「お金持ちの旦那様、哀れなわたしにお金を恵んでください」
すると紳士は、高級そうな財布を上着のポケットから取り出し、
たった一枚のコインを投げ与えた。
「これっぽちですかい! ケチの旦那。
こんな金、何に使えっていうんですか!」
紳士が答えた。
「貧しい人に恵んでやりなさい」
【 ’10.12.02 週刊新潮 】
空いた席がないと分かると、座っている若い男の前に立って、こう言った。
「すみません、席を譲っていただけないでしょうか? 私、妊娠してるんです」
「それは失礼しました。 どうぞ」
座席を女性に譲ると、男は尋ねた。
「今、何ヶ月なんですか?」
女性が微笑みながら答えた。
「たった今、してきたばっかりなの。まだ10分くらいかしら」
【 ’10.12.02 週刊新潮 】
「大豆引く」は大豆の茎葉と根とを引き抜くこと。収穫である。枯葉や豆が音を立てるが、その音を大豆の大地への惜別の音と聞き取った。草木の情をみごとに捉えた。 【 小澤 實 選 】
75歳のおじいさんが病院にやってきて、
精液の検査をしてくれと医者に頼んだ。
医者は疑問の思ったが、小瓶を渡して、
この中に精液を入れてくるように、とおじいさんに言った。
翌日、おじいさんが持ってきた瓶には何も入っていなかった。
「先生、自分の右手でやってもダメ、左手でやってみてもダメでした。
女房に手伝ってもらったんですが、やっぱり右手でもダメ、
左手でもダメ、最後は口でもダメでした」
「おじいさん、無理をなさらなくてもいいんですよ」
「ばあさんじゃ無理だと思って、お隣の奥さんにもやってもらったんです。
でも、右手でも左手でも、最後は口でもやってもらったんですが」
医者はいささかショックを受けた。
「おじいさん、何もそこまでしなくたっていいじゃないですか」
「ええ、でも、やっぱりダメなんです。瓶のふたが開かないんです」
【 ’10.11.25 週刊新潮 】
私より上手に着てる同じ柄 ( 愛知県 江角 一子 59歳 )
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ほかに、
膀胱の柄を無造作につまむ女医 ( 山梨県 伊東 徹 71歳 )
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大柄な割に細かいことを言う ( 大阪府 奥 時雄 74歳 )
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花柄の傘で帰って来た息子 ( 東京都 渡辺 智賀子 55歳 )
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手柄など課長に呉れて実を取り ( 愛知県 川越 公応 61歳 )
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栗の毬(いが)はなかなか土に還らない。焼いて灰にして、肥料として、栗の木に還してやるのだ。来年もこの木はいい実をつけるだろう。
【 小澤 實 選 】
北本市 関 庸江
「・・・・・・私はばぁば」ではなく、そこに英語を挟んだところが、しゃれている。 「べらぼうに」も実感のこもった表現だ。 【 俵 万智 選 】
日本人の観光客が中国へ行ったが、街中で急に尿意をもよおした。
けれども周囲に公衆便所がない。
仕方がないので公園の木立の下で、立ったまま済ませようとしたところを、
警官に制止された。
「ここでの立小便は固く禁じられています」
「すみませんが、どうしても我慢できないんです」
「よろしい、ついて来なさい」
警官に随ってしばらく行くと、白壁のきれいな建物へ案内された。
周囲には花壇がめぐらされている。
「ここでやりなさい」
観光客は白壁に向かって用を足した。
「ありがとうございます。ところで、ここは病院か何かですか?」
「いえ、日本大使館です」
【 ’10.11.18 週刊新潮 】
詫び住まいポケットの無いパジャマ着て
( 福井県 加賀川 治作 62歳 )
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ほかに、
ポケットの中で昭和が止ってる ( 東京都 冨江 治夫 70歳 )
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ポケットの中で証拠が息ひそめ ( 東京都 坂本 健治 ?歳 )
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ポケベル時代先輩がまた語り出す ( 埼玉県 堀口 弘一 82歳 )
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ポケットの中からムスコを右向きに ( 東京都 安達 秀幸 58歳 )
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色鬼は、鬼が赤と言えば赤いものに、青と言えば青いものに触れる遊び。色無き風という愁いを含んだ季語に、子供の無邪気な遊びを取り合わせて、いっそう愁いが深い。 【 正木 ゆう子 選 】