目についた記事を、その時々に書き込むつもりです。
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   雪吊りのことに美しリンゴ吊り   豊橋市  河合  清

幹に添って柱を立て、天辺から放射状に縄を張るのをリンゴ吊りといい、最も一般的とか。雪吊りにもそれぞれ名前があることを知る。      【 正木 ゆう子 選 】


   切る前も海鼠切られし後もまた   秋田市  中村 栄一

切る前の海鼠(なまこ)も、切って幾つかになってしまっていても、同じものであるという。当たり前のようでいて真実を捉えた。禅味も感じる。     【 小澤  實 選 】


   何一つ分からぬままにまだ海鼠   茨木市  瀬戸 順治 

地球生物の進化の歴史の中で5億年もの昔に出現したナマコ。暗愚のまま、今もその儘だ。自分だって何も分からぬままかもしれないという自省が重なっていようか。
                                    【 矢島 渚男 選 】


   横歩きして懸大根の中通る   神奈川県  石原 美枝子

通路を狭めるほどに懸けられた大根。前後左右を大根に囲まれた様子がいささかの滑稽を誘う。                          【 宇多 喜代子 選 】


   熊の子がをり熊の目の遠からず   東京都  望月 清彦

熊の子が出てきている。 ということは親熊が、近いところで見守っているはず、というわけだ。 熊の子はかわいいが、親熊はこわい。 どう この場から非難したらいいか。 
                                     【 小澤  實 選 】


  小田剛一も良き名前なり健さんの映画も素顔も剛健なまま
                           藤岡市  渡辺 秀子

12月に亡くなった俳優の高倉健氏。高倉健という名は魅力的だが、本名の小田剛一も、いかにも氏の実直な生き方を表しているように思われる。ご冥福をお祈りします。                               【 栗木 京子 選 】


  母宛の饅頭セールの葉書着き買って供える父のとふたつ  
                         京都市  足立 紀子

母は甘党で、気に入りの和菓子を取り寄せたりしていたのだろう。父と母の霊前に仲良く二つ供えたところがあたたかい。              【 栗木 京子 選 】


肉(しし) ― 骨に 骨 ― 水に 水 ―風に 無に ただに明るし 後生の時間
                        高橋 睦郎( たかはし むつお )

その昔、美女の遺体の変容を絵に描かせ、折々に広げては眺めることが行われた。この世のはかなさをみにしみて知るためである。この一首、肉体が徐々に透明なものへと変じてゆく。死後の時間には光が満ちているかのように。 
                      【 '14.12.19 四季 ・ 長谷川 櫂 選 】


今週の特選句

  社会人生姜のような恋をする      ( 岡山県 石破 洋二 45歳 )  
     もう甘いだけじゃ済まないんだよ。 特選。


ほかに、
  風邪ひいて母と生姜湯ひとり占め       ( 栃木県 友友 68歳 )
     風邪は辛いけど、ちょっと嬉しい。


  煮魚に孤軍奮闘する生姜       ( 静岡県 山下 哲雄 68歳 )
     薄いの一切れで煮魚背負ってるもんね。

  野菜室生姜のミイラひとつあり       ( 埼玉県 かめちゃん 72歳 )
     もともとミイラみたいなのもあるからね。


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   ■
募集お題 「 野暮 」
   ■ 「お題」にそった川柳を、はがき1枚につき1句から5句まで。
   ■ 住所・氏名(ペンネームの場合も必ず本名を)・年令・電話番号・
      お題を明記してください。
   ■ 締め切りは12月24日(消印有効)です。
      なお応募作品は返却いたしません。
      また、同じ句を他誌に投稿する二重投稿は厳禁です。
      特選句には賞金を差し上げます。
   ■ ご記入いただきました個人情報は、
      本欄への掲載と賞金発送にためにのみ使用いたします。
   ■ 宛先 〒102-8008
      千代田区紀尾井町3-23 週刊文春「川柳のらりくらり」係


   漱石のむづかしき貌冬に入る   霧島市  久野 茂樹

よく知られている夏目漱石の写真はみな重々しく、いわば「むづかしき貌(かお)」である。漱石の「むづかしき貌」は冬以外のどの季節とも重ならない。
                                   【 宇多 喜代子 選 】


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