! でも、特選!


ほかに、
  応答が無くてそのまま200歳       ( 東京都 はる ?歳 )
     ?歳って、はるさん、本当は200歳?

  応援の親が子供の邪魔になり    ( 岐阜県 素吐露 54歳 )
     誰かその親も応援してやんなよ。  
   
  老いて聞く遠き母校の応援歌     ( 長崎県 マー坊 73歳 )
     あの歌はいつまでたっても忘れませんね。 

  天下りしか応用が利かんのだ   ( 大阪府 奥 時雄 74歳 )
     威張ってる割に不器用なオッチャンやな。



夫が妻を乗せて車を運転していた。
車は県道を時速50㌔で走っていた。
妻が突然、切り出した。

「私たち、結婚してもう15年ね。
 そろそろ私、あなたとお別れしたいの」

夫は黙ってスピードを80㌔にあげた。

「私、あなたの親友のSさんとデキちゃったの。
 あなたよりもずっと素敵よ」

夫は何も答えず、100㌔までアクセルを踏み込んだ。

「離婚したら、家と子どもはもらうわ」

夫はさらにスピードを上げた。

「それからこの自動車と、銀行口座とクレジットカードももらうわね。
 あなたは? あなたは何が欲しい?」

ようやく夫が口を開いた。

「オレは今、持ってるので十分さ」

「何なの?」

「目の前のエアバック。運転席だけに付いている」
                        【 ’10.10.28 週刊新潮 】


   秋の夜の魚の長さに魚の皿   秋田市  中村 栄一

書かれてはいないが、一読、秋刀魚とその尻尾を容れた皿が見えてきた。四つの「の」に、一つの「に」が効果的。        【 宇多 喜代子 選 】


   四角田に四角に咲いて彼岸花    三重県  川村 佳子

彼岸がくれば約束のように曼珠沙華が咲く。四角の田を囲む畦にびっしり咲いているのか。愛らしい花ではないのだが、なぜか懐かしい花だ。
                              【 宇多 喜代子 選 】


 曼珠沙華橋のたもとに咲いてゐる独り遊びをする子のやうに 
                           青梅市  諸井 末男

曼珠沙華は群れて咲くものなので、はじめはピンとこない比喩だった。 が、この寂しさは、子供がいない風景ゆえなのだと気づく。曼珠沙華は、子供を待っているのだ。                       【 俵 万智 選 】


今週の特選句
   ライバルの我より早き骨を抱く    ( 東京都 鶴亀三 62歳 )
     決着つきませんでしたね。好敵手に、特選。


ほかに、
  ライバルに勝った不運の尻の下 ( 北海道 山口 昭悦 74歳 )
     あん時、手加減しときゃよかったなぁ・・・・・・。

  ちょっとだけライバルだったメダリスト ( 長崎県 まいこパパ59歳 )
     人一倍、応援にも気合が入りますね。  
   
  腕相撲父を負かした悲しい日   ( 神奈川県 ザマ・ミロ 65歳 )
     でも、お父さんは喜んでらっしゃいますね。 

  若い娘に負けない技が一つある  ( 千葉県 滝沢ゆき子 45歳 )
     教えて教えて。技かけて技かけて。

  俺のよりなぜかうまそな犬の飯     ( 福岡県 くちなし 58歳 )
     ライバル、なんだ。つか、負けてんじゃん。



カレンダー
01 2025/02 03
S M T W T F S
1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28
ブログ内検索
最新コメント
[12/31 越中之助]
[12/31 越中之助]
[12/10 ?]
[10/30 読売読者]
[09/06 榎丸 文弘]
最新トラックバック
バーコード
フリーエリア
ゲイ無料総合サイト
カウンター