目についた記事を、その時々に書き込むつもりです。
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  蔵前や千住日暮里錦糸町リヤカで菓子を配達せし街
                         小田原市  渡辺 一弘
台東区蔵前、足立区千住、荒川区日暮里、墨田区錦糸町と、凡(およ)そ東京下町地区。それを羅列した上句が、単純に印象を鮮明ならしめている。製菓小工場住み込み奉公の昔、それら地区に卸し配達をした回想。「リヤカ」の語も事実だが効果的。              【 清水 房雄 】

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  父の代から馴染みの野鍛冶の打ちし鉈(なた)
         丹念に研ぎ杉の枝打つ    埼玉県  山口 富江 
「父の代」と言い、野鍛冶と言う。作者の生活の形がおおよそ偲(しの)ばれる言葉だが、さらに、今も行われる杉林手入れの描写が続く。代々引き続くこうした生活それ自体、もはや珍しい環境といってもいいかも分からない。然し、変わらず心を惑(ひ)くものだ。             【 田谷  鋭 】

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  見も知らぬ出征中の夫に嫁し姑(はは)とくらしぬ姑やさしかりき
                        茨城県  染野 光子
現代では嘘のような、戦争中の重い体験が歌われていながら、暗くなくて
内容があたたかい。四句まで一気に特殊な事情を述べた、そこで切り、
第五句で胸いっぱい叙情的に歌った形がよい。この一首が窓のように開いて、読者に連想を生み出させてゆく。          【 岡野 弘彦 選 】

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  開館のライトが点けば立ち上がりダビデの腕は石を掴みぬ
                         東京都  吉竹  純
目には見えない世界を形にすることも言葉の力のひとつだ。閉館中の彫刻を想像する視点が、ユニークな一首だった。今にも動き出しそうな像だからこそこの想像の世界が説得力を持つ。つまり、生きているような彫刻への賛辞とも読むことができる。                     【 俵 万智 選 】



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