目についた記事を、その時々に書き込むつもりです。
今週の特選句
打ち水で出た虹ほどの恋だった ( 宮城県 内海 敏明 70歳 )
きれいで、切ない。 特選であります。
打ち水で出た虹ほどの恋だった ( 宮城県 内海 敏明 70歳 )
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ほかに、
にこにこと五百羅漢に己(おれ)が居り( 静岡県 稲葉 正雄 78歳 )
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裸婦像に洟垂れたちが小うるさい ( 茨城県 瀬川 移 66歳 )
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傘の下静止画像のまま二人 ( 大阪府 笹川 恭子 87歳 )
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カップルをどれだけ作ったやらハチ公 ( 福岡県 悠輔 80歳 )
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銅像を見るたび偲ぶハナ肇 ( 島根県 石見んちゅ 50歳 )
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雪の日は雪の日なりに過しけり 札幌市 池田 雨郷
多雪地帯の居住者にしかわからない雪のなかでの暮らし。不便を託(かこ)ちつつ、雪を受け入れている気持ちが伝わる。 【 宇多 喜代子 選 】
多雪地帯の居住者にしかわからない雪のなかでの暮らし。不便を託(かこ)ちつつ、雪を受け入れている気持ちが伝わる。 【 宇多 喜代子 選 】
しゃぼん玉父ゐる方にみな流る 所沢市 岡部 泉
なぜ「しゃぼん玉」は父のゐる方へ流れてゆくのだろう、ということを論理で考えても答えは出ない。この日のしゃぼん玉はお父さんが好きなんだ、そう思うだけのこと。 【 宇多 喜代子 選 】
なぜ「しゃぼん玉」は父のゐる方へ流れてゆくのだろう、ということを論理で考えても答えは出ない。この日のしゃぼん玉はお父さんが好きなんだ、そう思うだけのこと。 【 宇多 喜代子 選 】
春眠や海底深く蒙古船 福岡市 後藤 啓之
春夜、元寇船を夢見ている。「海底深く」という表現は、眠りの深さまで感じさせて、いい。作者の住所も作品のプラスになっている。【 小澤 實 選 】
春夜、元寇船を夢見ている。「海底深く」という表現は、眠りの深さまで感じさせて、いい。作者の住所も作品のプラスになっている。【 小澤 實 選 】
彼の世にもやさしき人の多かるや夫はひさしく夢にだに出ず
所沢市 小野 まつ
いいですね。96歳の作者が亡き夫の死後の世を思いやる、このまどかな心。こんなふうに、次の世の魂の世界を信じてきた日本人の宗教心を、美しいと思います。 【 岡野 弘彦 選 】
所沢市 小野 まつ
いいですね。96歳の作者が亡き夫の死後の世を思いやる、このまどかな心。こんなふうに、次の世の魂の世界を信じてきた日本人の宗教心を、美しいと思います。 【 岡野 弘彦 選 】
神さまがけんけんぱあをするように島のおかれている春の海
東京都 小菅 暢子
視点の高さ、風景をとらえる心の目の大きさが魅力の一首。「けんけんぱあ」という懐かしい遊びが、春の雰囲気をゆったりと伝えている。平仮名表記も、のどかさを強調して効果的だ。 【 俵 万智 選 】
東京都 小菅 暢子
視点の高さ、風景をとらえる心の目の大きさが魅力の一首。「けんけんぱあ」という懐かしい遊びが、春の雰囲気をゆったりと伝えている。平仮名表記も、のどかさを強調して効果的だ。 【 俵 万智 選 】
今週の特選句
Vサインかかげる子等の歯が白い ( 福井県 清水せき子 67歳 )
キラキラしてますね。ん、爽やかに特選!
Vサインかかげる子等の歯が白い ( 福井県 清水せき子 67歳 )
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ほかに、
あの人の名字書くのに手が慣れず ( 東京都 渡辺智賀子 ?歳 )
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妻は目でむかしは合図いま指図 ( 東京都 吉見ひろし 64歳 )
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さてサイン出してはみたが空回り ( 大阪府 沈丁花 58歳 )
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まずい店壁のサインは共犯者 ( 埼玉県 関根 一雄 59歳 )
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こだま良く返す森より芽吹きけり 天理市 松田 吉憲
木がすきまなく生えている森の中にも、こだまをよくかえす場所があるのだろうか。 これは精霊が棲(す)む森ではないのだろうか。 こういう森の芽吹きはきっと早いはずである。 【 小澤 實 選 】
木がすきまなく生えている森の中にも、こだまをよくかえす場所があるのだろうか。 これは精霊が棲(す)む森ではないのだろうか。 こういう森の芽吹きはきっと早いはずである。 【 小澤 實 選 】
火の匂ひさせてはじまる春祭 神戸市 西塚 洋子
どこの祭りかを詮索する事より、「春祭」にこもる火の息吹が伝わる事の方が大事。祭りの日の「火」の色や匂いの臨場感がよく出ている。
【 宇多 喜代子 選 】
どこの祭りかを詮索する事より、「春祭」にこもる火の息吹が伝わる事の方が大事。祭りの日の「火」の色や匂いの臨場感がよく出ている。
【 宇多 喜代子 選 】
階段を桂馬とびして駆け上がる男はきっと新入社員
東京都 小菅 暢子
前に行く人を避けながら駆け登るので進路がジグザグになる。それが桂馬とび。はずむが如く、どこからみても新入社員だ。 【 小池 光 選 】
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地方から出てきた新入社員たちが、都会のルールを知って、桂馬とびで颯爽(さっそう)と前を行く人を避けて通れるようになるまでには、もう少し時間が必要でしょう。小菅さん、あなたが目にしたのは「若者」であっても「新入社員」ではなさそうです。 <新入社員が多い いまどきの都会の雑踏は歩きにくい>それが、私の実感です。
「どこからみても新入社員だ」と断言する、選者の感性が悲しい。
東京都 小菅 暢子
前に行く人を避けながら駆け登るので進路がジグザグになる。それが桂馬とび。はずむが如く、どこからみても新入社員だ。 【 小池 光 選 】
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地方から出てきた新入社員たちが、都会のルールを知って、桂馬とびで颯爽(さっそう)と前を行く人を避けて通れるようになるまでには、もう少し時間が必要でしょう。小菅さん、あなたが目にしたのは「若者」であっても「新入社員」ではなさそうです。 <新入社員が多い いまどきの都会の雑踏は歩きにくい>それが、私の実感です。
「どこからみても新入社員だ」と断言する、選者の感性が悲しい。