目についた記事を、その時々に書き込むつもりです。
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今週の特選句
   弓を引く引くだけ引いて空を射る   ( 神奈川県 長南 隆弘 59歳 )  
     わ、危ね! 矢、落ちてきた! でも、特選。

ほかに、
  恋の矢を使い果たして弓を置く  ( 愛知県 長谷川 めぐみ 39歳 )
     ・・・・・・やっと置いたか。

  的の矢へ浴びる賞賛拗ねる弓   ( 三重県 栗田  壽 72歳 )
     概ね、世間とはそうしたもんです。

  アルサロの「弓子」に惚れた苦い春  ( 大阪府 中野 澄男 72歳 )
     あぁそうですかい。



   蚤つぶす音の聞えた昭和かな   下妻市  神郡  貢

昭和はノミを潰す音が聞こえた時代だったという。薄暗がりのプチという小さな音。いまの、ことに都会は無機質な騒音が氾濫している。どちらがいいか。「聞えた」の口語と古典的な「かな」の同居も面白い。 【 矢島 渚男 選 】



   入道雲恐ろしいいつもより恐ろしい   川口市  広田 絹子

入道雲を恐ろしく感じてしまうのに共感する。 雲の姿に原爆のキノコ雲、 加えて原子力発電所の水素爆発の煙が重なってしまう。 そういう時代を 作者もぼくも生きている。                 【 小澤  實 選 】



 戦傷の義眼のままに焼かれたる
    義父(ちち)は死ぬまで戦をかたらず  佐世保市  近藤 福代

上の句のきびしさが、一首をつらぬいている。白じろと崩れる遺骨の中に、 義眼だけがぎらりと光っているような気がして、下の句の内容を確かなものにする。                            【 岡野 弘彦 選 】



   敗戦ははや死語なるか大正に生まれさびしき兵たりしわれ
                        富士市  影山 辰男

私も敢えて終戦としか言わない世を恥ずかしいと思い、「さびしき兵」とは思わないが「悲しい兵」だったと思う。そして悲運の死をとげた死者の為に祈る。 
                               【 岡野 弘彦 選 】



   病室の妹の名に様とあるなぜだか遠き人に思へり
                      国分寺市  越前 春生

入院患者の名前を記したプレート。見慣れた妹の名前が 「○○様」とあることへの違和感。それが日常と離れた妹の現在と重なる。【 俵 万智 選 】



今週の特選句
   葺く瓦今日底抜けの青い空       ( 東京都 三毛猫 50歳 )  
     気持ちいい汗だなぁ、特選。

ほかに、
  太陽光取り付ける時歯を見つけ    ( 兵庫県 たむ平 55歳 )
     おぉ、懐かしの下の歯。

  悪役になろうと決めた鬼瓦     ( 青森県 奥崎 東英 70歳 )
     さすがお父さん・・・・・・え?お母さんなの?。

  祖父が建て父がふき替え子が潰す ( 大阪府 加茂川イタチ 54歳 )
     ものは順にいってらぁ。

 


   すくすくと青田は青をひろげけり   流山市  久我 渓霞

田植え後の苗が日ごとに根を張り、たくましく育ってゆく。その様子を「すくすく」という平凡な擬態語で表現した構えの大きな句。 【 宇多 喜代子 選 】



   田水張りこの世の平ら見てをりぬ   前橋市  豊嶋 和夫

田植え前日あたりの、水を張ったばかりの田だろう。水面の平らを「この世の平ら」と眺めた句。久我氏の句と同じく、景の大きさ、言葉ののびやかな処がいい。                          【 宇多 喜代子 選 】



   修司忌や湯呑にひとり酒ついで   富士見市  阿部 泰夫

戦後の世に短く激しく燃え尽きた寺山修司を偲んで湯呑で独酌する。
 「便所より青空見えて啄木忌」。 少年時代の句作から出発した青森県三沢市出身の詩人・劇作家。              【 矢島 渚男 選 】



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