目についた記事を、その時々に書き込むつもりです。
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  葉隠れの苺を摘めば潜みゐし蜂を起こしぬ蟻も雫も
                        鎌倉市  中江 優子

葉隠れの苺(いちご)を摘んだら蜂が飛び出し、それにつられて蟻(あり)が走り、葉から雨滴もこぼれ落ちた。次々に伝わる動きは、まるで歯車が回るよう。 躍動感に満ちた光景である。                         【 栗木 京子 選 】


  ようやくに捨てる決断ゆるがねば思い出の赤いヒールよさらば
                        東松山市 嘉藤 小夜子

要らないものをあっさり捨てられる人と、愛着心が強くてなかなか捨てられない人といる。やっとの思いで決心がついた。高いヒールの真っ赤な靴。 【 小池  光 選 】

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【 川柳のらりくらり( 週刊文春 '14.07.17 ) 】 

  カビ生えてやっと捨てれるハイヒール  ( 大阪府 りくりく 59歳 ) 
      やっと思い出にもカビが生えましたね。


   風鈴はかざるだけでもすずしいな 
       東京都 東村山市立北山小学校6年  茂出木 菫

常識(じょうしき)とは少しだけ違(ちが)うことを言ってみると、人の関心(かんしん)を引く表現が生まれます。この句はその良(よ)い例(れい)です。常識では、風鈴(ふうりん)とはその音を聞いて涼しさを味わうもの。 ところが作者は、風鈴をつるすだけでも、じゅうぶんに涼しい気分になると言っているのです。 特に、ガラス製(せい)で、魚や花の絵が描いてある風鈴は、見た目も涼しげです。 きっと音も涼しげだろうという予感がしますね。    【 ’14.07.12 KODOMO俳句 高柳 克弘 選 】


今週の特選句

  かび臭い服借り見合いした昭和    ( 千葉県 林新 松子 69歳 )  
     お相手もカビ臭かったっけ。 ハイ、 特選。


ほかに、
  カビ生えてやっと捨てれるハイヒール      ( 大阪府 りくりく 59歳 ) 
     やっと思い出にもカビが生えましたね。


  レコードにカビの匂いもコレクション   ( 茨城県 伊藤 靖則 53歳 )
     んー、でも手入れした方がいいよ。

  湿り気とうるおいあってカビも生え   ( 兵庫県 山本 史郎 68歳 )
     あらやだわ。なんだか意味深だわ。

  捨てきれぬ古書カビ臭い謝国権    ( 東京都 松原  実 74歳 ) 
      ハイ、世代限定川柳です。
           

   ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

   ■
募集お題 「 バケツ 」
   ■ 「お題」にそった川柳を、はがき1枚につき1句から5句まで。
   ■ 住所・氏名(ペンネームの場合も必ず本名を)・年令・電話番号・
      お題を明記してください。
   ■ 締め切りは7月16日(消印有効)です。
      なお応募作品は返却いたしません。
      また、同じ句を他誌に投稿する二重投稿は厳禁です。
      特選句には賞金を差し上げます。
   ■ ご記入いただきました個人情報は、
      本欄への掲載と賞金発送にためにのみ使用いたします。
   ■ 宛先 〒102-8008
      千代田区紀尾井町3-23 週刊文春「川柳のらりくらり」係


   甚平の義足戦争知ってをり   東京都  山口 照男

甚平を着た膝の下から義足が見える。 戦争で片足を失った傷痍 (しょうい) 軍人なのだ。誰よりも戦争の無惨を知る人にちがいない、という。  【 矢島 渚男 選 】


 緑樹伐り殺(そ)ぎ落とされし俘虜(ふりょ)の肉   帯広市  吉森 美信

シベリヤ抑留時代の体験を怒りをこめて詠い続ける作者。森林の伐採作業中に倒れてきた木で肉を削られた仲間もいた。 多数の死者を出した国際法に反する捕虜虐待の責任はどうして追及されないのか。        【 矢島 渚男 選 】


   首振つて嫌がる毛虫焼きにけり   青梅市  青柳 富也

可哀想だが、俺はお前を焼かなければならない。 「首振つて」の描写がいい。今年は毛虫が多い。                           【 矢島 渚男 選 】


   石にふる雨うつくしく半夏生   枚方市  菅原 イツヱ  

俳句ではあまり歓迎されない「うつくしく」が一句の邪魔をしていないところがいい。半夏生のころの雨の透明感が伝わってくる。         【 宇多 喜代子 選 】


   夏ぐみを蟻吹きながら摘みにけり   南房総市  平嶋 共代

「蟻(あり)吹きながら」がとても具体的。特に「吹く」がいい。吹いて落とせるくらいの小さな蟻なのだ。蟻を登場させることで、茱萸(ぐみ)がいきいきとクローズアップされる。                                  【 正木 ゆう子 選 】


  世にあらばいつか逢はむと言ひ交はし言ひ交わしつつきみも逝きたり
                             上尾市  大平 丈一

こういう間柄もまた、美しくかなしい。 「きみ」 が男性か女性か、微妙な心ゆらぎがあとに残る。                             【 岡野 弘彦 選 】


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