目についた記事を、その時々に書き込むつもりです。
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その会社では毎朝9時前に、
就職希望者をひとりだけ呼んで面接試験を行うのが常であった。

その日も希望者がやってきた。

「では君、我が社の長所を詳しく説明してくれたまえ」

「はい。御社は中小企業ながら高い技術を持ち、開発にも力を注ぎ・・・
 ・・・全社一丸で仕事に取り組む姿勢がすばらしいと思います」

「結構。今日はお帰りください」

会社は毎朝これを繰り返し、そのくせひとりも採用しなかった。

「こうやって毎日、誰かに励ましてもらわないと、オレたち、もうダメだもんな」

                        【 ’13.02.14 週刊新潮 】


  あちこちに献花のごとし白鳥来(く)   久慈市  和城 弘志

渡来した白鳥が方々にかたまって餌を啄んでいる。それが、死者たちへの献花のように見える。津波の被災地であればこその思いであろう。
                               【 矢島 渚男 選 】


   初夢や水兵帽のままの吾   鶴岡市  万年 専之丞

作者は第二次大戦のとき、少年兵だったのだろうか。海軍の白い帽子をかぶり、猛訓練を受けた青春の日の夢を今でも見るのだ。【 矢島 渚男 選 】


  すがすがと師走の障子張り替ふる母の背わかく美しかりき
                       篠山市  清水 矢一 

長塚節(たかし)に
 「張りかへむ障子もはらず来にければ暗くぞあらむ母は目弱きに」
というしっとりとした歌がある。投稿歌は若く生き生きと働く母。歳末年始は親を思う時。                        【 岡野 弘彦 選 】


   差出人不明の葉書枯野より   神奈川県  中島 さやか 

枯野・芒野などの広漠たる景は異界を思わせる。本当はうっかり者が出した葉書でも枯野から来たと思えば、別世界からの通信のよう。
                               【 正木 ゆう子 選 】 

   ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

   戻り来し賀状の宛名君は今どこに居るのかじっと見つめる
                        仙台市  勝  美彰

時折こういう場合があるけれど、消息不明とはこのことだ。どこへ移っていったのだろう、無事なのかそれとも。結句の「じっと見つめる」に実感こもる。 
                                【 小池  光 選 】



今週の特選句
   ジャケットを羽織ってひとり娑婆に出る ( 埼玉県 鉄砲弥八 61歳 )  
     娑婆の風は冷とうござんすから。 特選。

ほかに、
  平服の意味を現場で思い知る   ( 島根県 石見んちゅ 51歳 )
     そう、それが罠。

  ジャケットをフリマに出して夢終わる ( 静岡県 樋口 英世 71歳 )
     脱いでまた、新しい夢が始まるんですね。

  嗅いでから俺のジャケット架ける妻 ( 新潟県 田中  望 74歳 )
     わ、普通の夫婦だ。


  ジャケ買いの曲が案外気に入って ( 神奈川県 長谷川 彰 64歳 )
     そこがヒットの第一歩。


   ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

  ■
募集お題 「 自慢 」
  ■「お題」にそった川柳を、はがき1枚につき1句から5句まで。
  ■住所・氏名(ペンネームの場合も必ず本名を)・年令・電話番号・
    お題を明記してください。
  ■締め切りは2月13日(消印有効)です。
    なお応募作品は返却いたしません。
    また、同じ句を他誌に投稿する二重投稿は厳禁です。
    特選句には賞金を差し上げます。
  ■ご記入いただきました個人情報は、
    本欄への掲載と賞金発送にためにのみ使用いたします。
  ■宛先 〒102-8008
    千代田区紀尾井町3-23 週刊文春「川柳のらりくらり」係


   雪が立ち雪に立つ白鷺になる   鹿角市  石川 ゆみ子

雪が立つ、というあり得ない景の美しさ。更にそれが白鷺とわかるまでの時間の美しさ。山口誓子の 「美しき距離白鷺が蝶に見ゆ」 を引き合いに出して味わいたい。                        【 正木 ゆう子 選 】


   百回を数へて受身寒稽古   千葉県  菅谷 貞夫

寒稽古は武道や芸事において行われるのであるが、掲出句は柔道と明確にわかるのがいい。畳は冷たいが、体はあたたまってくる。【 小澤  實 選 】



   作業着を吾も着たまま初雀   神栖市  星  美愉

そういえば雀の色は作業着だなと思われてくる。新年でも普段と変わりない。自分と同じだ。                    【 矢島 渚男 選 】



 「cafeのようなお家が建ちます」立て札の更地はまるで挽きたての粉
                            蕨市  小島 美江

しゃれた立て札だ。その文句に反応して生まれた「挽き立ての粉」と言う比喩もまた楽しい。その粉が、カフェのケーキやクッキーを うまく連想させてくれる。
                                【 俵  万智 選 】


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