目についた記事を、その時々に書き込むつもりです。
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   戦死せり32枚の歯をそろへ    藤木 清子

戦死者の骸骨に32本の歯がそろっていた。ということは戦死者は若い人である。32本の歯を見ながら、その衝撃を即物的に活写した。戦死した兵士の無念が32本の歯にこめられている。清子は明治生まれ、広島の人で、日野 草城(そうじょう)主幹の新興俳句誌「旗艦」に投句していた。この句を発表した翌年(昭和15年)以降の消息は不明。「ホトトギス」に対抗した「旗艦」には凄腕の俳人が揃っていた。    『旗艦』(昭和14年3月号)
    【 '11.08.25 週刊新潮 ・ 新々句歌歳時記  嵐山 光三郎 選 】



   白足袋の死者に生者に祭笛   東京都  山口 照男

祭りに「白足袋」。ここに死者がまじる。その死者も、生者と同じく白足袋をはいている。異時空の彼らも、この世の祭にきているのだ。
                             【 宇多 喜代子 選 】


   問題は西瓜畑に合宿所   酒田市  柴田 和子

運動部の夏休みの合宿が行われている。みな元気にやっているようだが、食べ盛りの彼らのこと、近くに西瓜畑のあることが心配。【 矢島 渚男 選 】


 あれ程に探せし品がある日ふと笑っているよにひょいと顔出す
                         加古川市  鈴木 菊枝

誰にでも覚えがある。わたしは最近、自転車の鍵をなくして往生した。鍵を付け替えたら、とんでもないところから出てきた。まさに「笑っているよに」。
ガックリ参る。                        【 小池  光 選 】


【 俵  万智 選 】 
 スーパーの野菜売場の新聞の歌壇の紙面にわが歌が載る
                         吹田市  鈴木 基充

   ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

下位の入選のため選者の評はありませんが作者の気持ちが素直に伝わってきたのでメモしてみました。



  頭から靴のなかまで大夕立(ゆだち)   多摩市  福田 澄子

突然の大夕立で、びしょ濡れになってしまった。 「靴のなかまで」の素朴さがよい。 道路も水浸しなのだ。 世界的な異常気象で、各地にこんな事態が起こっている。                       【 矢島 渚男 選 】


   雨に濡れ紫陽花になる地球かな   鹿角市  石川 ゆみこ

紫陽花あじさい)が天体のように丸いことからの発想だろうが、ひっくり返して地球を紫陽花に喩え、しかも隠喩にしたことで、とてもユニークな句に。
ときにはこんな冒険作を。                【 正木 ゆう子 選 】



   空蝉の葉裏に時の止まりけり   加須市  佐藤 貴白草

空蝉は大いに詩情を刺激する季語に一つ。命はないのに、屍ではなく、ある日ある時の蝉の姿をいつまでも留めている神秘的なもの。【正木ゆう子 選】



  帰省子(きせいし)の声に隣の犬吠ゆる   東京都  望月清彦

久しぶりに郷里に帰った子の声を聞いて、隣の犬まで歓迎して吠えている。すぐに遊んで欲しくてたまらないのだ。尾も振っていよう。 【小澤  實 選 】


   鉢巻ハ夏向キナノダバガボン忌   市川市  杉森 日出夫

赤塚不二夫の忌日は8月2日。作者はバガボン忌と呼んで、偉才惜しむ。上五中七はバガボンのパパのことばにまことにふさわしい。【小澤  實 選 】


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