目についた記事を、その時々に書き込むつもりです。
忘るることなきは兵士に出でたつ日母にすげなくもの言ひしこと
つくば市 潮田 清
出征の日は村人が集まって軍歌を歌って送った。母との別れも、しんみりと親子の情を交わしあうことなどできる雰囲気では全くなかった。70年も昔の記憶である。 【 岡野 弘彦 選 】
つくば市 潮田 清
出征の日は村人が集まって軍歌を歌って送った。母との別れも、しんみりと親子の情を交わしあうことなどできる雰囲気では全くなかった。70年も昔の記憶である。 【 岡野 弘彦 選 】
ともすれば広がりたがる園児らを寄せてせんせい後ろ歩きす
武蔵野市 松本 みよ子
好奇心旺盛な園児たちはなかなかまっすぐに歩かない。先生は頭の後ろにも目がほしいところだろう。臨場感たっぷりの歌。 【 栗木 京子 選 】
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武蔵野市 松本 みよ子
好奇心旺盛な園児たちはなかなかまっすぐに歩かない。先生は頭の後ろにも目がほしいところだろう。臨場感たっぷりの歌。 【 栗木 京子 選 】
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戦はず友の沈みし夏の海 弘前市 竹内 政行
第二次大戦末期、制空権も制海権も失っていた日本軍の輸送船は、
目的地に達する前に多くが沈められ、多数の将兵が戦わずして死んだ。
夏の海を前に大切な友人を悼む。 【 矢島 渚男 選 】
第二次大戦末期、制空権も制海権も失っていた日本軍の輸送船は、
目的地に達する前に多くが沈められ、多数の将兵が戦わずして死んだ。
夏の海を前に大切な友人を悼む。 【 矢島 渚男 選 】
本題にふれずひたすらビール注ぐ 東京都 東海林 幸次
よくありそうな情景。じっと言いだすのを堪えているのは、さぞ暑いことだろう。汗が噴き出す。 【 矢島 渚男 選 】
よくありそうな情景。じっと言いだすのを堪えているのは、さぞ暑いことだろう。汗が噴き出す。 【 矢島 渚男 選 】
生涯の写真を始末して涼し 一宮市 太田 康直
溜まるばかりの写真。 思いきり良く、その始末を終えた作者。 その感慨と 気分を、「涼し」に託している。 【 宇多 喜代子 選 】
溜まるばかりの写真。 思いきり良く、その始末を終えた作者。 その感慨と 気分を、「涼し」に託している。 【 宇多 喜代子 選 】
猫ひとつ起きて農家の総昼寝 那須烏山市 水野 信
「総鼾(いびき)」は辞書に見えるから、「総昼寝」があってもいいわけだが、初見の面白い言葉である。誰にも相手をしてもらえない猫が一匹。
【 正木 ゆう子 選 】
「総鼾(いびき)」は辞書に見えるから、「総昼寝」があってもいいわけだが、初見の面白い言葉である。誰にも相手をしてもらえない猫が一匹。
【 正木 ゆう子 選 】
95歳は昨日だったか11人の曾孫の似顔絵よせ書きとどく
浜松市 仲村 正男
忘れていた95歳の誕生日を、11人の曾孫の寄せ書きの似顔絵によって知ったという、まことに悠悠たるうらやましい歌。 【 岡野 弘彦 選 】
浜松市 仲村 正男
忘れていた95歳の誕生日を、11人の曾孫の寄せ書きの似顔絵によって知ったという、まことに悠悠たるうらやましい歌。 【 岡野 弘彦 選 】
今週の特選句
干し立ての布団にタマが来て沈み ( 福岡県 谷口 嘉子 74歳 )
ぽかぽかだぁ、ニャ~・・・・・・特選!
干し立ての布団にタマが来て沈み ( 福岡県 谷口 嘉子 74歳 )
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ほかに、
家のミケ三軒先はタマと呼ぶ ( 千葉県 浦邉 春子 67歳 )
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猫なのに猫と思っていない猫 ( 大阪府 宮崎 研之 57歳 )
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告げ口をしそうな猫で落ち着かぬ ( 東京都 風間 良富 84歳 )
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家出から帰った猫が色っぽい ( 新潟県 小林 悟 61歳 )
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蚊か蚤か南京虫か目が覚めた 堺 利彦
堺利彦は社会主義者で、何度も投獄され、退屈しのぎに俳句をつくった。句意はそのままで、獄中には蚊と蚤(のみ)と南京虫(なんきんむし)がいて あんまり痒いので目が覚めた、と。悠長なもんですな。さすが社会主義者の親玉です。めそめそせず、悠々と観察している。句集には自分の肖像写真を入れ、序文は荒畑寒村、中扉に宇野重吉の絵が入っている。昔の左翼は文武両道、古武士の風格があった。
『豊多摩と巣鴨 二度目の巣鴨』 (昭和50年・素面の会)
【 '12.8.16 週刊新潮 新々句歌歳時記 嵐山 光三郎 】
堺利彦は社会主義者で、何度も投獄され、退屈しのぎに俳句をつくった。句意はそのままで、獄中には蚊と蚤(のみ)と南京虫(なんきんむし)がいて あんまり痒いので目が覚めた、と。悠長なもんですな。さすが社会主義者の親玉です。めそめそせず、悠々と観察している。句集には自分の肖像写真を入れ、序文は荒畑寒村、中扉に宇野重吉の絵が入っている。昔の左翼は文武両道、古武士の風格があった。
『豊多摩と巣鴨 二度目の巣鴨』 (昭和50年・素面の会)
【 '12.8.16 週刊新潮 新々句歌歳時記 嵐山 光三郎 】
父祖たちの汗染む綱や山車を曳く 大牟田市 鹿子生 憲二
原句「百年」だったが「父祖たち」と直した。 この方が具体的だからである。山車を曳(ひ)きながら祖先たちの汗が染み込んでいる綱と感じ、伝統を 引き継ぐ思いが湧く。 【 矢島 渚男 選 】
原句「百年」だったが「父祖たち」と直した。 この方が具体的だからである。山車を曳(ひ)きながら祖先たちの汗が染み込んでいる綱と感じ、伝統を 引き継ぐ思いが湧く。 【 矢島 渚男 選 】