目についた記事を、その時々に書き込むつもりです。
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   次もまた宙に飛ばせり寒稽古   北秋田市  坂  一草

寒稽古はさまざまな武道において行われるが、この場合は柔道だろう。そう読めるようにできているのがいい。大きな投げが次々に決まって、見ているだけでも痛快。 
                                    【 小澤  實 選 】


   出払ひしあとの朝餉や春隣   国分寺市  越前 春生  

朝早く家族が出かけてしまい、寂しいような、でもそれが新鮮でもある朝ごはん。 春隣という季語は、どんな句につけても、幸せ感が漂う。   【 正木 ゆう子 選 】


   たこの糸ピチッと切れて空へ飛ぶ
          東京都 八王子市立水小学校4年  利谷 成美

「ピチッ」 という音の表現(ひょうげん)が素晴(すば)らしいですね。 たこの糸が風にたえきれなくなって、とちゅうで切れてしまう瞬間(しゅんかん)を、あざやかに言い当てた表現です。さらに、切れたあとで「空に飛ぶ」という展開(てんかい)まで述(の)べているということで、動きが出てきて、いきいきとした俳句になりました。この句を読むと、作者に感情移入(かんじょういにゅう)をして、「あーあ!」とため息をついてしまいそうになるのは、言葉がいきいきとしているからです。
                【 ’15.02.28 KODOMO俳句 高柳 克弘 選 】


   食うことも億劫(おっくう)になる寒さかな   益田市  宮下 章治 

寒くて何もする気にならない。 食うことさえも面倒になった、という切ない句だ。  老人の生活を率直に吐露した。                 【 矢島 渚男 選 】


   いづれこの子等も他郷へどんど焼   浜田市  久保 康輔

どんど焼きに賑(にぎ)やかに集う子供たちを見ながらの感慨である。この子たちを、この地に留(とど)まらせることは出来ないものか。過疎化する農村の現実を切実に詠(うた)う。                              【 矢島 渚男 選 】


   色色の花咲かす苗みなみどり   近江八幡市  大川  勇

当たり前のことだが、妙に新鮮な句である。 濃淡はあっても花苗は皆、みどり。  まだ花は咲いていないのに、色とりどりの花が見える。     【宇多 喜代子 選 】


   日向ぼこ可も不可もなき昨日今日   越谷市  広田 三枝子

昨日今日、つまり日常とはおおむねこんなものだ。特筆するようなことなど、めったにあるものではない。 そんな可も不可もない日が句になると生き生きする。 
                                   【宇多 喜代子 選 】


   節分や淡海に福の気配あり   大津市  西岡 信夫

鬼は外、福は内の「福」は、琵琶湖から来そうだというのだ。湖に日々親しむ暮らしであることが、住所から伝わる。旅吟では得られない安心に満ちた一句である。 
                                    【 正木 ゆう子 選 】


   ダイヤモンドダスト抱きて離陸せり   旭川市  河村  勁 

「翼」の語が省略されているので、飛行機の映像が浮かぶ前に、ダイヤモンドダストを抱くという直接的なイメージが湧く。そこが新鮮。       【 正木 ゆう子 選 】


   毛糸編む母と綛(かせ)取りした記憶   朝倉市  安陪 良一

綛は糸を巻き取る道具だが、それを子供の両手で代用した記憶だろう。 向かい合って糸を巻き取る間、母と子だけの会話があったはずだ。 【 正木 ゆう子 選 】


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