目についた記事を、その時々に書き込むつもりです。
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    亡き母を呼ぶがに桑の芽吹きかな   埼玉県  小暮 正雄

母を詠んだ投句は大変多く、よすがとなる事柄も様々だが、桑の芽吹きが母を呼ぶようだとは、胸をつかれる。実感だったのだろう。【 正木 ゆう子 選 】 


   笑ふ顔一つとてなき目刺かな   船橋市  内田 蟷螂 

たしかに目刺に笑う顔をしたものはない。 さりとて泣いているのでもない。
運命に従順な顔ばかり。変わったことを思う作者である。【 矢島 渚男 選 】


   鯉のぼり泳がず恋も成就せず   塩釜市  桜井 嘉彦

風がなくぐったりとした鯉幟(こいのぼり)を見ながら、わが恋の成就しなかったことを思っている。鯉と恋で頭韻を踏む。なぜ鯉と恋が同じ発音なのだろう。ことばは不思議。                      【 矢島 渚男 選 】


  20年いまだ赦(ゆる)せぬこと一つ抱きつつ夫の墓拭ひゐる
                        和歌山市  高城 みち子

夫に対して許せぬ一つ思いを執着として抱きつづけて、20年後の今も その墓に対しているという。 結句の「墓拭ひゐる」に至って、作者の心の真実に触れる思いだ。                      【 岡野 弘彦 選 】


  亀鳴くや弥陀ひつそりと聞きたまふおぼろ月夜の大善光寺
                         長野市  上野 ただし

「亀鳴く」は俳句の春の季語。亀が鳴くかどうか、読経の声に似ているとして亀の看経ともいう。 この一首はいかにも鳴くらしい。 善光寺のおぼろ夜の幻想である。                        【 岡野 弘彦 選 】


  須佐之男(すさのお)も天鈿女(あまのうずめ)もともどもに
      飲みて祭りの果てなんとする     群馬県  真庭 義夫

神あそびの神楽が終わってのち、神人和楽のいわゆる直会(なおらい)に移り、その楽しみもやがて終わろうとする、魂の鎮まりのひと時。
                               【 岡野 弘彦 選 】


  新緑のみどりの風に促されてバスを待たずに歩く木になる
                          青森市  滝野沢 弘

「木」がうまい。 「歩く気」とかけて、ただバスを待っていた自分は木のようだというニュアンスも伝わってくる。                【 俵  万智 選 】


今週の特選句
   星だけが味方と思う紫煙党   ( 兵庫県 林田 あつ子 71歳 )  
     大丈夫、月も味方だ! チクショウ・・・・・・特選。

ほかに、
  紫の袱紗に包む泣き笑い      ( 東京都 坂牧 真弓 60歳 )
     その袱紗、喜怒哀楽を包んできました。

  紫の袴恩師も貸衣装        ( 東京都 斉藤 光雄 82歳 )
     貸衣装の皆さーん、記念写真撮りますよー。

  決勝で出来た痣(あざ)よと見せ歩き ( 新潟県 田中 望 75歳 )
     で、勝ったのか? 負けたのか?


  手おくれの女(ひと)ほど嫌う紫外線 ( 東京都 片山 宏史 53歳 )
     ノーコメントです。選んじゃったけど。


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  ■
募集お題 「 障子 」
  ■「お題」にそった川柳を、はがき1枚につき1句から5句まで。
  ■住所・氏名(ペンネームの場合も必ず本名を)・年令・電話番号・
    お題を明記してください。
  ■締め切りは5月22日(消印有効)です。
    なお応募作品は返却いたしません。
    また、同じ句を他誌に投稿する二重投稿は厳禁です。
    特選句には賞金を差し上げます。
  ■ご記入いただきました個人情報は、
    本欄への掲載と賞金発送にためにのみ使用いたします。
  ■宛先 〒102-8008
    千代田区紀尾井町3-23 週刊文春「川柳のらりくらり」係


  初蝶のさしたる用もなく来たる   尾張旭市  古賀 勇理央

たしかにその通り。蝶(ちょう)は蝶の都合でひらひら舞っているだけのことで、人間に特別な用があって来るわけではない。そこのところ、なんともおかしい。
                              【 宇多 喜代子 選 】


  桜咲き一日一日の余生かな   青森市  幸林 清栄

ある年齢に達すると、この「一日一日」への愛(いと)しさがわかってくる。
                              【 宇多 喜代子 選 】

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  傘寿過ぎふと怖ろしき桜かな   春日部市  坂本 陽一
                               【 正木 ゆう子 選 】 

        私は、今年初めて、
        「春日部駅」のお隣の「藤の牛島」の藤棚を楽しみました 。


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